中国のデジタルTV市場における半導体メーカーの取り組み
中国は、デジタルTV の地上伝送標準規格の実施により、デジタルTV 用IC チップメーカーに大きなビジネスチャンスを与えている。
1)海信(Hisense):”信芯”の次世代品で推進
海信は、中国国家デジタル標準組織メンバーの一員であり、標準インターフェイスグループのグループリーダーも担当している。このように、海信は長期的に国家標準の策定に参画しており、コア技術の研究で培った経験によりデジタルTV 向け画像処理IC チップ「信芯」の自社開発に成功した。
そして、この「信芯」IC 事業を拡大させるため、青島海信信芯科技有限公司を設立した。新会社の設立によって、IC チップメーカーとセットメーカーの互いの専門分野を最大限に生かし、緊密な協業関係を保ちながら事業展開を図っている。
青島海信信芯科技は、近々「信芯」の次世代品を発売する予定である。この次世代品は、CRT や液晶など様々なTV 向けのシリーズIC である。現時点で、信芯の生産量は累計で約70 万個に達しており、今年内には100 万個に達す見込みである。
2)国芯(Guoxin):異なる組み合わせのSoC 製品シリーズを供給
国芯は、主に音声と画像処理IC チップの研究開発に取り組んでおり、衛星、有線、地上波、移動など各デジタルTV 通信技術向けアプリケーションを網羅している。同社は、デジタルTV の受信用コントローラ、デコーダー、画像処理、32 ビットCPUなどを組み合わせたワンチップに集約したSoC 製品を発表した。また、テレビ携帯電話用IC チップの開発にも着手した。
同社は、衛星と有線デジタルTV 受信用IC が2005 年に中国信息産業の重大技術発明賞を受賞し、中国半導体産業協会から2005 年度中国で最も成長の高いIC デザインハウスに選ばれた。
2006 年末には、欧州市場向けのDVB-T 受信用IC チップ「GX1201 」、デジタル放送に対応した中高性能のMPEG 2 デコーダー「GX3001 」を発表する予定である。
3)復旦微納(Guandongdz):新国際規格に準拠したデコーダーIC を年内にリリース
復旦微納は、デジタル地上波通信技術を研究テーマとして、デコーダーIC から事業展開している。同社は、DMB-T 標準に準拠したIC チップ「中視一号」をSMIC のラインを使って開発に成功した。
同社は、デコーダーを中心として、フロントエンドのA/D コンバーター、デコーダーなどをSoC またはSIP でワンチップ化を図っている。また、ノートPC やPDA など持ち運びに便利なアプリケーション向けに低消費電力化に力を入れている。さらに、「中視一号」とUSB 対応のSTB (セット・トップ・ボックス)など異なる機能を融合したソリューションも提案している。今後は、ノートPC 、有線テレビ、衛星テレビ、無線ネットワークなどの様々な分野に対応したIC を開発して行く。
4)北京海爾集成電路設計(Haier IC Design):
ハイエンド、ミドルエンド、ローエンド品を同時開発北京海爾集成電路設計は、現在中国で唯一のデジタルTV 用デコーダーのトータルソリューションを提供できる地場企業である。ローエンドからハイエンドまでの様々なデコーダーを供給し、衛星と有線を含めたソリューションも提案している。また、イーサネット対応も実現し、IPTV のトータルソリューションに着手している。
5)凌訊:地上伝送標準規格に準拠したデコーダーで優位性を保つ
凌訊は、国家標準のデジタル地上伝送規格に準拠したデコーダーの開発設計に注力している。同社は、デジタルTV 、STB 、パソコン、携帯電話など様々な電子機器メーカーと連携してデコーダーを開発し、いち早く国家標準に対応した製品を市場に投入している。
6)力合:地上波デジタルTV 技術力は同業他社より2 年リード
清華DMB-T は、中国国家地上波デジタルTV 標準の基盤である。力合は、その地上波デジタルTV 技術のリーダーであり、そのプラットフォームの構築者であり、運営のクリエーターである。また、ホテル向けの双方向デジタルTV とVOD (ビデオ・オン・デマンド)サービスにも取り組んでいる。
力合のエンジニアは、深セン清華大学研究院デジタルTV 工程センターと清華大学デジタルTV 研究センターからの出身であり、既に20 数件の地上波デジタルTV 技術特許を申請し、同業他社より2 年リードしている。
セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2006年10月号からの一部抜粋です。