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AIデータセンター需要の高まりを受け、NANDフラッシュ価格上昇に反転

NANDフラッシュの価格が2025年第2四半期(2Q)に前四半期比(QoQ)3〜8%値上がりするが、3QはさらにQoQで5〜10%値上がりしそうだ(図1)。このような見通しを台湾の市場調査会社TrendForceが発表した。クラウドや企業向けのAIデータセンターではAI需要がSSD(半導体ディスク)の成長を促しているためだという。

2Q25-3Q25 NAND Flash Price Forecast / TrendForce

図1 市場調査会社TrendForceが予想するNANDフラッシュの値上がり 出典:TrendForce


AIデータセンターでは、学習や推論用にはNvidiaなどの AIチップに加えてHBM(High Bandwidth Memory)をセットで使うことが多いため、AIチップと直接データのやり取りをする。つまりAIチップと共にHBMも一緒に成長するため、HBMはAIチップの出荷に直接影響する。そして学習したデータは、SSDなどのストレージに保存しておくが、学習させるデータ量が大きくなるにつれ大容量のSSDが求められる。ただし、学習したデータを使う需要がすぐにはない場合にはHDD(ハードディスク装置)に貯めておく。

最近は学習させたデータを速く取り出したい場合にはSSDからのデータを利用する。SSDはGBあたりの価格がHDDに比べ高いが、高速用途に向いている。AIの利用では推論がとても重要になるため、高速にデータを引き出せるSSDの需要が高まっている。

特に北米のCSP(クラウドサービスプロバイダ)のAI投資が引き続き堅調であり、3Qには企業向けSSD需要が大きく伸びると期待されている。企業向けSSD市場は最終製品の在庫が低いレベルのままであるため供給不足になりがちだという。このため3QにはQoQで最大10%の値上がりが見込まれている。


GTC March 2024 Keynote with NVIDIA CEO Jensen Huang / TrendForce

図2 NvidiaのGB200スーパーチップ Blackwell GPUを2個とGrace CPUを1個搭載した基板を最大36枚実装したコンピュータラックも用意している 出典:NvidiaのGTC 2024から


TrendForceによると、年初、NANDフラッシュメーカーは保守的な戦略を立てていたが、需給バランスが徐々に回復してきた(参考資料1)。しかし、トランプ関税の導入の話が出てきから、NANDフラッシュ製品需要が崩れてしまった。にもかかわらず、ストレージの需要はここにきて高まってきた。その要因の一つは、NvidiaのGB200(図2)のようなハイエンドサーバーの出荷によるものだとしている。もちろん、HDDの需要も高まっているという。ストレージデバイスはHDDもSSDも企業向け用途で期待されているようだ。

(2025/05/29)
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