IDC、2024年の世界半導体市場は20.2%増の6328億ドルに上方修正
2024年の世界半導体製品の販売額を従来の6259億ドルから6328億ドルへと上方修正する、と市場調査会社のIDCが発表した。2023年も従来予想の5188億ドルから5265億ドルへと上方修正した。米国市場において需要回復が進み、中国市場は2024年の後半から回復すると見ていることからの上方修正となった。
特に半導体をけん引するスマートフォンとパソコンの長い間の在庫調整が進み、半導体の成長局面が見えてきたためだとしている(参考資料1)。自動車や産業機器の市場が完全に戻るのは2024年の後半としているが、製造業をけん引する自動車産業は、今後十年に向けで電動化が進むため、半導体は成長局面になると見る。
スマホとパソコンは、これからはQualcommのSnapdragon X EliteやIntelのCore Ultra(コード名Meteor Lake)、AMDのRyzen Pro7000シリーズなど最新のSoCプロセッサに集積されているAIエンジンがパソコンの新機能として働くため、2024年から2026年にかけてAI機能搭載がパソコンやスマホに標準装備されるようになる。このことを受けて、IDCは、AIチップにはセットとして用いられるDRAMメモリのビット需要が高まると予想する。
在庫調整の進展や流通の可視化、AIサーバーやAIパソコンなどの需要の喚起によって、IDCは半導体市場を見直してみると、不況のどん底から着実な成長へ移っていることを見出したため、上方修正することになった。2024年はじめにはエンドユーザーの需要と売上増加は一致するだろうとIDCは見ている。特にAIチップは、エッジからクラウドまで半導体売上額は2000憶ドルに達するだろうとIDCは予想している。DRAMのASP(平均単価)も上がり始めており、サプライチェーンでの投資もそのころから再開されるとしている。
図1 2023年10月はスマートフォンのYoY(前年比)で27カ月ぶりにプラス成長 出典:Counterpoint Research
IDCの見通しを裏付けるかのように、やはり市場調査会社のCounterpoint Research社は、2023年10月における世界のスマートフォンの販売台数は、2021年6月以来、前年同月比で初めてプラス成長を記録した、と発表した(参考資料2)。実に27カ月連続、前年同月比でマイナス成長が続いてきただけに(図1)、ようやく出口が見えてきたという感じになってきた。Counterpointによると、この10月の需要をけん引してきたものは、中東とアフリカ地域からの回復と、中国における華為の復活、インドにおけるフェスティバルシーズンの始まり、など発展途上国での需要が大きかった、という。もう一つの需要はiPhone 15のリリースが少し遅れたことも影響しているという。
参考資料
1. "Worldwide Semiconductor Market Outlook Upgraded to GROWTH from TROUGH: Semiconductor Market to Grow 20.2% in 2024 to $633 Billion, According to IDC", IDC (2023/11/14)
2. "October Global Smartphone Sales Break Two-Year Losing Streak, Path Set for Gradual Recovery", Counterpoint Research (2023/11/22)