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SEMIとTechInsights、半導体市場と装置市場を読む

世界半導体市場は不況の底から脱出しつつある。2023年第1四半期(1Q)を底として2Qが前四半期比(QoQ)で4.2%増の415.1億ドルになり、3QもQoQでさらに10%増加すると予想されている。前年同期比(YoY)ではまだ2桁%のマイナスであるが、少しずつ上向いている。このことはSPIマーケットセミナーでも議論するが、少なくともデータを見る限り確かだ。

IC Sales / TechInsights

図1 四半期ベースの世界IC販売額 出典:TechInsights


この予測は、SEMIと市場調査会社のTechInsightsが共同で調査したもの。これまで高かった在庫を調整するため、半導体製造企業は稼働率を抑え続けてきた。2023年後半まで抑えると2024年には適切な在庫になり需要も旺盛になってくる。2024年にはスマートフォンやパソコンなどの電子機器の販売額がこれまでのピークだった2022年を超すだろうと両社は見ている。

SEMIの市場調査部門のシニアディレクタであるClark Tseng氏は「当初の予想よりも回復が遅れたのは、在庫調整に時間がかかったため」と見ており、最近の動向を見ているとIC販売の最悪の底は脱出したと見ている。また、TechInsightsの市場分析ディレクタのBoris Metodiev氏は「半導体市場はこれまで4四半期連続でマイナスだったが、装置販売とファブ建設は予想よりも好調である」と見ている。各国政府のインセンティブによってファブ建設が加速し、高い受注残が装置販売を後押ししたという。


Total IC Inventory Versus Utilization / TechInsights

図2 IC在庫の推移と工場の稼働率 出典:SEMI、TechInsights


TechInsightsは、様々な電子機器を分解したり市場分析などを行ったりしており、半導体市場調査の旧VLSI Research と旧IC Insightsを買収し傘下に置くことで市場分析能力を上げている。

(2023/08/17)
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