パソコン出荷台数が4Q22に急落、だが在庫調整・新規需要に期待も
市場調査会社のIDCが発表したパソコンの世界出荷台数が2022年第4四半期に6720万台となり、前年同期比-28%という最大の落ち込みを示した(表1)。Lenovo、HP、Dellという大手3社がマイナス30%前後の大きな下落を見せたのに対して、Appleだけが2.1%減にとどまった。
表1 世界のパソコン出荷台数、22年4Qは最も大きく落ちた 出典:IDC
2022年全体のパソコン出荷台数は2億9230万台で、前年比16.5%減となった。しかし、これでも新型コロナ前の2019年の出荷台数2億6669万台よりも上である。新型コロナにより需要が20年、21年はむしろテレワークやテレ教育需要で、新型コロナ以前よりも高まったが、どうやら元に戻りつつあるようだ。
パソコンと半導体などの部品の在庫調整がまだうまく進んでいないため、ASP(平均単価)も下がり気味にあるという。気になるデータは2022年になってパソコン出荷台数は少しずつ落ちてきたが、この第4四半期に大きく落ちたことだ(図1)。
図1 2022年中、パソコン市場は落ち続けている IDCの数字を基にセミコンポータルが整理、グラフ化した
在庫調整が進み、ASPが上がり始めるとパソコン需要は回復する。IDCは今年後半までパソコン市場は立ち上がらないかもしれないが、低迷期は脱出し24年には立ち上がるとみている。さらにその先はどうなるか。PCに対する需要は新型コロナによって、Zoomに代表される安価なテレビ会議システムが生まれ、それらの普及がこれからのPC市場を後押しする。
コロナ以前のパソコン出荷台数は落ち続けてきており、2019年は2億6669万台とはいえ前年比2.7%と微増だが、回復の兆しを見せていた。新型コロナ需要により2020年は前年比13.1%増の3億260万台と伸ばし、2021年はさらに9.9%増の3億3977万台と2012年以来の高水準の台数を実現した。パソコンの新規需要が起きたことは、新型コロナという大きな不幸中の幸いといえるかもしれない。