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GaNパワーデバイスの世界ランキング、トップはNavitas社

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GaNパワーデバイスのサプライヤーの最新の上位ランキングを市場調査会社のTrendForceが発表した。これによると、1位はNavias社になりそうだとしている。2位には昨年1位だったPower Integrations社となっている。GaNパワーデバイス市場はスマートフォンの急速充電器に使われるようになって市場が立ち上がってきている。

Table1: Market Shares of GaN Power Devices Suppliers, 2020-2021 (per million chips shipped) TrendForce


図1 GaNパワーデバイスの世界ランキング 出典: TrendForce


2021年のGaNパワーデバイス市場は、前年比で73%増の8300万ドル(91億円)に到達しそうだとTrendForceは見ている(参考資料1)。今の所、それほど市場は大きくないため、これからはスピード感を持って先に量産を進める企業がシェアを高めることになりそうだ。

今年市場シェア29%に達し1位になりそうなNavitas Semiconductorは、GaNパワーICで成長している2014年創立されたスタートアップ。アイルランドに本社を構え、DellやLenovo、LG 小米、Oppoなど、スマホやパソコンメーカーとパートナーを組んでいる。特にスマホの急速充電器はGaNパワーIC「GaNFast」シリーズによって、効率をディスクリートよりも高められるため、小型・軽量化が可能になり、多くのスマホメーカーが採用した。昨年よりもさらに成長を加速するため、同社はファウンドリを従来のTSMC の6インチラインFab2から他社の8インチラインへ切り替える計画だ。同時に中国のファウンドリSAICも候補に入れているという。GaNパワーICを2022年にはデータセンター向けの電源(パワーマネジメント)向けに狙っている。

2位の米Power Integrationsは、長年GaN市場をリードしてきたが今年は2位になりそうだ。今年発表したGaNパワーIC製品「InnoSwitch 4-CZ」は急速充電市場に向けた製品で、同社は独自にPowiGaN技術を開発している。同社はAC-DCコントローラやUSB PD(パワーデリバリー)コントローラICにもGaN技術を集積している。PI社はパワーマネジメントで定評のある会社で、技術はしっかりしている。

第3位の中国Innoscienceは今年20%シェアを獲得しそうだ。ノートパソコンメーカーのティ1サプライヤーに初めて急速充電器が使われるようになったことで業績を伸ばした。同社のIDMビジネスモデルでは、蘇州にある8インチ工場が量産に入っており、大量のGaN ICに対応できた。さらに、LiDARやEV用オンボードチャージャー、LEDなどの電源向けにGaN ICの用途を広げていくとしている。

TrendForceによると、中国はGaNに大きな投資を行っており、2020年には25のGaNプロジェクト(LEDのような光デバイスは除く)に投資しており、総計700億元(約1兆2000億円)を超えたという。中国におけるGaN on Siウェーハは2021年前半で7量産ラインを持っており、さらに4ラインを建設中だという。SiCに関しても6インチラインを14本持っているとしている。

GaNデバイスの競争は、従来のディスクリートからICへ完全にシフトしたと言えそうだ。上位3社ともICメーカーとして急速充電器市場で売り上げを増やしている。従来、GaNデバイスの先駆者であった、TransphormやInfineon(旧International Rectifier)、GaN Systemなどはシェア1桁に留まっており、Navitas、PIに続くのは今後、中国勢かもしれない。

参考資料
1. "Navitas Takes Leadership Position in 2021 Ranking of GaN Power Devices Manufacturers with 29% Market Share by Shipment, Says TrendForce", TrendForce (2021/09/30)

(2021/10/06)

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