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半導体製造装置、健全な受注続く

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日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオが1329億6500万円、996億6600万円、1.33となり、正常値に戻った。半導体チップ市場はゆっくりとした伸びを示しているが、製造装置は健全な設備投資が見込まれ、今のところは着実に推移している。

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


この3月〜5月のB/Bレシオは2月の1.41から落ちて1.11、1.16、1.04と推移してきた。5月には受注額が前月比よりも落ち、要注意サインを出した(参考資料1)。しかし、日本では年度末が3月の企業が多いため、3月に販売額が増加する傾向が強い。しかも、SEAJのデータは3ヵ月の移動平均値で表しているため、3月に急増すれば5月まで増加したままになる。このため販売額は6月にがたんと落ちるのは毎年恒例といえる。この点、毎年の3〜5月の数字にはこのことを念頭に入れておく必要がある。

また、先月は受注額が落ちたため要注意サインを出したが、今月の受注額は先月よりも増えたため、先月の受注落ち込みは誤差範囲だったようだ。6月の受注額は1年前と比べても11.5%増加しており、悪い兆候は見られない。販売額は1年前より1.5%減だが、誤差範囲であろう。


図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


FPD製造装置は、ここ1年以上、B/Bレシオが1.50以上と異常な状況が続いており、ビジネス機会を失うことにつながる恐れを以前、指摘したが、この指摘は正しくなさそうだ。どうやら中国における液晶生産の手を緩めないという異常な中国経済の実態を反映しており、真の需要だと見てこなかった業界の判断は正しかったと思う。液晶パネルは中国メーカーの過剰生産により暴落し、在庫の山を築いていたからだ。

FPD製造装置メーカーはゆっくり需要を見定めながら、装置を出荷してきており、6月にはB/Bレシオが1.19という正常値を示した。また、3〜5月の異常に高い受注額を除くと、400〜500億円を推移しており、販売額が少しずつ増えている。ただ、これ以上の装置の生産は実需かどうかを見極めて出荷する必要がありそうだ。

参考資料
1. 5月の日本製半導体製造装置は一服、要注意 (2016/06/21)

(2016/07/22)

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