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5月の日本製半導体製造装置は一服、要注意

SEAJが発表した、2016年5月の半導体製造装置のB/Bレシオは1.04と1.0を超えてはいるが、要注意だ。3ヵ月の移動平均で表されるSEAJの統計数字には、単月の数字は公表されていないため、深読みが求められる。なぜ要注意か。

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


5月における受注額は1276億3200万円、販売額は1232億5000万円となっている(図1)。懸念される点は受注額がこれまで6ヵ月連続、右肩上がりで増えてきたが、5月には7ヵ月ぶりに6.2%減(前月比)と下がったからだ。一方で販売額は対前月比5%増えている。5月の数字は、3月〜5月の3ヵ月間の平均値をとっており、5月に販売額が少し増えたということは、単月では大きく増えたという意味であり、受注額は5月単月では大きく下がったことになる。

しかも販売額は3月の期末期に毎年まとめて支払われているため、3月単月では大きく伸びており、4月、5月とも毎年の販売額は、3,4,5月はフラットな高止まりの様相を示すはずである。ところが、5月の販売額は大きく増えたのにもかかわらず、受注額は減ったのである。総じて、1.04というB/Bレシオにはなったが、受注額が減少に転じたことは注意が必要だ。現場レベルでは、一服感があるはずだ。ただ、TSMCをはじめとして多くのファウンドリが投資を止めるという情報はないため、それほど大きく沈むわけではないだろうと予想するが、念には念を入れ、警戒しておく必要がある。

5月のFPD製造装置は、受注額が651億8000万円に対して販売額は360億7500万円で、B/Bレシオは1.81と相変わらずのバブル的な様相を示している(図2)。やはり、液晶パネルやテレビの中国市場が飽和していても、「作りすぎても作る」という共産主義的市場経済の特徴を示している。液晶生産では、今や中国が最大の生産国となっている。西側の市場経済の常識が通じないため、受注額が多いからと言って、これまで同様、販売額を増やすと怪我をする恐れがある。FPD製造装置メーカーは、少しずつ販売額を増やしながら様子を見ているため、賢い選択をしているといえよう。


図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

1. 半導体・FPDとも製造装置の好調続く (2016/05/24)

(2016/06/21)
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