中国のITエレクトロニクス産業第11期5ヵ年計画(06年〜10年)
3 つの“10”−2010 年に総売上10 万億元(約14 兆円)、GDP比10%、電話利用者数10 億世帯
中国の第10 期5 ヵ年計画(2000 年〜2005 年)を経て、中国のIT・エレクトロニクス(信息)産業は世界トップレベルに上ってきた。
2005 年には信息産業全体の国内総生産に占める割合は、第9 期5 ヵ年計画終了時点(2000年)の4%から7.2%へと上昇した。また、電子情報機器の輸出入額は対外貿易総額の35%に達した。まさに、信息産業は中国における戦略性、基礎性と先導性の点において重要な柱となっている。党中央、国務院は信息産業の発展を非常に重視している。
胡錦濤主席は、全国科学技術大会で、信息産業のコア技術を確立して、中国の産業競争力の突破口としたいと述べ、国務院が「信息産業部の第11 期5 ヵ年計画」を「国家第11 期5 ヵ年計画」に入れ、且つ、信息産業部と国家発改委と共同で信息産業部の「第11 期5 ヵ年計画」の策定作業を推進していくことを語った。
信息産業部と国家発改委は、2006 年に、共同で信息産業部第11 期5 ヵ年計画を発表している。下記は、この計画の具体的な位置づけと、今後の発展の方向性を示したものである。
- 国家計画の一環として、戦略的に信息産業を細かく分けて他の産業と深く関り合いを持たせ、信息産業が中国経済の発展と社会の進歩、人民の生活水準の向上に貢献させる。また国家防衛と安全にも貢献する。 「国民経済と社会発展第11 期5 ヵ年計画ガイドライン」、「国家中長期の科学と技術発展計画ガイドライン(2006〜2020 年)」、は、明確なビジョンを描いている。すなわち、信息産業は国家発展戦略と一体化して、産業全体の発展を導く役割である。
- “政府が計画を策定すること、政府の計画通り進行しているかを管理すること”という体制を維持する。信息産業部門の各管理者(責任者)が監査管理し、経済調整し、公共サービスを行っているか、監視を強化する。国家は各関連部署を統合して信息産業の更なる向上をサポートする。“後ろ一歩下がり、一歩高く立つ”という考え方で、具体的に実現していく。
- 広い視野から戦略的に産業全体を健全に、より高度に発展させて行く。また、産業発展の目標と重点を明確にして、産業発展の共通意識を持たせ新しい体制や新しい任務を作ることである。政府側が産業の発展方向をサポートし、そして各地域、各企業、各組織団体が国内外の発展環境や技術動向や市場変化のトレンドをよく判断して推進する。
基本的に、信息産業第11 期5 ヵ年計画は、“三転変一加強(3 つの転換と1つの強化)”を中心に展開していく。すなわち、通信産業は情報サービス型へ転換し、電子情報産業は革新効率型へ転換し、郵政産業は近代的な郵政産業へ転換していくことであり、ワイヤレスによって一括集中管理を強化していくことである。
主な目標を、「経済規模」、「サービス水準」、「革新力」、「競争力」と「協調性」の5つに置いている。定量的な目標は、3 つの“10”を目指している。2010 年には、中国信息産業の総売上を10 万億元(約14 兆円)、中国信息産業のGDP に占める割合を10%、中国の電話利用者数を合計で10 億世帯に達成させることである。このほか、電子情報機器の輸出入額は対外貿易総額に占める割合を現在の35%に維持する。
定性的な目標
(1)信息産業の独自革新
(2)産業発展の集約化
(3)産業発展の協調性をそれぞれ際立ってみせること
主要任務
(1)技術強化と事業革新
(2)インフラの建設と整備
(3)情報サービス水準の向上
(4)全面的に転換をはかること
(5)コアとなる基礎産業の発展
(6)産業の集約化
(7)新興産業の育成
(8)近代郵政産業の発展とワイヤレス管理
信息産業第11 期5 ヵ年計画を徹底的に実行するにあたって、下記の3つに重点を置く。
1)真剣に学び、推進の強化を図る
この計画は、産業全体の英知の集大成であり、国の財産でもある。また、今後5 年先の行動指針としている。このため、信息産業部は推進活動に取り組み、この業界に携わる人々に計画の真髄を学んでほしい。
2)リーダーシップの強化、責任の明確化
各地域の信息産業管理部門や通信管理局は、計画実施舞台となる組織のリーダーシップを強化することである。それぞれの責任と任務を明確にし、円滑なコミュニケーションにより緊密なタイアップを実現していく。
3)方案の策定を徹底的に実施
この第11 期5ヵ年計画は、業界と地域発展に重要な役割を果たしている。各地域、メーカー、組織団体は、最適な方案を策定して、この計画を中心に徹底的に実行していくことである。
セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2007年3月号からの一部抜粋です。