Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 産業分析

Bosch Sensortec、MEMSチップのインテリジェント化でトップシェア握る

MEMSでトップシェアのBosch Sensortecは、年間10億個以上のインテリジェントMEMSセンサを出荷できるようになり、あと5年の2030年までに累計100億個にする目標を掲げた。Bosch内の小さなグループとして出発したBosch Sensortecは、創業20年で今やMEMS出荷額でトップになった(図1)。今後もエッジAIのセンサをスマートフォンやウェアラブル、ヒアラブル、スマートホームに注力していく。

Top 30 MEMS vendor companies: 2024 rankings / Yole Developpement

図1 MEMSデバイスのトップはBosch Sensortec 出典:Yole Developpement


同社の定義するインテリジェントセンサとは、MEMS技術に組み込みソフトウエア、エッジAIを集積したもの。Bosch Sensortecは、センサからの生データをCPUに送るのではなく、エッジで処理してからCPUへ送る。インテリジェント化するのは、その生データをプライバシーの点から守るだけではなく、消費電力を下げてバッテリを長持ちさせ、ジェスチャー制御や屋内ナビゲーション、行動認識によるコンテキストアウェアネスなどでスマホやウェアラブル機器などをユーザーフレンドリにするためだ。

現在、世界17カ国に拠点を設け、50カ国から来た社員の会社に成長した同社CEOのStefan Finkbeiner氏(図1)は、Bosch Sensortecの神髄を常にスタートアップ精神だと語る。「最初は小さな部屋からスタートし、当時ガラケーをいじりながら、ジャイロセンサを使えばユーザーエクスペリエンスがこれだけ高まると説明していた」という。

Stefan Finkbeiner, CEO / Bosch Sensortec

図2 Bosch Sensortec CEOのStefan Finkbeiner氏 出典:Bosch Sensortec


「今も、これからの未来に向けて、創業精神は変わらない。当時の仲間は今でも在籍しているし、彼らが次なる製品を生み出すように創業精神を持ち続けている」と述べる。

創業時から一貫している技術は小型化である。「20年前の最初のMEMS製品のパッケージは現在量産製品のパッケージの15倍もあった。今の裸チップ(ダイ)は砂粒大しかないが(図3)、この信じられない小型化が今のインテリジェントな技術をもたらした」とFinkbeiner氏は語る。


インテリジェントセンサ / Bosch Sensortec

図3 インテリジェントセンサは砂粒大しかない 出典:Bosch Sensortec


同社の小型化の技術は、MEMSダイ層とASIC層をTSV(Through Silicon Via)貫通電極でつなぎ、さらに埋め込みボンディングのような先端パッケージ技術で実装してきたエンジニアリングのイノベーションにあるという。

この技術的なイノベーションのおかげでワイヤレスのステレオイヤホンをはじめとするウェアラブル機器が生まれた。機器設計者たちは、ハードウエアを一から作り直す必要がなくなり、ソフトウエアをアップデートするだけで新たな機能を追加できるようになり、ユーザー層が広がった、としている。

2024年だけで、Bosch Sensortecは、集積化されたMEMSセンサを10億個出荷した。2027年までに製品ポートフォリオの90%がインテリジェントMEMSセンサになると見ている。長期的には2030年には累計で100億個のインテリジェントセンサを出荷するという目標を持っている。

そのためには、シリコンからシステムへ、という次のイノベーションを構築し、明日のコネクテッド、サステイナブルな技術を形成したセンサソリューションを作り上げていく、とFinkbeiner氏は自信を見せる。

(2025/09/18)
ご意見・ご感想