富士フイルム、半導体材料を強化、製品ポートフォリオを拡大へ
富士フイルムが半導体材料を強化する作戦に打って出た。これまでの写真技術を応用する半導体リソグラフィ向けの材料(レジストや現像液)だけでなく、CVDのプリカーサやCMPスラリー、インターポーザの層間絶縁膜など半導体材料を開発している。2023年にはEntegrisの半導体プロセス材料事業を買収しており、半導体材料分野を強化する。
図1 富士フイルム取締役・常務執行役員兼エレクトロニクスマテリアルズ事業部長の岩崎哲也氏(左)と同社戦略・技術アライアンス推進シニアフェローの野口仁氏(右)
同社が半導体材料を強化する最大の理由は、半導体プロセスに使われるさまざまな材料製品を持っていると、装置メーカーとの協業ができるだけではなく、その近傍のプロセス材料も開発の対象となり製品ポートフォリオを広げられるからだ。同社の半導体材料の売上は2024年度で2504億円だが、2030年度には2倍の5000億円を目指す。この実現性に関しては、「前回の中期計画では2026年に2500億円の計画だったが、すでに2年前倒しで達成しているからだ」と同社取締役・常務執行役員兼エレクトロニクスマテリアルズ事業部長の岩崎哲也氏(図1)は強気で述べている。さらに半導体は成長産業であることを認識している。
元々同社の得意なレジストや現像液には開発の手は緩めない。ネガ型レジストに対応するNTI現像液の市場シェアは100%だという。またEUV向けのネガ型レジストとArFレジストを強化する。先端レジストの市場シェアを現座時の8%から2030年には20%に上げる目標を掲げている。そのためには、集膜KrFレジストのイメージセンサ向けの拡販や、引き合いが出てきたナノインプリントレジストの拡販、さらにPFASを含まないネガ型ArF液浸レジストの導入などの新製品も加えて、売り上げを4倍に上げるという目標を立てている。
また、後工程というべきか先端パッケージング工程というべきかという問題はあるが、再配線層(RDL)向けのポリイミド層間絶縁膜や、パッケージング工程用のCMPスラリー、さらにはパワー半導体向けのTIM(Thermal Interface Material)放熱材料をこれからの新製品として大きな売り上げに貢献すると見ている。

図2 フィルム上のポリイミドで層間絶縁膜を形成 出典:富士フイルム
例えば、ポリイミド樹脂に関してはフィルム状の感光性ポリイミドを開発しており、ベースフィルムにポリイミドフィルムを重ねた構造のフィルムを凹凸のある配線パターン上にフィルムを載せ、ベースフィルムをはがすことで層間絶縁膜とする(図2)。従来の塗布法で形成する技術とは違い平坦性が増すとしている。

図3 パワー半導体やヒートシンクを利用する半導体向けのTIM材料 出典:富士フイルム
TIMは、ヒートシンクと半導体パッケージや平らな金属端子との間に入れて熱伝導を改善する材料である。熱伝導率が大きく、電気伝導率は小さい(絶縁性が高い)ことが理想的ではあるが、絶縁性に関してはそれほど高くなくても良い用途もあるため、絶縁性については要求によって仕様や技術を変えていく、と同社戦略・技術アライアンス推進シニアフェローの野口仁氏は述べている。ただ、熱膨張係数の違いを小さくして信頼性を上げることは常に求められる。




