Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 産業分析

Intel、ファウンドリのビジネス展開への覚悟を示す、14AのIPだけじゃない

米Intelがファウンドリをビジネスとして確立するためのパートナーとのエコシステムを、新CEOであるLip-Bu Tan氏が、このほど開催したIntel Foundry Direct Connectで明らかにした。同氏はIntelを、技術、カスタマフォーカスだけではなく企業文化も変えることを訴えており、ファウンドリとしてのパートナーとして、EDAトップ3社に加え、PDF Solutionsを紹介した。

Intel Foundry Direct Connect / Intel

図1 Intel Foundry Direct Connectで基調講演を行うLip-Bu Tan CEO 出典:Intel


Intelのファウンドリ事業に関してはTSMCに指導してもらえというトランプ大統領の指示や、そのための買収案などが浮上していたが、Tan CEOは、ファウンドリとして設計ツールベンダーとのパートナー作りを、まずしっかりさせる決意を示した。そのため、IPビジネスに強いSynopsys、EDAツールにAIを組み込んだCadence Design Systems、シミュレーションのSiemens EDAに加え、プロセス分析ツールを提供するPDF Solutionsを紹介した。

SynopsysのSassine Ghazi CEOはこれまでIntelとは長い間パートナーを組んでIP設計フローやDFM(Design for Manufacturing)などで協力しており、最近ではIntel 18AおよびIntel 18A-Pプロセスノードのチップ設計においても一緒にPDK(プロセス開発キット)も一緒に取り組んできた。これからのIntel 14Aでも最初のTCADから始めPDKまでのIP製作まで一緒に取り組むことになる。コラボレーションによって設計上の難しさとプロセスとのギャップが縮まる。また、プロセスだけではなくパッケージも差別化要因となることを述べた。

CadenceのAnirudh Devgan CEOは、「AI時代には、AIを自社製品に組み込む方針で、チップ設計やシステム設計に使った結果、PPA(Performance、Power 、Area)が10~20%改善した」と述べた。「Intelのファウンドリビジネスにこれからの先端パッケージングや裏面電力供給技術などがあり、一緒にこれらの技術に取り組むことは望ましい。また、Intelのエコシステムの一員になることは『Intel One』チームになることになる」と語っている。

Siemens EDAは信頼性やコスト効率を上げることに長けている、とTan CEOは述べ、Siemens EDAのMike Ellow CEOを紹介した。Ellow CEOは「Siemensは物理検証やシミュレーションによってプロセス予知を手掛けてきた。SiemensとIntelは先端パッケージングで15年以上一緒に開発してきた。これからもシリコン半導体はますます技術の中心に来る。破壊的なイノベーションはAIでみるようにシリコンが、ベースになっている。レジリエンスやアジリティなどを含め先端ノードと共にIntelとこれからも一緒にやっていくことはワクワクする」と述べている。

「IntelはPDF SolutionsとDesign for Yield Manufacturabilityで協力してきた」とTan CEOが語りながら紹介したPDF SolutionsのJohn Kibarian CEOは「IntelとはPDKやデータで長年協力してきた。設計とプロセスのチーム同士が一緒に取り組み7nmプロセスを開発してきた。プロセスデータを設計チームに、またその逆でデータを共有することで歩留まりを上げるツールを完成させた」と述べ、今後の14Aに向けて、「Intelの裏面電力供給技術は全く新しい概念であり、これも解析や、タイミングクロージャ、評価(キャラクタリゼーション)を繰り返し、PDKを完成させるように協力したい」と述べている。

Intelそのものは、Intel 14Aプロセスについて述べている。14Aは現在PDKを特定ユーザーに評価してもらっているところだという。その裏面電力供給技術は、Intel 18Aの技術をベースに裏面からPowerViaを通して表面のデジタル回路へ供給する。

Intel 18Aはリスク生産に入っており、今年中には量産に入る予定だという。Intel 18Aの新製品技術であるIntel 18A-Pは性能を重視したプロセスであり、IPベンダーとEDAベンダーが対応開発中だとしている。

もう一つの製品Intel 18A-PTは性能と電力効率を上げがプロセス。Intelの3D-ICである Foveros Direct 3D技術と銅配線ピラーのピッチ5µm以下のハイブリッドボンディングを利用してIntel 18A-PTチップと上のチップとを接続できる。

Intel Foundryは、Intel14Aや18A-PTを使って、3D-IC技術やマルチダイの基板埋め込み技術のブリッジなども提供するとしている。また、HBM(High Bandwidth Memory)技術に使えるEMIB-T技術や、3D-ICのFoveros-R、Foveros-Bという派生品も先端パッケージ技術のメニューに加えたとしている。ユーザーの要求によってはAmkor Technology社とも先端パッケージで協力する。

(2025/05/01)
ご意見・ご感想