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Altera、Intelからの独立でTSMCなどのファウンドリ活用も可能に

Intelの子会社ではあるが、AlteraはFPGA(現場で回路を書き換え可能なロジック)メーカーとして2024年独立した。最近、記者会見を開き、IntelだけではなくTSMCをはじめとする世界中のファウンドリを使うことをAltera CEOのSandra Rivera氏が明らかにした。Intelはパートナーの1社であるが、Alteraは独立したFPGAメーカーに戻った。

Sandra Rivera, CEO, Altera / Altera

図1 Altera CEOのSandra Rivera氏 出典:Altera


独立したFPGAメーカーに戻ったAlteraにとって、かつての競合だったXilinxが市場から消えていた。AMDに買収されたからだ。FPGAデバイスは独立している方が、顧客から見ると、新システムに関して相談しやすい。果たして、かつての独立したFPGAメーカーのようなビジネスを実現できるか。その第一弾として3月11日ドイツのニュルンベルグで開催されるEmbedded Worldの基調講演において、Rivera CEOは大きく変わるエッジAIのインパクトについて語る。

AlteraはエッジでAIを操作できるFPGAとしてコスト的に安いAgilex 3の受注を開始、その量産は2025年内になる見込みだ。またそれより機能がやや高いAgilex 5は予定通り、量産を開始した。先に開発していたAgilex 7に関しては、高性能な8K映像の処理をデモする。

コスト効率の高いAgilex 3を含め、Agilexシリーズにはロジックエレメントが25,000〜135,000素子のFPGAを集積しているのに加え、デュアルコアのArm Cortex-A55プロセッサ、AIに最適化されたDSPコア、Tensorブロックなどを集積している。

受注を開始したAgilex 3のAI機能として、データセンターやネットワーク向けAIと、エッジAI向けがある、とDivera氏は言う。データセンター向けでは、CPUサーバーやGPUサーバーなどがあり、そのI/O制御用や事前の予備学習にFPGAファブリックが使えるとともに、AI/NIC(Network Interface Controller)などAIクラスタの制御用にもFPGAを使う。エッジAIでは推論に特化して、ロボットや無人運転車、医療機器などにAIの推論動作にFPGAを使うが、コプロセッサとしてAI専用DSPを使う訳ではない。AIの演算では、FPGAの特長として、FP32/16やBFLOAT16、Int8など様々なフォーマットに対応できる。またソフトウエア開発ツールをそのまま利用できる。


組み込みセグメントにおけるアルテラのプレゼンスを拡大 / Altera

図2 受注開始したAgilex 3の主な仕様 出典:Altera


性能的には、同社の前世代品であるCyclone Vと比べ性能は最大1.9倍、電力は最大38%削減可能だ。開発キットとしてAltera のFPGA AI Suiteを利用することで、Tensor FlowやPyTorchなど業界標準のフレームワークなどを元にカスタムAIを作ることができるという。iWaveとTerasicからパートナーボードを入手できる。

(2025/03/11)
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