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新ロゴでCMOSイメージセンサ市場を狙うOmnivision

CMOSイメージセンサで車載向けに強いOmnivision社は、CES 2022で新製品を続々発表し、新しいロゴ(図1)も発表した。このほど新製品のいくつかを紹介し、現在2位の車載市場で1位を目指すという決意表明を行った。

OMNIVISION INFINITE INGENUITY

図1 Omnivision社の新しいロゴ 出典:Omnivision


まず車載向けのイメージセンサでは、ドライバーモニタリング用5M画素の「OX05B1S」(図2)、サラウンドビューや電子ミラー向けの1/4インチ光学系VGAの小型3M画素の「OX03D4C」、前方カメラ用8M画素のADAS向けLFM(LED Flicker Mitigation:LEDのフリッカーを解消)イメージセンサを発表した。


OX05B1S / Omnivision

図2 ドライバーモニタリング用の5M画素のイメージセンサ 出典:Omnivision


「OX05B1S」のドライバーモニタリング機能は、運転手の顔を認識し、もし眠気がして目が閉じたり、よそ見をしていたりすると警報を鳴らすためのセンサで、可視光のRGBに加え、暗闇でも見える赤外線用のカラーフィルタも搭載して波長940nmでの赤外感度が高いとしている。また、サラウンドビュー用のセンサ「OX03D4C」は小型ながら140dBのダイナミックレンジを持ち、LEDフリッカーを解消する機能も内蔵している。前方カメラ向けのLFMセンサは物体認識に使うことからXilinxのMPSoCとMotovisのIPを搭載したカメラモジュールとして提供する。

モバイル用では、0.61µmとこれまで最も小さな画素を200M(2億)持つイメージセンサ「OVB0B」を発表した。16セル分のカラーフィルタアレイを持ち、日本のR&Dセンターで開発したという。次世代スマートフォン向けにTDD(タッチ&ディスプレイドライバ)IC「TD4377」も発表している。1080pのフルHDの解像度と144Hzの動画のフレームレートを持つ。

これからのメタバースの世界に向くAR/VR(拡張現実/仮想現実)に搭載する小型カメラモジュールとして、アイトラッキングソリューションもTobii社と共同開発している。これは目の動きに応じて見えるスクリーン上のオブジェクトの動きを変えられるもの。また、パソコンの額縁に取り付けられる小型のウェブカメラ用1/7インチサイズでフルHDビデオを実現する2M画素のセンサ「OV02C」は、タブレットやプレミアムPCなどの狭額縁用に向く。

医療の内視鏡向けのセンサもある。「OH0FA」は720×720画素で30fps(フレーム/秒)のフレームレートを持つ内視鏡向けセンサで、「OAH0428」コンパニオンチップと共に使えば広いダイナミックレンジとグローバルシャッター機能などを持たせることができる。図3の指先に乗ったチップがそれである。


OMNIVISION MEDICAL NEWS / Omnivision

図3 医療の内視鏡向けのセンサ「OH0FA」 出典:Omnivision


超小型のセンサなので耳鼻咽喉や心臓、間接、産婦人科向けの内視鏡としての応用があるとしている。

Omnivisionは、図1の新ロゴでこれから攻める姿勢を見せているが、2021年第1〜第3四半期の各分野における売り上げが大きく伸びた業績に自信をもったことが背景にある。センシングソリューション部門では、前年同期比23%増、アナログソリューションは同34%増、タッチ&ディスプレイソリューションは同121%増と大きく成長した。同社は、カリフォルニア州のサンタクララの本社地区だけではなく、ノルウェーやベルギー、北京、上海、横浜、シンガポールにもR&Dセンターを持ち、グローバルにビジネスを拡大しようとしている。22年は新しい旅、と表現する。

(2022/01/28)

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