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Intelの200億ドル投資は、製造力強化の序の口

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Intelの新CEOとなったPat Gelsinger氏(図1)は、米アリゾナ州に200億ドル(2兆円強)を投資、2つの工場を設立すると発表した。さらに1年以内に米国か欧州にも新工場を設立する可能性も示唆している。欧州アイルランドにIntelの半導体製造工場がすでにある。Gelsinger氏は、Intelの垂直統合が半導体製造に必要な4つのテクノロジーを備えている唯一の企業だという。

Intel Pat Gelsinger CEOのビデオメッセージ 手にしている製品はPonte Vaccio

図1 Intel CEOのPat Gelsinger氏 手にしている製品は1000億トランジスタという最大のトランジスタ数を持つ最新半導体のPonte Vaccio(ポンテバッキオと発音) 出典:Intel CEOのビデオメッセージのスクリーンショットから


4つのテクノロジーとは、ソフトウエア、シリコン&プラットフォーム、パッケージ&プロセス、そして大規模な製造能力である。これまではプロセスや製造にそれほど大きな力を入れているようには見えなかった。Intelの微細化製品の最先端が10nmプロセスであり、TSMCの7nmプロセスとは見劣りしていた。もちろんIntelの10nmプロセスはTSMCの10nmプロセスよりも小さく、7nmに近いとは分析されているものの、やはり見劣りは免れなかった。半導体は製造だけが難しいのではない。ソフトウエア開発も不可欠であり、優れたソフトウエア資産が半導体の価値を左右する。4つのバランスの取れたテクノロジーを持つ企業はIntelでだけであり、これがIntelの特長だと言う。

加えて、Intelはファブレスでは決してない。メモリやアナログ以外の半導体メーカーとして未だにIDMを貫いている。微細化投資も設計も同時に推進できるのは、Intel製品の平均単価が40ドル、とメモリやアナログに比べケタ違いに高いからだ。微細化投資ができるIDMは、Intel以外にはメモリのような安くても大量生産できるメモリのメーカーしかいない。Intelだけが微細化投資とIDMを両立できる。しかも今、メモリは微細化をけん引していないため、巨大ファウンドリだけが微細化投資できるメーカーとなっている。

遅れていた7nmプロセスの製品「Meteor Lake」は、2021年の第2四半期にテープインするとしている。Gelsinger氏は、チップレットを集積するパッケージング技術にも力を入れており、チップレット(小さなチップやIPを指す)という言葉を使わず、「タイル」を多数集積した「コンピュートタイル」と表現している。

さらにもう一つのメッセージは、ファウンドリサービスにも力を入れることだ。自社製品だけでは工場の生産能力が余ることは明確であるからこそ、ファウンドリビジネスとして米国と欧州の工場でファウンドリビジネスを徹底、世界中の顧客に対応する。ファウンドリ部門はIntel Foundry Services (IFS)として独立させたビジネスとし責任者も決めたが、Intelが管轄する。ファウンドリ会社は先端プロセスとパッケージング技術を組み合わせたことを特長とし、さらにCPUコアとしてx86アーキテクチャだけではなく、ArmやRISC-VのIPも扱う。IntelはAltera買収以来、Armコアのライセンスも受けている。

Gelsinger氏はIDMであり、かつファウンドリも展開する同社のビジネスをIDM2.0と定義している。こういった投資活動を通じ、次世代のイノベーションに備えると主張する。

製造能力の拡大がIntelの将来にもつながるとして、7nmでは積極的にEUVにも投資を行い、プロセスフローをシンプルにすると述べている。同時にファウンドリ専門メーカーの能力にも期待して関係を深めるとしている。これによってIntelよりも進んだ微細化技術を使わなければならないようなタイルの製造、すなわちTSMCのプロセスを使ったタイルの製造にも対処し、パッケージングで勝負する。

200億ドルの投資に伴うアリゾナでの2工場の拡張に関しては、3000名の雇用を生み、短期的な建設関係者3000名の雇用を創出するとしている。長期的には1万5000名の雇用につながると見積もっている。

研究開発では、IBMと共同で次世代ロジックの創出とパッケージング技術を開発することも発表している。これにより次世代半導体開発の計り知れない価値をもたらすと見ている。最後にIntel Developer Forumも復活させるという。

過去のIntel CEOがパソコン会社からデータカンパニーへシフトする、と述べていたこととは対照に、Gelsinger氏は4つのスーパーパワーとなる応用を、1)クラウド、2)コネクティビティ、3)AI、4)インテリジェントエッジ、と定義しており、エッジ側への投資にも力を入れる。

(2021/03/25)

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