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EUVの売上額が初めて光リソを抜く、オランダASMLの3Q決算

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光リソグラフィの限界からEUVリソの開発を続けてきたオランダのASMLの2020年第3四半期(3Q:7〜9月期)において、初めてEUVの売り上げが他のリソグラフィ売上額を抜いた(図1)。3Q におけるEUVの売上額は全体の売上額30億9600万ユーロ(1ユーロは約125円)の66%に及んだ。

Net system sales breakdown (Quarterly)

図1 EUVがASMLの売上額の半数を初めて超えた 出典:ASML


ASMLはEUV開発の一人旅だった。リソグラフィで世界の1位、2位を争っていた日本のニコンとキヤノンは開発早々に白旗を上げた。投資額に耐え切れないという理由だった。かつてはニコン、キヤノンを仰ぎ見ていたASMLは、微細化を進めるIntel、TSMC、Samsungなどからも出資を仰ぎ、IMECと共同開発を進め、できるだけ投資を分担することでEUV技術の実用化にこぎつけた。

2020年3QにおけるEUV装置の出荷台数は14台とこれまでで最も多い。売上額全体30億9600万ユーロの66%がEUVだから、EUVの平均売上額は20.4億ユーロ、すなわち2554億円だから1台平均182億円の単価になる。売上額そのものは、前年同期比で32.5%増となっている。営業利益率は30.7%と絶好調だ。

また、別の指標でも見てみよう。EUVだけではないが、ASMLの売上額の79%がロジックで残りの21%はメモリという結果だった(図1)。また地域別では台湾が47%と多く、韓国の26%、中国の21%となっている。米国が5%、欧州1%である。

また1Q〜3Qの売上累計額は97億2400万ユーロとなり、2017年全体の売上額をすでに超えた(図2)。このままいくと、史上最高の売り上げとなりそうだ。同社は装置の受注台数も発表しており、新規のリソグラフィ装置は67台、中古6台である。その前の2Q(4〜6月期)では新規装置28台、中古6台の受注だった。こういった受注額の数字を加味することで半導体製造装置メーカーは次四半期の見通しを立てることができる。


Total net sales € million by End-use

図2 これまでの売上額の推移 今年の3Qまでに2017年の売上額を超えた 出典:ASML


4Qの見通しは、36億~38億ユーロになりそうだと予想している。3Qまでの売上額97億2400万ユーロに4Qの見通しの数字を足すと、133~135億ユーロ(約1兆6625億円〜1兆6875億円)と約23%前後増の成長となる。

(2020/10/22)

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