セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

ASMLのEUV露光機、2015年の生産性は平均1000枚/日以上

|

オランダをベースとするASMLの2015年の業績と共に、EUV装置の最新情報が明らかになった。これによると、2015年に第4世代のEUV装置NXE:3350Bは2台出荷された。最初の実用機NXE:3300Bは半導体メーカーの工場で、1000枚/日以上の生産性を得ており、NXE:3350Bは1250枚/日以上の生産性を得ている。

半導体メーカーの工場ではEUVを使ったチップ製造の準備をしており、4週間で1万5000枚以上を露光した。また可用性(アベイラビリティ)は4週間平均で70%以上を達成し、4週間で80%を達成した時もあったという。可用性は、装置を稼働できる時間(実際の業務期間)の間に実際に稼働した時間の割合を表す。年平均だともっと低いという。

2016年の目標は、生産性が1500枚/日以上で、可用性が4週間平均80%以上、NXE装置の出荷台数6〜7台(NEX:3300とNXE:3350、NXE:3400)となっている。

図1 ASMLで2015年後半に売れた装置 出典:ASML

図1 ASMLで2015年後半に売れた装置 出典:ASML


ASMLは最先端のEUV装置ではなく、光の露光装置が主力製品である。ArF液浸装置とKrF装置がよく売れている(図1)。2015年に次世代液浸装置TWINSCAN NXT:1980の立ち上げに成功、この装置を7台出荷した。

ASMLの業績も発表され、好調さを表している(図2)。これによると2015年の売り上げは過去最高の62億8700万ユーロ、営業利益15億6500万ユーロ、純利益13億8700万ユーロであった。さすがに第4四半期の売上額は、前月比、前年同月比よりも下がったが、2015年は第1四半期に16億5000万ユーロと、大きく伸ばしたことが奏功した。


図2 過去最高の売り上げを達成したASML 出典:ASML

図2 過去最高の売り上げを達成したASML 出典:ASML


2016年の第1四半期の見込みも発表している。売り上げは13億ユーロ、粗利益率42%(2015年全体は46.1%)、研究開発コストが2億7500万ユーロ、SG&Aコスト(販管費)9000万ユーロ、その他収入(カスタマ共同投資計画)が2300万ユーロとなっている。ロジックのカスタマ(ファウンドリやIntel)には、10nmプロセス装置の立ち上がりを期待しており、第2四半期から始まる見込みだ。そうなると売り上げは、第1四半期よりも第2四半期の方で大きく増加することになる。


図3 これから必要となる装置の受注残 ArF液浸とEUVが伸びる 出典:ASML

図3 これから必要となる装置の受注残 ArF液浸とEUVが伸びる 出典:ASML


2016年はさらに期待できそうだ。受注状況は2015年第3四半期に新製品32台が第4四半期に39台に増え、中古も第3四半期の3台から第4四半期に5台へと増加している。新規受注だけではなく受注残も増えている。2015年第3四半期には新規61台、28億3500万ユーロだが、第4四半期には同68台、31億4900万ユーロに増えている(図3)。それもArF液浸、EUV、KrFの順に多い。

(2016/01/22)

月別アーカイブ