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グローバルなM&Aやビジネスモデルの変更が続出する海外の半導体業界

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グローバルな業界再編が相次いでいる。半導体各社が自分のコアコンピタンスを明確に定義し、その強みをさらに磨くための再編であり、外国企業との提携・買収が最近続出している。スイス企業が米国企業の一部を買収、IDTはTSMCにファブを移転、米国IPベンダーが英国ベンダーを買収する。いずれも外国企業を相手としている。

8月14日に、スイスのデジタルテレビ用ICのファブレスAbilis Systems社が米国のFreescale Semiconductor社からCMOSの変調回路ICとシリコンチューナーIC 製品ラインを買収すると発表した。デジタルテレビ受信機用の1チップRF CMOS ICを提供しているAbilisはこの買収により、デジタルテレビやそのチューナ用のICの製品ポートフォリオを拡大できる。Abilisは2009年10月からAbilisブランドでこれらの製品を販売する。

Freescale のデジタルホームオペレーション部門の主力メンバーもAbilis社(Freescaleの拠点であったアリゾナ州チャンドラー)のもとに引き連れていく。これによって顧客の移行もスムーズに図ることができるとしている。Abilisは2004年にモトローラSPSにいたエンジニアやマネジャーが設立したファブレス・ベンチャー。2006年にスイスのデジタルセキュリティ会社のKudelskiが出資したことで今はKudelski Groupの1部門となった。高い受信品質とフレキシブルなソフトウエア無線を利用する。

IDTは段階的にファブライトからファブレスへ

通信用半導体や高速SRAMの米国半導体メーカーIDT(Integrated Device Technology)社はこれまでのファブライトのビジネスモデルからファブレスへと転換を図ることを決めたと、8月17日のElectronic Newsが報じた。同社が持っているオレゴン州ヒルスボローで稼働していた製造プロセスなどを台湾のTSMCへ移転する。約2年かけて移転を完了する計画だ。ただし、プロセス装置やファシリティは移転しないという。この提携では、IDTが生産している既存の0.13μmの製品も含まれる。

この提携によって、IDTのシステムノウハウやアーキテクチャとTSMCの先端プロセスプラットフォームとを結びつけることができ、より強くなれるとIDTは言う。IDTとしてはファブレスモデルにより、自分たちの得意なリソースや投資を新製品の開発に向けることができる。

8月18日には米西海岸のIPベンダーであるVirage Logicが英国のコンフィギュラブルプロセッサIPベンダーのARC Internationalを買収すると発表した。Virage LogicはエンベデッドのSRAMや不揮発性メモリー、ロジック、インターフェースなどのIPを得意とする会社で、これまでプロセッサコアを持っていなかった。今回、ARCを買収することでプロセッサコアもそろえることができる。ARCは、2009年6月末までの直近の12カ月間の売り上げは2400万ドル(約24億円)で、今回Virage側の買収提案は1株当たり16.25ペンスであり約4100万ドルに値する。

(2009/08/19)

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