7月の半導体販売高、さらに増勢;米国対中規制強化、中国自立化台頭
米国・Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、$62.1 billionと新たな大台に入って月次最高をまたも更新、前年比20.6%増、前月比3.6%増で、前月比は5ヶ月連続の増加である。
AI(人工知能)関連需要が引っ張るこの増勢が今後どう続くか、パソコン、スマホはじめ従来の応用分野の回復がどうあらわれていくか、いろいろ関連する動きを見渡しながらの今後への注目である。次に、米国政府が主要半導体メーカーの中国工場に対する半導体製造装置出荷の輸出優遇措置を撤回して、特に先端装置の入手が困難となる事態を、中国側が非難している。新たな摩擦の一方、中国では半導体の一層自立化に向けた動きが台頭している。
≪7月の世界半導体販売高;新たな米中対立&対峙模様≫
米国・SIAからの今回の販売高の発表が、次の通りである。
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○7月のグローバル半導体販売高、前年同月比20.6%増―世界半導体販売高、前月比3.6%増 …9月5日付け SIA/Latest News
米SIAが、2025年7月のグローバル半導体販売高が$62.1 billionで、前年同月、2024年7月の$51.5 billionに比べて20.6%の増加、そして前月、2025年6月の$59.9 billionを3.6%上回った、と発表した。
月次販売高は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)機関が集計し、3ヶ月移動平均を表している。SIAは、売上高で米国半導体業界の99%を代表し、米国以外のチップ企業のほぼ3分の2を代表している。
「7月の世界半導体販売高は引き続き堅調で、6月を上回り、昨年7月を大きく上回った。」と、SIAのpresident and CEO、ジョン・ニューファー氏。「アジア太平洋地域と南北アメリカ大陸における堅調な需要が引き続き成長を牽引している。」
地域別では、7月の前年同月比で、Asia Pacific/All Other (35.6%), the Americas (29.3%), China (10.4%), およびEurope (5.7%)で増加したが、Japan (-6.3%)では減少した。7月の販売高前月比では、the Americas (8.6%)およびAsia Pacific/All Other (4.9%)では増加、Europe (0.0%)は変わらず、そしてJapan (-0.2%)およびChina (-1.3%)では減少した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Jul2024 | Jun 2025 | Jul 2025 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 15.41 | 18.33 | 19.91 | 29.3 | 8.6 |
Europe | 4.16 | 4.40 | 4.40 | 5.7 | 0.0 |
Japan | 3.90 | 3.67 | 3.66 | -6.3 | -0.2 |
China | 15.41 | 17.24 | 17.02 | 10.4 | -1.3 |
Asia Pacific/All Other | 12.60 | 16.28 | 17.08 | 35.6 | 4.9 |
計 | $51.48 B | $59.91 B | $62.07 B | 20.6 % | 3.6 % |
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市場地域 | 2- 4月平均 | 5- 7月平均 | change |
Americas | 18.26 | 19.91 | 9.0 |
Europe | 4.28 | 4.40 | 2.9 |
Japan | 3.72 | 3.66 | -1.7 |
China | 16.22 | 17.02 | 5.0 |
Asia Pacific/All Other | 14.51 | 17.08 | 17.7 |
$56.99 B | $62.07 B | 8.9 % |
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※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2025/09/July-2025-GSR-Table-and-Graph.pdf
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今回の発表が週末に行われて、業界各紙の取り上げは、本欄を埋めている時点、見当たらない状況である。
2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。
パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
2月の販売高としては史上最高を記録しているが、以下に示す通り、前月比で3ヶ月連続減少しており、今後に注目するところである。
3月は若干持ち直して、前月比減に歯止めを施す見え方となっている。四半期の締めで集中駆け込みの可能性もあり、引き続き推移に注視を要する。
4月も引き続き盛り返して、2024年11月の最高に迫る水準である。今後も増勢が維持されるかどうか、注目である。
5月は$58.98 Billionと、以下で分かる通り、昨年の11月を上回って、月次最高となり、たぶんに史上最高の月次水準になる覚えである。このAIが引っ張る増勢の今後に注目するところである。
そして、6月は$59.91 Billionで、またも月次最高、どこまでいくか、という見方&期待であり、$60 Billionの大台に迫っている。
7月は、またも最高更新、$62.07 billionと新たな大台に突入している。AI需要が引っ張る市場景観、特に増勢がこのままいつまで続くのかに注目である。
販売高 | 前年同月比 | 前月比 | 販売高累計 | |
2022年 1月 | $50.74 B | 26.8 % | -0.2 % | |
2022年 2月 | $50.04 B | 26.1 % | -1.4 % | |
2022年 3月 | $50.58 B | 23.0 % | 1.1 % | |
2022年 4月 | $50.92 B | 21.1 % | 0.7 % | |
2022年 5月 | $51.82 B | 18.0 % | 1.8 % | |
2022年 6月 | $50.82 B | 13.3 % | -1.9 % | |
2022年 7月 | $49.01 B | 7.3 % | -2.3 % | |
2022年 8月 | $47.36 B | 0.1 % | -3.4 % | |
2022年 9月 | $47.00 B | -3.0 % | -0.5 % | |
2022年10月 | $46.86 B | -4.6 % | -0.3 % | |
2022年11月 | $45.48 B | -9.2 % | -2.9 % | |
2022年12月 | $43.40 B | -14.7 % | -4.4 % | $584.03 B |
2023年 1月 | $41.33 B | -18.5 % | -5.2 % | |
2023年 2月 | $39.68 B | -20.7 % | -4.0 % | |
2023年 3月 | $39.83 B | -21.3 % | 0.3 % | |
2023年 4月 | $39.95 B | -21.6 % | 0.3 % | |
2023年 5月 | $40.74 B | -21.1 % | 1.7 % | |
2023年 6月 | $41.51 B | -17.3 % | 1.9 % | |
2023年 7月 | $43.22 B | -11.8 % | 2.3 % | |
2023年 8月 | $44.04 B | -6.8 % | 1.9 % | |
2023年 9月 | $44.89 B | -4.5 % | 1.9 % | |
2023年10月 | $46.62 B | -0.7 % | 3.9 % | |
2023年11月 | $47.98 B | 5.3 % | 2.9 % | |
2023年12月 | $48.66 B | 11.6 % | 1.4 % | $518.45 B |
2024年 1月 | $47.63 B | 15.2 % | -2.1 % | |
2024年 2月 | $46.17 B | 16.3 % | -3.1 % | |
2024年 3月 | $45.91 B | 15.2 % | -0.6 % | |
2024年 4月 | $46.43 B | 15.8 % | 1.1 % | |
2024年 5月 | $49.15 B | 19.3 % | 4.1 % | |
2024年 6月 | $49.98 B | 18.3 % | 1.7 % | |
2024年 7月 | $51.32 B | 18.7 % | 2.7 % | |
2024年 8月 | $53.12 B | 20.6 % | 3.5 % | |
2024年 9月 | $55.32 B | 23.2 % | 4.1 % | |
2024年10月 | $56.88 B | 22.1 % | 2.8 % | |
2024年11月 | $57.82 B | 20.7 % | 1.6 % | |
2024年12月 | $56.97 B | 17.1 % | -1.2 % | $616.70 B |
年間最高更新 | ||||
2025年 1月 | $56.52 B | 17.9 % | -1.7 % | |
2025年 2月 | $54.92 B | 17.1 % | -2.9 % | |
2025年 3月 | $55.90 B | 18.8 % | 1.8 % | |
2025年 4月 | $56.96 B | 22.7 % | 2.5 % | |
2025年 5月 | $58.98 B | 19.8 % | 3.5 % | |
2025年 6月 | $59.91 B | 19.6 % | 1.5 % | |
2025年 7月 | $62.07 B | 20.6 % | 3.6 % |
次に、また新たな米中対立模様である。米国政府の中国向け先端半導体製造装置の輸出出荷に神経を尖らせる動きについて、以下続いていく。
◇TSMC reportedly cuts Chinese chipmaking tools from 2nm fabs as suppliers face scrutiny due to emerging new US restrictions―Reports: TSMC excludes Chinese tools from 2nm fabs―Excluding Chinese gear is only half the story. (8月29日付け Tom's Hardware)
→TSMCは、米国議会が「懸念される外国企業」からの購入を制限するチップ機器法(Chip EQUIP Act)の成立に向けて動き出す中、2ナノメートルチップ生産ラインから中国製装置を排除し、米国、日本および欧州製の装置を導入すると報じられている。TSMCはまた、中国へのエクスポージャーと利益率に焦点を当て、台湾のサプライヤーを監査している。
サムスン、SKハイニックスおよびインテルの中国事業部門に対するvalidated end-user(VEU:認証エンドユーザー)のステータスが剥奪される動きである。
◇US to make it harder for SK hynix, Samsung to make chips in China (8月30日付け The Korea Times)
→米国商務省は、サムスン、SKハイニックスおよびインテルの中国事業部門に対するVEUのステータスを剥奪し、半導体製造装置の輸出にライセンス取得を義務付ける。この措置は120日以内に発効し、生産能力の増強を抑制することを目指している。
一方、韓国政府は影響の軽減に努めると表明している。
◇US to make it harder for SK hynix, Samsung to make chips in China (8月30日付け The Korea Times)
→米国商務省は、サムスン、SKハイニックスおよびインテルの中国事業部門に対するVEUのステータスを剥奪し、半導体製造装置の輸出にライセンス取得を義務付ける。この措置は120日以内に発効し、生産能力の増強を抑制することを目指している。一方、韓国政府は影響の軽減に努めると表明している。
◇U.S. Export Waiver Revocations Put Samsung and SK hynix in Limbo―SK Hynix, Samsung in limbo as US revokes export waivers (9月1日付け EE Times)
→1)米国政府は、インテル、サムスン、およびSKハイニックスに対し、先端ウェハ製造装置およびツールの中国への輸出に関するVEU免除を撤回した。
これらのVEU免除は、2022年10月に前政権が先端製造ツールに課した輸出規制への対応として導入された。VEUステータスの失効(120日以内に完了予定)により、インテル、サムスン、およびSKハイニックスは、中国の製造施設向けに米国製のチップ製造装置を購入するためにライセンスを取得しなければならない。これは個別審査につながり、ライセンス取得には3〜6か月かかる可能性がある。
2)米国はサムスン電子とSKハイニックスに対し、有効とされていたエンドユーザー向け免除を取り消し、中国への先端半導体製造装置の輸出にライセンスの取得を義務付けた。これにより、操業は最大6か月遅延する可能性があり、特にサムスンの西安におけるNANDフラッシュメモリ生産、およびSKハイニックスの無錫と大連におけるDRAMおよびNANDフラッシュメモリ生産に影響が及ぶ可能性がある。この動きは規制上の不確実性をもたらし、中国の半導体製造工場は成熟した半導体プロセスへと向かう可能性がある。
中国側がこの動きを非難している。
◇Latest US chip move harmful to global chain―Measures aim to contain China's rise, hurting tech companies globally (9月2日付け China Daily)
→米国は、インテル、サムスン、SKハイニックスの中国拠点に対し、許可証なしで半導体製造装置を輸入する許可を取り消した。中国側はこれを非難した。専門家は、この措置が世界の半導体サプライチェーンを脅かすと警告する一方、中国企業は研究開発(R&D)とイノベーションへの取り組みを強化している。
上記に加えて、TSMCも然り、対象になっている。
◇The U.S. makes it harder for TSMC, SK Hynix and Samsung to produce chips in China (9月3日付け CNBC)
→1)*この変更により、TSMCは12月31日付けで、検証済みエンドユーザー(VEU)ステータスとして知られるファストトラック輸出特権を失うことになる。TSMCは水曜3日にCNBCに対し、この変更を確認した。
*米国が中国との半導体貿易政策の転換を続ける中、韓国のメモリチップメーカーであるSKハイニックスとサムスン電子も輸出特権を失うことになる。
2)米国はTSMCに対し、南京工場への主要半導体製造装置の輸出免除を取り消し、VEUステータスのファストトラックを終了させた。この動きはSKハイニックスとサムスンにも影響を及ぼし、既存の事業は容認しつつ、中国の半導体産業の成長を抑制しようとする米国の姿勢を示唆している。
◇US pulls TSMC’s waiver for China shipments of chip supplies (9月3日付け Taipei Times)
→1)米国は、サムスンとSKハイニックスに対する同様の措置に追随し、TSMCの南京工場への主要装置の自由出荷許可を2025年12月31日までに取り消す。この変更によりライセンス取得のハードルが高まり、米国の同盟国の懸念にもかかわらず、半導体サプライチェーンに不確実性をもたらすことになる。
2)米国はTSMCに対し、南京の半導体工場への必須装置の自由供給許可を取り消した。これにより、生産が制限される可能性がある。これはサムスンとSKハイニックスに対する同様の制限に続くもので、免除は2025年12月31日までに期限切れとなる。
◇TSMC中国工場、米政府が装置輸出の優遇措置を撤回 (9月3日付け 日経 電子版 16:36)
→半導体世界大手のTSMCは、中国・南京市の工場への米国製製造装置の搬入を巡って米政府から得ていた優遇措置が撤回されると明らかにした。米政府から12月31日に終了するとの通知を受けた。終了後は装置ごとに個別の輸出許可を得る必要がある。
TSMCは南京市に米政府が規制対象とする回路線幅16ナノメートルなどの半導体工場を持つ。
◇TSMC stock steady despite status loss (9月4日付け Taipei Times)
→1)影響は限定的:南京では比較的低速のチップしか製造されていないため、中国市場へのエクスポージャーが比較的小さいことが投資家の信頼感を維持した可能性が高い。
2)TSMCは、南京工場のVEUステータスを失ったにもかかわらず、株価は堅調に推移した。同工場では旧式のチップを扱っており、中国市場はTSMCの売上高のわずか9%を占めていることから、アナリストは影響は限定的だと予想している。
米国政府対応に関連する動き&内容が、以下の通りである。
◇Apple has survived Trump’s tariffs so far. It might raise iPhone prices anyway (9月3日付け CNBC)
→1)*AppleがiPhone 17の発表準備を進める中、一部のアナリストは、CEOのティム・クック氏が関税回避のためにあらゆる努力を払ってきたにもかかわらず、Appleが価格を引き上げると予想している。
*アパレル、靴、コーヒーおよびゲーム機などの消費財は、関税コストの影響で価格上昇している。ウォール街のアナリストの中には、Appleも価格上昇に追随すると見ている者もいる。
*Jeffriesのアナリスト、Edison Lee氏は7月のレポートで、iPhone 17の平均販売価格予測に50ドルの値上げを織り込んだ。同氏はApple株の投資判断を「ホールド」としている。
2)AppleのCEO、ティム・クック氏は、関税の脅威を緩和するために$600 billionの米国投資を約束し、トランプ大統領とウォール街から称賛された。しかし、アナリストたちは、新モデルがよりスリムなデザインで発売され、価格が上昇する可能性があるため、例外措置にもかかわらずiPhoneの価格が上昇する可能性があると警告している。
◇Sen. Rand Paul blasts Trump’s stake in Intel as ‘a step towards socialism’ (9月3日付け CNBC)
→1)*Rand Paul上院議員(共和党、ケンタッキー州選出)は、トランプ政権によるインテル株10%取得の決定を批判した。
*「『悪い政策があるから、少しは社会主義を容認しよう』と言うのは常に間違いだ」とランド議員はCNBCに語った。
*インテルは先月、米国政府がインテル普通株に$8.9 billionを投資したと発表した。
2)ランド・ポール上院議員は、トランプ政権によるインテルへの$8.9 billionの投資を「社会主義への一歩」と厳しく批判した。ポール議員は、政府によるインテル株の保有は自由市場を阻害すると警告したが、トランプ大統領とその支持者たちは、株式取得はアメリカとインテルにとって有益だと擁護した。
◇'Doomer science fiction': Nvidia criticizes proposed US bill that would force it to give American buyers 'first option' in AI GPU purchases before selling chips to other countries, including allies- GAIN AI Act debuts in defense spending bill―Nvidia criticizes bill prioritizing US buyers of AI GPUs―American buyers should be prioritized ahead of all others, according to U.S. legislators (9月4日付け Tom's Hardware)
→エヌビディアは、「国家AIへのアクセスとイノベーションの保証に関する法案」を批判している。この法案が可決されれば、AIプロセッサメーカーは同盟国を含む海外の顧客よりも米国の顧客を優先することが義務付けられる。エヌビディアは、この法案は年間防衛政策パッケージの一部であり、「悲観的なSF小説に基づいている」と述べ、エヌビディアH100のような高度なグラフィックプロセッサの輸出を制限することで米国企業に悪影響を及ぼすと警告している。
◇米テック首脳、再びトランプ詣で 過度な接近に政治介入リスク (9月5日付け 日経 電子版 05:50)
→米テクノロジー企業のトップらが4日、米ホワイトハウスのイベントに出席し、トランプ米大統領と面会する。一堂に集うのは1月の大統領就任式以来。企業は独占禁止法を巡る裁判やAI規制で懐柔を狙って政権にすり寄るが、過度な接近は政治介入で事業がゆがめられるリスクをはらむ。
米国政府の動きがいろいろ波紋を呼んでいる一方、中国では、米国の規制を受けながらも可能な範囲の先端半導体自立化に向けた取り組み&動きが以下の通り見られている。
◇China Accelerates ‘Nvidia Independence’: AI Chip Production to Triple Next Year―Huawei to Launch AI Chip Factory This Year; SMIC Expands 7nm Production (8月29日付け Business Korea)
→中国はNVIDIAへの依存を減らすため、AIチップの生産を急速に拡大しており、Huaweiは3つの新工場を建設し、生産量を3倍に増やすと予想されている。米中貿易摩擦の激化はこの動きを加速させ、国内チップメーカーの力を高め、先端半導体における自立化を後押ししている。
◇エヌビディア株3%安 AI半導体、中国勢が増産 (8月30日付け 日本経済新聞 夕刊)
→米半導体大手エヌビディアの株価が29日、米株式市場で前日終値に比べ約3%下落した。中国ネット通販大手のアリババ集団がAI半導体を開発したと伝わり、成長鈍化リスクへの懸念が広がった。米輸出規制で先端品を投入できない中国市場で競合が代替品を開発する動きが加速している。
◇日経平均株価868円安、「中国AI脅威論」再び 半導体関連総崩れ (9月1日付け 日経 電子版 12:06)
→1日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前週末比868円(2.03%)安の4万1849円で午前の取引を終えた。中国のアリババ集団が新しくAI向け半導体を開発したとの報道で、米国の優位性が揺らぐとの懸念から、半導体関連株が下落した。投資家が想起したのは今年1月の「DeepSeekショック」だ。「中国のAI脅威論」が再び日本株に冷や水を浴びせた。
◇SMIC to take full control of subsidiary chip foundry as China’s fab industry consolidates (9月1日付け South China Morning Post)
→1)この動きは、中国の大手半導体ファウンドリが事業統合と成長促進を目指す広範な取り組みの一環だ。
2)中国最大の半導体メーカーであるSMICは、子会社のSMNCを国営投資家から完全買収し、業界統合を推進する。この動きはHua Hong(華虹)の戦略を反映しており、収益性の向上、株主還元の強化、そして競争力の強化を目指している。
◇中国アリババがAI競争力に磨き 4〜6月設備投資3倍、半導体も開発か (9月1日付け 日経 電子版 17:31)
→中国ネット通販最大手のアリババ集団が、AIの競争力向上へ投資を増やしている。2025年4〜6月期の設備投資額は前年同期比3倍強となり、AIの基盤強化などに充てた。AI用の半導体の開発にも乗り出したとみられる。AIを軸とするクラウド事業を通販に次ぐ成長の柱に育てる。
◇Opinion | Why US export controls won’t stop China’s AI rise (9月2日付け South China Morning Post)
→1)ワシントンによる先端チップへの規制は短期的な障害となるかもしれないが、北京の包括的なアプローチはAIにおけるリーダーシップへと前進させている。
2)OpenAIのCEO、Sam Altman氏は、米国の輸出禁止措置が中国のAIの台頭を阻むことはないと警告した。チップ規制にもかかわらず、北京はエンジニアリングソリューション、国内イノベーション、アプリケーション主導型プロジェクト、人材育成プログラム、そしてオープンソースの連携を通じて、AIの発展を推進している。
◇[News] Applied Materials Reportedly Flags Minimal Effect of U.S. Incentives, Offers Nuanced View on China (9月2日付け TrendForce)
→アプライド・マテリアルズは、米国のインセンティブの影響を軽視し、リショアリングは台湾からの生産移転による総需要の増加にはつながらないと述べている。それでも、アリゾナ州で$200Mの追加投資を計画している。Hill(ヒル)CFOは、中国の逆風と$400Mの受注残を挙げ、AI主導の2nmおよび28nmプロセスの成長が2026年の成長を牽引すると予想している。
◇[News] China’s Chip Industry Surges in 1H25 - 38 A-Share Listed Firms Reportedly Post Growth (9月4日付け Trend Force)
→中国の半導体産業は、AI需要の牽引により急成長を遂げています。上場企業102社のうち66社が黒字を計上し、CambriconとHygonは大幅な成長を遂げた。大手ファウンドリであるSMICとHua Hongは売上高、利益、および稼働率が向上し、パッケージングメーカーのJCETは20%の成長を遂げた。
◇[News] Chinese Cloud Giants Reportedly Pursue NVIDIA’s H20 Despite Pressure, Eye B30A as Good Deal (9月4日付け Trend Force)
→ロイター通信によると、NVIDIAのH20チップは、前四半期の売上がゼロだったにもかかわらず、アリババやバイトダンスといった中国のIT大手の間で依然として需要がある。企業は、NVIDIAの中国向けB30Aに注目している。これはBlackwellベースのチップで、価格は2倍になるものの、大幅なパフォーマンス向上が見込まれる。
どう体系だって収束し、進んでいくか、米中双方それぞれに今後注目するところである。
激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。
□8月31日(日)
上海協力機構の首脳会議に続いて北京での軍事パレード。米欧&同盟国に対峙する勢力圏の国々トップの揃い踏みが見られている。
◇上海協力機構、天津で首脳会議開幕 中ロ印など20カ国以上出席 (日経 電子版 21:18)
→中国天津市で31日、新興国の協力枠組みである上海協力機構(SCO:Shanghai Cooperation Organization)首脳会議の2日間の日程が始まった。習近平国家主席が主催し、ロシアのプーチン大統領やインドのモディ首相ら20カ国以上の首脳が出席する。習氏は31日夜、夫人の彭麗媛氏と共に天津市内で各国首脳らを歓迎する晩さん会を開いた。
□9月3日(水)
Labor Dayで月曜がお休みで今週は4日の取引、雇用の冷え込みが見られて最後は下げとなった米国株式市場である。
◇NYダウ続落、249ドル安 金利上昇でハイテク株に売り (日経 電子版 06:44)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、連休前の前週末に比べ249ドル07セント(0.54%)安の4万5295ドル81セントで終えた。米国の財政不安を背景に米長期金利が上昇し、株式の割高感が意識された。ハイテク株を中心に売りが出て、指数を押し下げた。
□9月4日(木)
◇NYダウ3日続落、24ドル安 米景気や財政に不透明感強く (日経 電子版 06:00)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続落し、前日比24ドル58セント(0.05%)安の4万5271ドル23セントで終えた。米経済や財政を取り巻く不透明感から景気敏感株などが売られた。
一方、グーグルの反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る裁判所の判決を受けて親会社のアルファベットが大幅上昇し、アップルも買われた。主力株の一角には引け間際に押し目買いが増えたとみられ、下げ渋って終えた。
□9月5日(金)
◇NYダウ反発、350ドル高 FRBの利下げ観測が支え (日経 電子版 06:38)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発した。前日比350ドル06セント(0.77%)高の4万5621ドル29セントと、最高値を付けた8月28日以来の高値で終えた。米サービス業の景況感改善が投資家心理の支えとなった。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを再開するとの観測も株買いを後押しした。
米国の我が国に対する関税の件、やっと大統領令署名が行われている。
◇トランプ氏、自動車関税引き下げの大統領令に署名 日本向け15%に (日経 電子版 09:21)
→トランプ米大統領は4日、日米の貿易合意に関する大統領令に署名した。米ホワイトハウスが発表した。現在25%の自動車関税の税率を12.5%に下げ、既存の税率2.5%と合わせた税率を計15%にすることを盛り込んだ。自動車関税の引き下げは7月に日米で合意し、日本側が早期実施を求めていた。大統領令の内容が連邦官報に掲載されてから7日以内に詳細が示される。
□9月6日(土)
◇冷え込む米雇用、市場は楽観論修正 金利急低下でも株220ドル安 (日経 電子版 06:20)
→金融市場で米景気の先行きへの警戒感が広がっている。8月の米雇用統計が労働市場の一段の減速を示したことを受け、5日は安全資産とされる米国債買いで金利が急低下する一方、米株相場は下落した。市場はFRBのより積極的な利下げを織り込みつつ、景気の楽観論の修正を探る。
≪市場実態PickUp≫
【Broadcom関連】
Broadcomが好調な業績を発表、AI半導体で頭角とあらわされている。新規顧客の大型受注があるとのこと、関連する内容が以下の通りである。
◇Broadcom’s stock pops on mystery $10 billion AI customer (9月4日付け CNBC)
→1)*ブロードコムの株価は、この1年間でほぼ倍増した。このチップメーカーは、AIブームの中心に位置づけられている。
*アナリストは、売上高の伸びが年内は横ばいとなり、2026年には若干加速すると予測している。
*ブロードコムは、Googleをはじめとする大手クラウド企業向けにカスタムチップを開発している。
2)ブロードコムは、第3四半期の売上高が$15.96B(前年同期比22%増)となり、市場予想を上回り、第4四半期の業績見通しも好調であった。$10Bの新規カスタムAIチップ受注を発表したことを受け、株価は上昇した。AI関連の売上高は63%増の$5.2Bとなり、NVIDIAの優位性に挑戦できるという楽観的な見方が高まっている。
◇半導体ブロードコム、8〜10月24%増収見通し 新規顧客の生産受注 (9月5日付け 日経 電子版 08:11)
→米半導体大手ブロードコムが4日発表した2025年5月〜7月期決算は売上高が前年同期比22%増の$15.952 billion(約2兆3700億円)だった。25年8〜10月期の売上高見通しは24%増の$17.4 billion前後と市場予想を上回った。AI半導体の需要を取り込み、収益が拡大している。
◇AI半導体ブロードコムが頭角 「次のNVIDIA」時価総額200兆円 (9月5日付け 日経 電子版 11:30)
→米半導体大手ブロードコムがAI半導体で頭角を現している。4日に発表した2025年5〜7月期決算は、AI関連の売上高が前年同期比で63%増えた。データセンター向けの特注半導体を米テック企業から多数受託しており、「米エヌビディアに次ぐ銘柄」として時価総額は200兆円超に急拡大した。
◇OpenAI、米ブロードコムとAI半導体を量産 注文「1.5兆円」 (9月6日付け 日経 電子版 06:01)
→米オープンAIが米半導体大手ブロードコムの協力を得て、2026年に独自のAI向け半導体の量産を始めることが明らかになった。複数の欧米メディアが5日までに報じた。AI半導体の供給を一手に引き受ける米エヌビディアへの依存度を下げ、AI開発やサービス提供の制約を減らす。
【TSMC関連】
1.4-nmの取り組み、直近四半期での世界ファウンドリーシェアが初めて7割突破、など以下の通りである。
◇TSMC to break ground on 1.4nm fab next month―TSMC plans $49B fab for 1.4nm process in Taiwan (9月1日付け Electronics Weekly (UK))
→*TSMCは10月に1.4nmプロセス向け$49 billion規模のFab 25施設の建設に着工する予定。と台湾のEconomic News Dailyが報じている。
*台湾のEconomic News Dailyによると、TSMCは10月に$49 billion規模の1.4nmプロセス向けFab 25の建設に着工する予定だ。Fab 25を構成する4つのファブのうち最初のファブで、1.4nmプロセスの試作生産が2027年末に開始される予定だ。
Fab 25は、台中市近郊の台湾中部サイエンスパークに建設される。4つのファブすべてが1.4nmプロセスを採用し、毎分5万本の生産能力を持つ。
◇TSMC is Set To Raise Prices of Cutting-Edge Chips By Up To 10%, As It Tries to Maintain Profit Margins With ‘Hefty’ US Tariffs―TSMC to increase prices for advanced chips amid US tariffs, reports say―TSMC's 5nm & Lower Chips Might See a Decent Price Hike, Forcing Big Tech to Pay More For Their Orders (9月1日付け Wccftech)
→台湾の巨大企業は、サプライチェーンの混乱により同社の利益率が低下したため、すべての先進ノードの価格を値上げすることを織り込んでいると報じられている。
◇TSMC and Hon Hai using Nvidia RTX Pro Servers for AI (9月1日付け Taipei Times)
→TSMC、Hon Hai、そしてシーメンス、日立、ヒュンダイ、ディズニー、およびEli Lillyといった世界的大手企業が、AIワークロードの高速化にNVIDIAのRTX Proサーバーを採用した。NVIDIAによると、このプラットフォームにより、企業はデータセンターを全面的に改修することなく、AIファクトリーインフラへのアップグレードが可能となる。
◇TSMC波及効果、鹿児島や長崎も狙う 企業進出の補助金8倍も―新生シリコンアイランド 熊本だけじゃない(上) (9月2日付け 日経 電子版 05:00)
→九州で半導体産業に勝機を見いだす地域が広がっている。鹿児島県は進出する中小企業への補助金上限を8倍に引き上げ、長崎県は半導体関連の成長戦略をまとめた。TSMC進出で熊本県の地価は高騰し、周辺にも波及効果が及ぶ。企業や研究機関が集まれば、機運の高まる「サイエンスパーク」構築が近づく。
◇TSMC widens global foundry lead (9月3日付け Taipei Times)
→TrendForceによると、TSMCは第2四半期にAIとスマートフォンの需要に後押しされ、世界ファウンドリーシェア70.2%を記録し、売上高$30.24Bを達成し、市場シェアをさらに拡大した。Samsungのシェアは7.3%に低下し、SMICとUMCは追随を許さなかったものの、上位10社のファウンドリー売上高は前年同期比14.6%増の$41.72Bとなった。
◇TSMC、半導体受託シェアで初の7割超 4〜6月、民間調べ (9月3日付け 日経)
→台湾調査会社のトレンドフォースがまとめた2025年4〜6月期の半導体受託生産(ファウンドリー)の世界市場調査によると、TSMCのシェアが四半期として過去最高の70.2%となった。
スマートフォンやAI向け半導体の販売が好調で初めて70%を超えた。
【SK Hynix関連】
初の321層QLC NANDフラッシュ、そしてメモリメーカーでは初のHigh-NA EUV装置据え付け、以下参照である。
◇SK hynix Commences Mass Production of 321-Layer QLC NAND Flash (8月29日付け EE Times India)
→SK hynix Inc.は、321層2TB QLC NANDフラッシュ製品の開発を完了し、量産を開始した。これは、QLC技術を用いて300層以上を実装した世界初の成果であり、NANDの高密度化における新たなベンチマークとなる。同社は、グローバルな顧客検証を完了した後、来年前半に製品をリリースする予定である。
◇SK hynix Introduces Industry's First Commercial High NA EUV―SK Hynix debuts high-NA EUV system for DRAM production (9月3日付け DigiTimes)
→SKハイニックス株式会社は本日、韓国・利川市のM16製造工場において、業界初となる高開口数(High NA)EUVリソグラフィー装置を量産向けに組み立てたと発表した。
システム組み立てを記念するイベントでは、SKハイニックスの研究開発責任者であるCha Seon Yong氏、製造技術責任者であるLee Byoungki氏、そしてASMLのSKハイニックス・ジャパン顧客チーム責任者であるKim Byeong-Chan氏が、次世代DRAM製造に向けたこの装置の導入を祝った。
◇SK hynix adopts next-generation ASML production equipment for DRAM (9月3日付け The Korea Times)
→SKハイニックスは、Icheon M16工場に業界初の高開口数(High-NA)EUVリソグラフィー装置を導入し、チップ精度を1.7倍に向上させた。このアップグレードは、次世代メモリ開発の加速と、AIに重点を置いた技術リーダーシップの強化を目的としている。
◇Hynix instals High-NA EUV machine for memory production―SK Hynix installs ASML high-NA EUV lithography system (9月5日付け Electronics Weekly (UK))
→1)SK Hynixは、ASMLの次世代高開口数EUVリソグラフィー装置をメモリメーカーとして初めて導入した。
2)SK Hynixは、ASMLの次世代高開口数EUVリソグラフィー装置であるTwinscan EXE:5200BをM16ファブにメモリメーカーとして初めて導入した。予定より6か月早く納入されたこの装置は、解像度を40%向上させ、より微細なパターンとより高いトランジスタ密度を実現する。これにより、SK Hynixは高性能コンピューティング(HPC)およびAI向けDRAMおよび高帯域幅メモリ(HBM)の生産を飛躍的に向上させることができる。
【インド関連】
モディ首相が来日、そしてSemicon India 2025開催、など以下の通りである。
◇インドのモディ首相、「半導体立国」へ日本視察 新幹線導入で産業集積 (8月31日付け 日経)
→インドのモディ首相は30日、石破茂首相と宮城県を訪問し、半導体製造装置大手の東京エレクトロンの工場を視察した。インド政府は「半導体立国」を目指し、海外から投資の呼び込みを強化している。世界で高まる半導体の需要をつかみ、次の経済成長のけん引役に育てる。中国の影響力を抑えるためにも日本の技術力への期待は大きい。
◇Semicon India 2025: World ready to build semiconductor future with India, says PM Modi―The PM said that the power of 21st century has been condensed into a small chip. (9月2日付け The Statesman)
→Narendra Modi首相は、セミコン・インディア2025サミット(9月2−4日:New Dehli)において、40〜50カ国から専門家が出席していることは、半導体の未来を形作るインドへの世界的な信頼の表れだと述べた。首相は$80B規模のプロジェクトを挙げ、$1T(1兆ドル)規模の市場においてインドが大きなシェアを確保することを誓った。
◇CG Semi Launches End-to-End OSAT Facility in Gujarat (9月3日付け EE Times India)
→CG Power and Industrial Solutions Ltdの子会社であり、Murugappaグループ傘下のCG Semi Pvt Ltdは、グジャラート州サナンドに初のアウトソーシング半導体組立・試験(OSAT)施設を開設した。
CG Semiは、インド初のフルサービスOSATプロバイダーとして、従来型から先進的なパッケージング技術まで幅広いソリューションを提供する。
【中国関連】
米国との摩擦の中、自立化を図る中国について、上にも示しているが、AI半導体のカンブリコン・テクノロジーズはじめ以下それぞれに注目である。
◇Chinese AI chip designer firm Cambricon drops 9% (8月30日付け Taipei Times)
→AIチップメーカーのカンブリコン・テクノロジーズが、134%の急騰は制裁、製品制限、および評価の不一致によるリスクに直面していると警告したことを受け、同社の株価は9%近く下落した。これは、中国のチップ関連株高騰と監視強化に対する高まる懸念を浮き彫りにしている。
◇AI新興マヌス、中国色薄める 「第二のディープシーク」海外へ 規制・競争激化を回避 (8月30日付け 日経)
→中国発のAI「Manus(マヌス)」が中国色を薄めている。サービス開始前に中国市場から撤退し、開発会社がシンガポールに拠点を移した。マヌスは「第二のDeepSeek」として注目されたが、中国の規制や米中対立が成長のハードルになると判断した。
◇Cambricon Rises as China’s AI Chip Champion―Alibaba reportedly launches a new, RISC-V based, AI Inference Chip (9月1日付け EE Times)
→北京に拠点を置く半導体メーカー、カンブリコン・テクノロジーズは、中国本土で最も時価総額の高い銘柄に躍り出た。これは、AIチップが酒類などの伝統的な産業よりも投資家の関心を集めるようになったことによる、中国資本市場における大きな変化を示唆している。
先週、カンブリコンの株価は月曜日に11.60%急騰し、過去最高の1,384.93元に達した。これにより、時価総額は5,793億8,000万元($81 billion)に達し、白酒の名門蒸留酒メーカーである貴州茅台酒を抜いて、中国株式市場で最も高額な銘柄となった。
◇中国企業の世界シェア15品目で低下 24年、米規制・内需不振で陰り―【イブニングスクープ】 (9月1日付け 日経 電子版 18:12)
→日本経済新聞が主要な製品・サービスの2024年の世界シェアを調べたところ、中国勢が監視カメラや家電など全体の2割にあたる15品目で低下した。電気自動車(EV)やスマートフォンで高シェアを維持する一方、米国政府が規制や関税で圧力を強める。不動産バブル崩壊に伴う内需不振が続くなか、中国企業の競争力に陰りがみえる。
◇Alibaba tests new AI chip as China seeks Nvidia alternatives―Alibaba tests AI chip in push for self-sufficiency (9月2日付け RCR Wireless News)
→アリババによる新しいAIチップの開発は、中国のテクノロジー企業が外国のAIチップサプライヤーへの依存を減らす取り組みの中で行われた。
◇中国版エヌビディア、カンブリコン株が急騰 AI発展、米依存脱却に期待 (9月3日付け 日経)
→中国株式市場で、半導体のカンブリコンの株価が急騰している。市場は中国産AIがエヌビディアなど米国勢の力を借りずに発展できるとの確信を深めつつある。きっかけは中国新興AI、DeepSeekの新型の大規模言語モデル(LLM)だ。
◇Huawei launches second trifold smartphone at $2,500 as it looks to cement comeback (9月4日付け CNBC)
→1)*ファーウェイは木曜4日、第2世代の三つ折りスマートフォン「Mate XT」を発売した。
*同社のMate XTは、同社独自のOSの最新バージョンであるHarmonyOS 5.1を搭載し、価格は17,999中国元($2,520)からとなっている。
*ファーウェイは、Mate XTによって、2023年後半以降、中国スマートフォン市場で再び勢いを増してきた同社の勢いを維持できると期待している。
2)ファーウェイは、中国市場への復帰と海外市場への再参入を確固たるものにするため、第2世代の三つ折りスマートフォン「Mate XT」を2,520ドルから発売した。デュアルヒンジ、HarmonyOS 5.1、そしてPCのような生産性向上ツールを搭載することで、ファーウェイは折りたたみスマートフォン市場でのリードをさらに拡大することを目指している。
◇Tech war: China advances in AI agentic tools as Tencent, ByteDance weigh in (9月4日付け South China Morning Post)
→1)深センに拠点を置くテンセントは火曜2日、新たなエージェントフレームワーク「Youtu-Agent」をオープンソース化し、AIエージェント開発競争に新たに参入した。
2)中国のテクノロジー大手は、AutoGenやOpenAI Swarmといった米国のリーダー企業に挑戦状を叩きつけ、AIエージェントフレームワークの開発にしのぎを削っている。テンセントはアリババやバイトダンスに続き、エージェント構築を簡素化するフレームワーク「Youtu-Agent」をオープンソース化し、AIエージェント分野における中国の存在感の高まりを示唆した。
【我が国関連】
我が国の半導体関連各社の動き&取り組みについて、順調な進展を願って、以下の通りそれぞれ定点観測の視点である。
◇Socionext expands production-ready 3DIC technology for AI and HPC devices―Socionext offers 3DIC support for AI, HPC applications (9月1日付け New Electronics)
→1)ソシオネクストは、コンシューマー、AI、およびHPCデータセンターアプリケーション向けに、チップレット、2.5D、3D、および5.5Dパッケージングを含む包括的なソリューションを提供するため、ポートフォリオに3DICサポートを追加することを発表した。
2)ソシオネクストは、コンシューマー、AIおよびHPCデータセンターアプリケーション向けに、チップレット並びに2.5D、3Dおよび5.5Dパッケージングを含む3DICサポートを開始した。ソシオネクストは、TSMCのSoIC-X 3Dスタッキング技術を採用し、3ナノメートルのコンピューティングダイと5nmの入出力ダイをフェイスツーフェイス構成で組み合わせることで、消費電力と信号遅延を削減した。
◇[News] Rapidus 2HP Reportedly Surpasses Intel 18A Logic Density Impacted by BSPDN, Rivals TSMC (9月1日付け TrendForce)
→Rapidusは2nm「2HP」ノードの開発を進めており、TSMCのN2密度に匹敵し、Intelの18Aを上回ると報告されている。同社は競争力維持のため、機敏性とより高速なシングルウェーハプロセスに注力しており、2nm PDKは2026年第1四半期に発売され、2027年の量産開始を目指している。
◇日本の光通信技術、Googleなどに売り込み データセンターで活用想定 (9月1日付け 日経 電子版 14:26)
→総務省は日本が強みとする高速の光通信技術を米国に売り込む。生成AIの普及で投資が加速するデータセンターでの利用を想定する。グーグル、マイクロソフト、オラクルといった米国の企業や政府関係者と日本企業を仲介する場を設け、米国市場の開拓を後押しする。米首都ワシントンの日本大使館で3日に初の交流会を開く。
◇TOLL package of 650V SiC mosfets includes Schottky―Toshiba debuts 650V SiC MOSFETs with TOLL packaging (9月2日付け Electronics Weekly (UK))
→1)東芝は、TOLLパッケージを採用した産業用650V SiC MOSFET 3品種を発表した。オン抵抗は27mΩと極めて低い製品。
2)東芝は、TOリードレスパッケージを採用した産業用650V SiC金属酸化膜半導体(MOS)電界効果トランジスタ3品種を発表した。オン抵抗は27mΩと極めて低い製品。9ピン4端子のTOLLパッケージは、寄生インピーダンスを最小限に抑えることでスイッチング損失を低減する。
◇半導体企業への政府出資、公募を開始 ラピダス念頭 (9月3日付け 日経 電子版 13:53)
→経済産業省は3日、政府が出資する半導体製造事業者を選ぶための公募を始めた。最先端品の量産を目指すラピダスを念頭におく。生産開始の時期や技術開発の進捗、顧客の獲得状況などを踏まえて判断する。
公募は10月2日まで。2025年度予算で1000億円を確保しており、年度内に独立行政法人の情報処理推進機構を通じて出資する見通しだ。前提として、重要事項について政府が拒否権を持てる黄金株の発行を求める。重要技術の流出防止対策も要件とする。
◇先端半導体技術開発へ企業連合 レゾナックなど27社 (9月4日付け 日経)
→レゾナックは3日、同社を含め半導体製造に関連する国内外27社でコンソーシアムを設立したと発表した。生成AIなど向けに高速大容量で情報を処理する先端半導体用の技術を開発する。東京エレクトロンなど参加各社の出資金は計260億円となる。川崎市や茨城県を拠点に研究し、業界標準となり得る技術を5年内に実用化する。
コンソーシアムの名称は「JOINT3」。半導体製造装置を手掛ける東エレや米アプライドマテリアルズ、キヤノン、日立ハイテク、荏原などのほか、材料や薬剤を供給するレゾナックやAGC、JX金属、東京応化工業、古河電気工業、花王、米スリーエムなどが名を連ねる。欧州やシンガポールの企業も加わっている。
◇[News] Resonac Teams up with Applied Materials, TEL and Other Chip Giants on Panel-level Interposers (9月4日付け Trend Force)
→日本の材料リーダーであるレゾナックは、アプライド マテリアルズを含む26のグローバルパートナーと共同で、FOPLP材料、ツール、および515×510mmの試作パネルを開発するためのJOINT3プロジェクトを立ち上げる。茨城に新設された研究開発センターは、2026年から5年間、総額$174M規模のプロジェクトを支援する。
◇ソニー系、半導体生産をAIでカイゼン 画像センサーのノイズ7割減 (9月5日付け 日経 電子版 05:00)
→ソニーグループの半導体子会社ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)がAI技術を使って半導体性能を高めた。素材企業と連携して製造工程を仮想空間に再現し、AIが半導体製造の最適な条件を見いだした。AIを使った生産性や品質向上の取り組みは製造業全般で広がっている。