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5月世界販売高、増勢維持、6ヶ月連続$50 billion台、先行き懸念渦中

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜8日午後時点、世界全体で5億5346万人に達し、7日前の午後から599万人増、前週比62万人増と依然増加している。我が国でも感染再拡大、「第7波」対応に追われている。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、この5月について$51.8 billionと月次最高を更新、前月比1.8%増、前年同月比18.0%増である。これで6ヶ月連続$50 billion突破の月次販売高であるが、昨年の販売高増加に伴って前年同月比が13ヶ月続いた20%増の大台を割り込んでいる。先行き、consumer市場需要減少、DRAM価格低下など懸念が渦巻いて、推移に注視するとともに身構える施策の動きもみられている。

≪5月の世界半導体販売高≫

米国・SIAからの今回の発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇5月のグローバル半導体販売高が、前年同月比18.0%増、前月比1.8%増‐Americas地域販売高が前年同月比36.9%増、すべての地域別市場を牽引 …7月5日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2022年5月のグローバル半導体業界販売高が$51.8 billionで、前年同月、2021年5月の$43.9 billionに対し18.0%増、そして前月、2022年4月の$50.9 billionより1.8%増、と発表した。月次販売高はWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の99%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「5月のグローバル半導体需要は依然高く、前年同月比で販売高がすべての主要地域別市場および製品カテゴリーにわたって力強く増加している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「引き続き高い半導体需要は、先行き一層の半導体リサーチ、設計、および製造を必要とする。我々は、この半導体生産および革新の大部分が米国の地で行われることを確かにする超党派の革新&競争力法制化の敏速な施行をWashingtonの指導者の方々に強く求めるものである。残された時間はわずかである。」

5月販売高は、昨年の5月に対して、Americas(36.9%), Japan(19.8%), Europe(16.1%), Asia Pacific/All Other(15.8%), およびChina(9.1%)と全地域で増加した。前月比では、Japan(3.9%), Americas(2.9%), China(1.7%), およびAsia Pacific/All Other(1.1%)では増加したが、Europe(-0.7%)では減少した。

                       【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
May 2021
Apr 2022
May 2022
前年同月比
前月比
========
Americas
8.91
11.86
12.20
36.9
2.9
Europe
3.83
4.48
4.44
16.1
-0.7
Japan
3.45
3.98
4.13
19.8
3.9
China
15.61
16.73
17.02
9.1
1.7
Asia Pacific/All Other
12.11
13.88
14.03
15.8
1.1
$43.90 B
$50.92 B
$51.82 B
18.0 %
1.8 %

--------------------------------------
市場地域
12- 2月平均
3- 5月平均
change
Americas
11.68
12.20
4.4
Europe
4.51
4.44
-1.5
Japan
3.86
4.13
7.0
China
16.67
17.02
2.1
Asia Pacific/All Other
13.32
14.03
5.3
$50.04 B
$51.82 B
3.6 %

--------------------------------------

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2022/07/May-2022-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑


これを受けた業界紙の取り上げである。

◇Global Semiconductor Sales Increase 18.0% Year-to-Year, 1.8% Month-to-Month in May (7月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇May semi sales up 18% y-o-y‐May semiconductor sales were up 18% y-o-y at $51.8 billion compared to the May 2021 total of $43.9 billion and up 1.8% on April's $50.9 billion, saysthe SIA. (7月8日付け Electronics Weekly)

◇Global Semiconductor Sales Up 18% YoY in May (7月8日付け EE Times Asia)

2022年の世界半導体販売高は、年間史上最高を大きく更新した2021年を上回れるかどうか、2021年と対比しての以下の見方を行っている。月次最高の2021年12月を若干下回った2022年1月であったが、2月はさらに減ったものの$50 billionを辛うじて上回り、以降3月、4月と$51 billionには及ばないものの伸ばして、4月は月次最高を更新、高水準でフラットな1−4月の推移となっている。5月は、$51 billion台後半高めにつけたが、2021年も5月以降増加のテンポに乗り始めており、2022年も同様に乗れるかどうか。前年同月比20%越えが、この5月は届かない結果となっている。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %
2021年 3月 
$41.05 B
17.8 %
3.7 %
2021年 4月 
$41.85 B
21.7 %
1.9 %
2021年 5月 
$43.61 B
26.2 %
4.1 %
2021年 6月 
$44.53 B
29.2 %
2.1 %
2021年 7月 
$45.44 B
29.0 %
2.1 %
2021年 8月 
$47.18 B
29.7 %
3.3 %
2021年 9月 
$48.28 B
27.6 %
2.2 %
2021年10月 
$48.79 B
24.0 %
1.1 %
2021年11月 
$49.69 B
23.5 %
1.5 %
2021年12月 
$50.85 B
28.3 %
1.5 %
$540.87 B
→史上最高更新
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %


今後の市場展開にますます目が離せない様相であるが、現下の関連する動き、内容を以下取り出している。

まずは、Samsung関連。今後に向けてメモリ半導体の値下げの検討である。

◇Samsung mulls memory chip price cuts in 2H22‐Sources: Samsung considers price cuts for memory chips (7月5日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electronicsは2022年下半期にメモリ半導体の価格を下げることを検討しており、市場シェアをさらに拡大することを目指している旨。

厳しい事前の見方があったSamsungの4-6月四半期業績は、予想を上回るものであった。

◇サムスン電子の4-6月増収率、市場予想上回る−株価上昇 (7月7日付け ブルームバーグ 日本語版)
→韓国サムスン電子の4-6月(第二四半期)売上高は前年同期比21%増と予想を上回る伸びとなり、原材料費の高騰と消費者需要の鈍化がテクノロジー大手各社に及ぼす影響を巡る投資家の最悪の懸念が和らいだ旨。
7日発表の暫定集計によると、4-6月の売上高は77兆ウォン(約8兆円)。期中にウォンが対ドルで下落したことが寄与した旨。一方、営業利益は同11%増の14兆ウォンと、ここ2年余りで最低の伸び。アナリストの予想平均は14兆6000億ウォンだった旨。

◇Chips drive highest Samsung Q2 profit since 2018, but demand cooling‐Samsung posts Q2 profit of $10.7B on memory chip sales (7月7日付け Reuters)
→Samsung Electronicsの第二四半期の営業利益が、前年同期比11%増の$10.7 billion。第二四半期の売上げは、主に同社のメモリ半導体事業の力強さにより、同21%増。

つられて、TSMCの株価も一時急上昇が見られている。

◇TSMC株、一時5.4%急上昇−サムスン決算好調で半導体銘柄に買い (7月7日付け ブルームバーグ 日本語版)
→半導体受託生産を手掛ける台湾積体電路製造(TSMC)の株価が7日の取引で、一時5.4%上昇した旨。ライバルの韓国サムスン電子が予想を上回る4-6月(第二四半期)売上高を発表したことを受け、関連銘柄が値上がりした旨。サムスン電子は消費者需要の鈍化が懸念されていたが、メモリーおよび半導体製造事業の好調が影響を埋め合わせたもよう。テクノロジー業界の減速が、当初警戒されたほど深刻ではない可能性が示唆された旨。

台湾政府は、受注依然好調とのあらわし方である。

◇台湾半導体企業、受注状況は依然好調=経済部長 (7月6日付け ロイター 日本語版)
→台湾の王美花経済部長(経済相)が6日、ハイテク関連需要の減速が懸念される中、域内半導体企業の受注状況は依然好調と述べた旨。
記者団に対し、「現時点で各社の受注はまだ非常にいっぱいだ」と語った旨。

一方では、半導体の不足のなかでの市場急転懸念があって、対応施策の動きが見られている。

◇三菱UFJ、半導体など在庫買い取り、資金繰り支援【イブニングスクープ】 (7月5日付け 日経 電子版 18:00)
→三菱UFJ銀行は企業の在庫を一時的に買い取り、財務負担を軽減するサービスを始める旨。企業は必要なときに、あらかじめ決められた条件で在庫を買い戻す旨。企業にとっては在庫を長期間抱え続ける必要がなくなり、資金を効率的に使えるようになる旨。国内の在庫の規模は120兆円前後とされ、新たな資金調達手段として注目されそう。
サプライチェーン(供給網)の混乱が続くなか、半導体などの在庫を多めに確保しておきたいと考える企業は増えている旨。ただ、在庫を過剰に抱え込めば、その分だけ資金繰りは厳しくなり、経営の効率が悪くなるという問題があった旨。

◇IC design houses caught in dilemma over LTAs with foundries‐Sources: Long-term foundry deals challenge IC design firms (7月7日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ファウンドリパートナーとの間で締結された長期契約(LTA)は、消費者の需要が弱まっている中で、IC設計会社が下半期に該契約を尊重すべきかどうかというジレンマに陥っている旨。

半導体不足のインパクトが、依然影を落としている。

◇任天堂「スイッチ」販売3割減 ソニーPS5も26%減、4〜6月、半導体不足が長期化、供給制約、年末商戦に影 (7月6日付け 日経)
→任天堂の主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が減速している旨。ゲーム情報誌「ファミ通」によると4〜6月の国内の販売台数は、84万台と前年同期比33%減だった旨。半導体不足や物流混乱を背景に供給制約が続いている旨。競合の「プレイステーション5(PS5)」も4〜6月の販売は26%減だった旨。双方とも生産に苦戦しており、かき入れ時であるクリスマスや年末の商戦に商品が足りなくなる可能性がある旨。

一方では、半導体リードタイム改善の見方のデータである。

◇IC IDMs see lead times shorten‐Sources: Chip lead times improved in June (7月7日付け DIGITIMES)
→業界筋発。integrated device manufacturers(IDMs)の6月の半導体リードタイムが27日に短縮でき、5月の27.1日から改善の旨。「サプライチェーンのインフレが緩和し、価格の上昇が鈍化する兆候がいくつかあるが、残っている他のポケットがある。」と、Susquehanna Financial GroupのChris Rolland氏。

◇Lead times fall by a day‐Lead times fell by one day in June according to analysis by the Susquehanna Financial Group. (7月7日付け Electronics Weekly (UK))

我が国の半導体製造装置業界、本年販売高大台突破の上方修正である。

◇半導体製造装置の2022年度販売予測、初の4兆円超に上方修正−SEAJ (7月7日付け ブルームバーグ 日本語版)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7日、2022年度の半導体製造装置(日本製)の販売高が前年度比17%増の4兆283億円になるとの需要予測を発表、増加は3年連続。今年1月時点の見通し(3兆5500億円)から上方修正し、統計開始以来、初の4兆円台となった旨。

パンデミックで上昇したメモリ価格であるが、先行きの需要低迷から度を増して下落するとの見方が、以下あらわされている。Samsungも、上記の通り慎重な対応であり、今後の推移に注目するところである。

◇2022年第三四半期のDRAM価格、需要低迷で10%超の下落へ下方修正、TrendForce (7月7日付け マイナビニュース)
→TrendForceによると、2022年上半期は、世界的に消費者の購買意欲が弱まったにも関わらず、DRAMサプライヤ各社は強気の価格設定をしていた旨。
しかし、下半期はピークシーズンながら需要が不確実なままで、一部のDRAMサプライヤは在庫削減に向け、価格の引き下げを進めるようになってきており、その結果、TrendForceでは、第三四半期のDRAM価格について、従来予測の前四半期比3〜8%減から約同10%減へと下方修正を行った旨。しかも、企業が売り上げ確保を目的に、価格競争を進める場合、下落率は10%を超す可能性もあるとしている旨。

◇Memory-Chip Prices Fall From Pandemic Highs‐Prices have come down to levels that suggest the demand boom is likely over (7月7日付け The Wall Street Journal)
→ほぼすべての電子機器に詰め込まれるメモリ半導体の価格は、パンデミック全体で急激な上昇を遂げた旨。現在、該価格は需要ブームが終わりそうなことを示唆するレベルまで下がっている旨。

◇Memory chip prices are falling fast and will likely go much lower, analyst warns (7月7日付け SiliconAngle)

ファウンドリーでも発注キャンセル増大傾向とのこと。あらゆる角度からますます目が離せない状況を受け止めている。

◇Foundry cancellations growing‐TrendForce: Order cancellations weigh on foundries ‐There has been a wave of foundry order cancellations for PMIC, CIS, and certain MCU and SoC orders, says Trend Force. (7月8日付け Electronics Weekly (UK))
→TrendForce発。ファウンドリーが、power management integrated circuits(PMICs)やその他のデバイスの注文キャンセルを確認しており、この傾向は8インチと12インチのファブで起こっている旨。市場調査の同社はまた、メモリ半導体の価格が下落しており、DRAMの価格が第二四半期に10.6%下落したと報告の旨。


コロナ対応の完全には収まりきらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月4日(月)

我が国政府の半導体関連の取り組み2点である。

◇大型政策の効果検証、半導体補助金など、経産省がデータ分析 (日経)
→経済産業省は半導体の国内誘致補助金など多額の予算が伴う大規模事業で効果検証を実施する旨。経済学で用いられる因果推論モデルなどを活用し、施策が役立っているか分析し、結果をもとに政策を柔軟に見直す旨。欧米で広がるEBPM(Evidence-based policy making:証拠に基づく政策立案)の定着を目指す旨。

◇スタートアップ担当相新設、政府調整、企業支援を拡充 (日経 電子版 21:00)
→政府はスタートアップを支援する担当閣僚を新設する調整に入った旨。省庁一体で支援策を練り、起業時やその後の事業拡大を後押しする旨。社会的課題の解決と経済成長の両立をめざす経済政策「新しい資本主義」を推進する旨。

□7月6日(水)

月曜が独立記念日のお休みで4日の取引、比較的小幅でもみ合いも見られた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ反落129ドル安、景気後退への懸念で (日経 電子版 07:20)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前営業日の1日に比べ129ドル44セント(0.4%)安の3万0967ドル82セントで終えた旨。米景気が後退局面に入るとの懸念が強まり、資源や金融など景気敏感株を中心に売りが広がった旨。半面、米長期金利の低下を受けてハイテク株には買いが入り、ダウ平均を下支えした旨。

□7月7日(木)

◇NYダウ反発69ドル高、FOMC議事要旨の公表後に買い (日経 電子版 05:40)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比69ドル86セント(0.2%)高の3万1037ドル68セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が午後に公表した6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は新たな材料に乏しく、タカ派的な内容を警戒していた投資家が安堵感から買いを入れた旨。米景気後退入りが意識される中で相場の上値は重く、業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株への買いが目立った旨。

□7月8日(金)

◇NYダウ続伸、346ドル高、景気敏感株が上昇 (日経 電子版 06:14)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比346ドル87セント(1.1%)高の3万1384ドル55セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めによる景気減速はある程度織り込まれたとの見方から、買いが優勢だった旨。前日に3カ月ぶりの安値を付けた原油相場が大幅反発するなど、リスク資産全体が強含んだ旨。

本当にやり場のない安倍元首相銃撃の事態発生。いまだ落ち着かないところであるが、バイデン大統領からの弔意である。

◇バイデン大統領、「すべての人に悲劇」、安倍氏に弔意 (日経 電子版 23:51)
→バイデン米大統領は8日の声明で「友人である安倍晋三元首相が選挙活動中に射殺されたというニュースに私はぼうぜんとし、憤慨し、深く悲しんでいる。日本にとって、そして彼を知るすべての人々にとっての悲劇だ」と弔意を示した旨。
「日米同盟と日米国民の友好を唱えた人だった。自由で開かれたインド太平洋という彼のビジョンは今後も続く」と安倍氏の業績をたたえ、「攻撃を受けた瞬間も彼は民主主義に携わっていた。暴力による攻撃は決して容認できるものではなく、銃による暴力は常に地域社会に深い傷痕を残す。米国はこの悲しみの瞬間にある日本とともに歩む」と結んだ旨。

□7月9日(土)

◇NYダウ小反落46ドル安、雇用統計受け、もみ合う (日経 電子版 06:22)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日ぶりに反落し、前日比46ドル40セント(0.1%)安の3万1338ドル15セントで終えた旨。朝方発表の6月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回った旨。米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利上げに動きやすくなるとの観測から売りが出た旨。


≪市場実態PickUp≫

【中国への半導体製造装置販売禁止関連】

米国政府が、オランダ・ASMLのEUV lithographyシステムはじめ先端装置の販売禁止をオランダ政府に求めるなどの動きである。我が国にも及ぶ内容も含まれている。

◇U.S. Wants ASML to Stop Selling Chipmaking Tools to China‐Spoiling China's plans (7月5日付け Tom's Hardware)

◇ASML shares fall on report US wants to restrict sales to China (7月5日付け Reuters)
→主要半導体装置サプライヤー、ASMLホールディングの株式が、米国政府が中国への装置の販売を制限したいとのBloomberg Newsの報道を受けて火曜5日に下落した旨。

◇US Wants Dutch Supplier to Stop Selling Chipmaking Gear to China‐US seeks to restrict ASML's EUV tools from China firms (7月6日付け Bloomberg)
→米国政府は、ASML Holdingが中国の半導体メーカーに同社のdeep ultraviolet(DUV)およびextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムを供給するのを止めさせたい旨。他のIC装置サプライヤーはDUVリソグラフィスキャナーを提供できる一方、オランダのASMLはEUVシステムの唯一のベンダーである旨。

◇米が中国へのASML装置販売禁止求める、日本にも圧力−関係者‐旧式の深紫外線(DUV)露光装置の一部販売禁止をオランダ政府に働き掛け‐日本にも出荷停止を求める、ニコンが同様の機器を販売 (7月6日付け ブルームバーグ 日本語版)
→米政府はオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングが主要装置を中国に販売するのを禁止するようオランダ政府に強く求めている旨。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした旨。半導体産業での中国の台頭を抑える米政府の取り組みが拡大している旨。

◇米政府がArF液浸露光装置の中国への輸出禁止を日蘭政府に要請か?、米紙報道 (7月6日付け マイナビニュース)
→米国政府が、オランダ政府に対し、半導体露光装置メーカー、ASMLがDUV露光装置を中国に販売することを禁止するよう要請していると米国の経済メディアが7月5日付(米国時間)で報じている旨。
事情に詳しい関係者の話という形だが、DUV露光装置の中でも先端プロセスに対応可能なArF液浸露光装置(ArFi)の輸出を止める狙いがある旨。

米国そして英国の捜査機関が、中国の産業スパイに神経をとがらせる以下の内容である。

◇「中国の産業スパイ脅威」、米英の捜査・情報機関トップ共同会見、技術流出を警戒 (7月8日付け 日経)
→米連邦捜査局(FBI)と英情報局保安部(MI5)のトップは6日、中国は経済や安全保障への「最大の脅威だ」との認識を示した旨。産業スパイなどを通じてあらゆる手段で西側の技術を盗もうとしていると指摘し、企業に警戒を呼びかけた旨。米英の情報・捜査機関のトップが並んで中国への警戒を表明するのは異例。

【中国の実態および対応措置】

さて、その中国では、以下の国を揺るがすハッカーの主張である。

◇「上海警察から10億人のデータ流出」とハッカー主張 (7月5日付け 日経 電子版 18:16)
→中国で10億人の氏名や生年月日、病歴などを記した個人情報を入手したとハッカーが主張し、波紋を広げている旨。中国では関連情報の検索ができなくなった旨。SNS(交流サイト)では市民らの懸念が広がる旨。習近平(シー・ジンピン)国家主席が共産党トップとして3選を目指す2022年秋の党大会を前に波乱の芽になりかねない旨。
発端は6月30日、「ChinaDan」と名のるハッカーが、インターネット上のハッカーフォーラム「Breach Forums」に「上海国家警察のデータベースが流出した」と書き込んだこと。

中国政府が、ハイテク製品事業の中国展開では、中核技術の移転を求めていく動きである。商売するなら落とし前を、的な様相を感じるところ、難しい判断となる。

◇中国、ハイテクで外資「排除」、中核技術の移転求める (7月6日付け 日経 電子版 04:26)
→中国政府は業界ごとに製品の技術などを定める「国家標準」で、ハイテク製品での外資排除を拡大する旨。中核部品を含めて中国で設計、開発、生産をするよう求める旨。外資企業は中核技術を渡すか、中国市場から事実上撤退するかの判断を迫られる旨。

【最先端微細化関連】

Samsungが、ファウンドリー対応で今月中の3-nm GAA量産を打ち上げたばかりであるが、果たしてTSMCに迫れるのかどうか、依然確認を要する論調が以下の通りである。歩留まり問題はじめ難航の経緯があるだけに、こんどのあらわれ方に注目が集まっている。

◇「TSMCを超える」3ナノで自信を見せるサムスン電子、実力を立証できるか (7月4日付け コリア・エレクトロニクス)
→・・・・・
サムスン電子は今月中の3ナノ半導体量産を皮切りに来年には3ナノ第2世代、2025年にはGAA基盤2ナノ工程量産に着手する「超格差技術」戦略を展開する方針。これを通じてTSMCとのシェア格差を短期間で縮めるという計画。TSMCは今年下半期にフィンフェット基盤3ナノ半導体を量産する予定で、GAA技術は2025年2ナノから採用するとされている。
今回のことについて業界ではサムスン電子のファウンドリ技術力が予想より早く相当な水準に上がったと評価した。また2030年までにシステム半導体分野1位達成を目標にしたサムスン電子の「システム半導体2030ビジョン」達成も3ナノ公開を基点に順調に進むと観測した。
・・・・・

◇サムスン、半導体受託に焦り、独走TSMCの背中遠く‐先端5ナノ品でつまずき失注、異例の部門幹部刷新 (7月7日付け 日経 電子版 15:15)
→韓国サムスン電子が半導体受託生産事業の停滞に焦りを募らせている旨。経営トップの「世界首位奪取」宣言から3年たつものの、独走状態の台湾積体電路製造(TSMC)の背中は遠のくばかり。先端品の量産ではつまずき、6月には異例の幹部刷新を断行した旨。同分野で2位サムスンの足踏みが続けば、先端半導体の供給で世界のTSMC依存が一段と深まることになる旨。

インテルは、7-nm相当のIntel 4プロセス技術が、本年後半量産開始はじめ以下の内容である。

◇Intel on track to move Intel 4 process to volume production in 2H22‐Intel 4 process to advance to volume production this year (7月5日付け DIGITIMES)
→Intelによると、以前は同社の7-nanometerプロセスnodeと呼ばれていたIntel 4プロセス技術が、2022年後半に量産を開始する予定の旨。該プロセスにはextreme ultraviolet(EUV) lithography技術が含まれ、Intel 7よりもワットあたり20%の性能アップが得られる旨。

【米国議会の半導体法制化関連】

難航して停滞している米国議会での調整、そして法案を通しても人材の手当てはOKなのか、など現下の実態である。

◇Semiconductor Funding Bill Is Likely to Survive McConnell Threat‐Analysis: Chips Act bill remains popular among lawmakers‐Popular chips funding has paths to law Democrats can use‐Biden tax, climate, drug bill also moving closer to deal (7月1日付け Bloomberg)
→上院の少数派指導者、Mitch McConnellが米国の半導体製造を支援する超党派の法律を廃止すると迫っているにもかかわらず、該法案は引き続き前進する可能性が高い旨。「この法案が可決されないことで恩恵を受ける世界で唯一の実体は中国」とGina Raimondo商務長官。

◇Tech talent shortage slows reshoring of chip manufacturing in US‐Fab funding coming -- will there be enough talent? ‐Even as leading semiconductor manufacturers eye plans to build new fabrication facilities in the US, creating tens of thousands of new jobs, the lack of available tech talent threatens to stymie efforts (7月5日付け Computerworld)
→議会が米国での半導体製造をサポートするための法律に取り組んでいる一方、半導体メーカーはすべての新しいウェーハ製造拠点を運営するのに十分な人材を雇うのに苦労している旨。「人材をめぐる競争は熾烈。これは候補者あっての市場でもあり、人材の需要は現在の供給よりも大きくなっている。」とIntelのvice president of Human Resources, Talent Planning and Acquisition、Cindi Harper氏。

◇Schumer plans classified briefing for U.S. senators on chips, technology‐Schumer to bring senators together to talk microchips (7月7日付け Reuters)
→Chuck Schumer上院議員(D-N.Y.)が、米国での半導体製造をサポートする法案を進めることを期待して、上院議員向けの半導体技術と世界microchip市場に関する分類されたブリーフィングを予定している旨。
Biden政権は11月の中間選挙の前に議会に該半導体法案を承認させようとしているが、Mitch McConnell上院議員(R-Ky.)は、特定の条件が取り除かれなければ該法案を阻止する可能性があると述べた旨。

米国そして中国それぞれの関門、すなわち議会可決そして踏み込めない最先端が以下あらわされている。

◇SMIC, Intel face different constraints in expanding global foundry market shares‐Foundry market poses challenges for Intel and SMIC (7月6日付け DIGITIMES)
→Intelと中国のSemiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)はどちらも、シリコンファウンドリ市場で成功する上で問題を抱えていると業界観測筋が特に言及の旨。SMICは、最先端のプロセス技術として14-nanometer FinFETプロセスに限定される一方、Intelは、オハイオ州でのfab clusterプロジェクトを進める前に、ウェーハ製造拠点をサポートする議会の法制化を待っている旨。

【「後工程」関連】

従来、半導体の実装およびテストに相当する「後工程」であるが、三次元実装、チップレット、などへの取り組みが本格的になって、いろいろな切り口で関連する動きが以下の通り見られている。

◇Doosan speeds up chip back-end processing capacity with additional buyout‐Report: Doosan to buy wafer back-grinding specialist EngiOn (7月5日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→エネルギーと産業機械の生産に強い韓国のコングロマリット、Doosan Group(斗山グループ)が、半導体ウェーハと実装&テスト会社、Doosan Tesnaを買収してから数か月後に、半導体バックエンド処理分野の拡大促進に向けてウェーハback-grinding会社を追っている旨。

◇半導体「後工程」の展示会、業界団体が12月に、日本で初 (7月6日付け 日経)
→半導体の業界団体、SEMIジャパンは、半導体の「後工程」と呼ばれる製造プロセスに特化した国際展示会を12月に日本で初めて開催する旨。これまでは性能向上を牽引する「前工程」に重点を置いてきた旨。集積化を実現する3次元積層など次世代技術の開発進展で、後工程向けの製造装置や材料にも新たな商機が見込まれるため。商談しやすい環境を整え、事業を後押しする旨。
このほど長瀬産業や昭和電工マテリアルズなど10の企業・大学が実行委員会を立ち上げた旨。国内外から50社以上の出展を見込み、ファウンドリー(半導体生産受託会社)やOSAT(後工程請負会社)などに向けて装置や材料をアピールする旨。半導体関連の国際展示会「セミコン・ジャパン」と同時開催する旨。

◇Security Risks Widen With Commercial Chiplets‐Commercial chiplets can present a cybersecurity challenge ‐Choosing components from a multi-vendor menu holds huge promise for reducing costs and time-to-market, but it's not as simple as it sounds (7月7日付け Semiconductor Engineering)
→チップレット技術は、system-on-a-chip(SoC)デバイスのパラダイムに取って代わりつつある旨。「ハッカーがサプライチェーンのバックエンドに入ることができれば、事前にハッキングされたチップレットを出荷できる。」と、IBMのX-Force Red offensive security services、global security associate partner and lead hacker、Adam Laurie氏。

◇LG Innotek to expand flip-chip BGA, camera module lines at $1 bn‐LG Innotek will invest $1.07B in flip-chip BGAs, modules (7月7日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国のコングロマリット、LGグループの材料およびコンポーネント部門、LG Innotek Co.は、flip-chip ball grid array(BGA)およびカメラモジュールの製造ラインを構築するために1.4 trillion won($1.07 billion)を主要リクライアントのAppleなどグローバル各社からの受注増加で費やす旨。

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