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世界半導体販売高が8ヶ月連続$30 billion越え、Samsungの最高業績

米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、このところの活況が続いて$31.9 billionに達し、前月比1.9%増、前年同月比22.6%増と2010年9月以来最大となる伸びを示している。メモリが大きく引っ張ってSamungの4-6月四半期業績が過去最高の営業利益となり、半導体売上げが該四半期あるいは年間でも長年の業界No.1であるインテルに追いつく、あるいは追い越すのではという市場trackersの見方が一層真実味を増してきている。データセンター、AIはじめ引っ張って向こう10年最盛期、golden decadeという表わし方も見られる半導体市場の先行きにますます注目である。

≪5月の世界半導体販売高≫

米国SIAからの今回、この5月についての発表が次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯5月のグローバル半導体販売高が、前年比22.6%増−2010年9月以来最大の前年比市場の伸び …7月3日付け SIA/NEWS

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2017年5月の世界半導体販売高が$31.9 billionに達し、前年2016年5月の$26.0 billionから22.6%の増加、前月の$31.4 billionから1.9%の増加、と発表した。5月の該グローバル市場は、2010年9月以降最大の前年比の伸びを示している。主要地域市場のすべてが、5月は15%以上の前年比の伸びを収めており、Americasが30.5%の伸びで引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「2017年のグローバル半導体市場は、大きく着実に伸びる期間に定着しており、5月までの累計販売高は昨年同時期をかなり上回っている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「著しいことに、最近の市場の伸びはすべての主要地域市場および半導体製品カテゴリーに一貫してわたっており、メモリ製品の販売高が引き続き引っ張っている。」

地域別の前年比では販売高は、Americas(+30.5%), China(+26.3%), Europe(+18.3%), Asia Pacific/All Other(+17.7%), およびJapan(+15.8%)とすべて大きく増加している。前月比では、Europe(+3.9%), Americas(+2.8%), Japan(+2.3%), Asia Pacific/All Other(+1.7%)およびChina(+0.7%)とすべての地域にわたって増加している。

【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
May 2016
Apr 2017
May 2017
前年同月比
前月比
========
Americas
4.79
6.09
6.25
30.5
2.8
Europe
2.63
2.99
3.11
18.3
3.9
Japan
2.55
2.89
2.96
15.8
2.3
China
8.09
10.15
10.23
26.3
0.7
Asia Pacific/All Other
7.98
9.23
9.39
17.7
1.7
$26.05 B
$31.35 B
$31.93 B
22.6 %
1.9 %

--------------------------------------
市場地域
12- 2月平均
3- 5月平均
change
Americas
6.00
6.25
4.3
Europe
2.82
3.11
10.3
Japan
2.76
2.96
7.3
China
10.05
10.23
1.7
Asia Pacific/All Other
8.78
9.39
7.0
$30.40 B
$31.93 B
5.0 %

--------------------------------------

※5月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/May%202017%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の反応、取り上げ方である。

◇Global semicon sales jumped 22.6% y-o-y in May to US$31.9 billion, says SIA (7月4日付け The Edge Markets)

◇Global semiconductor sales increase 22.6% in May, says SIA (7月4日付け DIGITIMES)

◇Chip Sales Rose Again in May (7月5日付け EE Times)

◇May chip sales soar 22.6%-May semiconductor sales were up 22.6% on May 2016 at $31.9 billion, reports the SIA, it was the largest y-o-y growth since September 2010-SIA: May chip sales hit $31.9B, up 22.6% on year (7月5日付け Electronics Weekly (U.K.))

半導体関連株価も符合した上昇を示している。

◇Chip Stocks Jump As Industry Sees Strongest Growth In 7 Years (7月5日付け Investor's Business Daily)

◇This Number Bodes Well for Semiconductor Stocks in 2017 (7月6日付け The Street)

半導体メモリが引っ張る市況を反映して、メモリ首位、Samungの4〜6月四半期業績の見込み&速報関連が以下の通りである。半導体が全社の利益の半分以上を稼ぎ出す構図がまたも見られている。

◇Samsung Electronics' Q2 operating profit estimated at 13 tln won-Samsung's Q2 operating profit seen topping $12B (7月5日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→韓国のbrokerage houses(証券会社)、FnGuideの見積もり。Samsung Electronicsの第二四半期operating profitが$12 billion以上、メモリ半導体およびorganic light-emitting diode(OLED)ディスプレイパネルの力強い需要が新しいGalaxy S8スマートフォンの好調な売れ行きとともに高めている旨。半導体事業が該四半期operating profitの半分以上を占める見込みの旨。

◇Memory Prices Drive Samsung's Record Q2 Profit (7月7日付け EE Times)

◇Samsung expects to post record operating profit in 2Q17 (7月7日付け DIGITIMES)

◇サムスン営業益最高に、4〜6月72%増、半導体好調 (7月7日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が7日発表した2017年4〜6月期連結決算の速報値。売上高が前年同期比18%増の60兆ウォン、営業利益が同72%増の14兆ウォン(約1兆3700億円)と営業利益は四半期ベースで過去最高。スマートフォンやサーバに載せる半導体メモリが好調だったとみられ、昨夏に品質問題が起きた自社製スマホも新機種を中心に堅調だった模様の旨。
韓国の証券アナリストの推定では、半導体部門の営業利益は7兆ウォンを超えたとの見方が多い旨。4〜6月期の純利益や事業部門別収益は今月下旬発表予定の確報値で公表するが、半導体部門は前四半期(1〜3月期)に続いて四半期ベースで最高益を更新した可能性が高い旨。

これを受けて、20年あまりにわたって半導体業界トップを走ってきているインテルにSamsungが入れ替わりそうと、Nomura Securitiesからの見方が表わされている。Samsungのグローバル半導体業界ランキングの立ち位置を振り返ると、1993年7位、2000年4位、そして2006年2位という経過を辿っている。

◇Samsung to unseat Intel for chip crown-Forecasts show Intel will lose its place at the top of the computer chip market for the first time in 24 years-Brokerage: Samsung is the new No. 1 in chip sales (7月3日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→Nomura Securities発。第二四半期のSamsung Electronicsの半導体販売高が$15.1 billionであるのに対して、Intelが$14.4 billionと、24年ぶりの半導体販売高の世界に導かれる旨。PCsおよびsolid-state drives(SSDs)向けDRAMsの力強い販売高が奏功、Samsungの2017年年間半導体売上げが$63.6 billionと予想される一方、CPUリーダー, Intelは同$60.5 billionとなりそうな旨。

◇Samsung on track to take Intel's chip crown with record second-quarter earnings (7月4日付け Reuters)

モバイル機器の依然大きな需要から、データセンター、AIはじめ新分野の旺盛な伸びが加わっている現下の市況から、向こう10年最盛期、golden decadeという予見が以下の通り表わされている。

◇Globalfoundries CEO predicts a golden decade for semiconductors-Foundry CEO sees robust chip growth ahead (7月3日付け DIGITIMES)
→GlobalfoundriesのCEO、Sanjay Jha氏。半導体業界は、超大型データセンターおよびartificial intelligence(AI)応用に向けた力強い半導体およびメモリ需要が引っ張って、向こう10年最盛期に入る旨。半導体メーカーは、今後の応用をサポートするために十分な製造capacityおよび対応技術を供給できなければならない旨。ICファウンドリーにとって、AIおよびBig Dataの今後の応用が前進する最善のopportunityとなる旨。中国もまた、製造-ベース経済からAIなど新しい応用における革新に重点化したものに変換を図っている旨。

手前勝手ながら恒例化している昨年1月からの販売高の推移が、次の通りである。昨年10月以降8ヶ月連続の大台$30 billion越えとなっており、引き続きの活況を願うものである。

販売高
前年同月比
前月比
2016年 1月
$26.88 B
-5.8 %
-2.7 %
2016年 2月
$26.02 B
-6.2 %
-3.2 %
2016年 3月
$26.09 B
-5.8 %
0.3 %
2016年 4月
$25.84 B
-6.2 %
-1.0 %
2016年 5月
$25.95 B
-7.7 %
0.4 %
2016年 6月
$26.36 B
-5.8 %
1.1 %
2016年 7月
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
2017年 1月
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月
$31.93 B
22.6 %
1.9 %


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

「日米韓連合」との最終調整の難航が伝えられたままの時間経過となっており、とびとびのアップデート確認が以下の通り表わされる現時点となっている。SKハイニックスがどのように参画するかの調整に手間取る一方、ウエスタンデジタルが米国で提訴した審問を7月14日に控える現下の状況である。

◇Toshiba Hasn't Revealed That SK Hynix Could Get Stake in Its Chip Business -Japanese government worried about leakage of sensitive technology to foreign competitors-SK Hynix has option for stake in Toshiba chip unit (7月2日付け The Wall Street Journal)
→該提案取引関係筋発。SK Hynixには東芝の半導体事業におけるminority stakeを買収する選択肢があるが、これは東芝が該事業の売却提案について述べていることと相反する旨。該韓国メーカーの東芝メモリspinoffでのownershipの可能性は、東芝のNANDフラッシュメモリデバイス製造パートナー、Western Digitalとの問題が追加されてくる旨。

◇東芝、メモリ売却契約に遅れ−WD問題の議論続く (7月3日付け 日刊工業)
→東芝の半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却で、産業革新機構を軸とした「日米韓連合」との正式契約が、見込みよりも遅れている旨。事務作業に時間がかかっていることに加え、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)との係争をどう条件に織り込むかについても議論が続いている旨。東芝は週内の正式契約を目指すが、WDが手続き停止を訴えた米カリフォルニア州上級裁判所での審問が14日にあることから、決着は7月中旬にもつれこむ可能性もある旨。

◇韓経:東芝メモリの売却遅延、SKハイニックスの議決権要求が理由? (7月5日付け 韓国経済新聞/中央日報日本語版)
→SKハイニックスが東芝メモリ株を最大33.4%取得する権利を要求してきたと、日本メディアが報じた旨。SKハイニックスが含まれた韓日米連合と東芝の間の「東芝メモリ」売却交渉が遅れる一因として、SKハイニックスのこうした経営参加要求による反独占審査遅延の可能性を提起した旨。毎日新聞と共同通信は4日、「SKハイニックスが東芝メモリの議決権取得を要求していることが分かった」とし「SKハイニックスは主要経営事項に拒否権を発動できる議決権3分の1以上を狙っている」と伝えた旨。

◇東芝半導体、長引く交渉、日米韓連合、SK巡り思惑交錯、WD訴訟、初審問まで1週間 (7月7日付け 日経)
→東芝の半導体メモリ事業の売却交渉が長引いている旨。官民ファンドの産業革新機構が軸の「日米韓連合」を優先交渉先に選んだが、韓国メモリ大手のSKハイニックスの参画手法の調整に手間取っている旨。売却に反対する米ウエスタンデジタル(WD)が米国で起こし、売却交渉に大きく影響する訴訟の初審問が1週間後に迫る旨。交渉の土壇場でも関係者の思惑はなお交錯している旨。日米韓連合との交渉がまとまらない場合、経営再建の切り札としてメモリ事業を是が非でも売りたい東芝は、他の陣営への売却に動く可能性がある旨。日米韓連合を優先交渉先とした決定に法的拘束力はない旨。革新機構幹部は6日、交渉の行方について「まだまだ流動的だ」と話した旨。

【Samsungの投資意欲】

メモリの高値、逼迫の中の業績の好調ぶりを上に示したSamsung Electronicsであるが、約2兆円規模の半導体関連新規投資計画が以下の通り発表されている。今後の市況の推移とともにアップデートが注目されるこの計画内容である。

◇Samsung Plans $18 Billion of New Investments in Chip Production-Samsung will spend $18B more on wafer fabs (7月3日付け Bloomberg)
→Samsung Electronicsが、韓国の半導体生産工場に$18 billionを追加投資、Pyeongtaek(京畿道平沢市)およびHwaseong(京畿道華城市)のウェーハ製造拠点での製造capacityを増やす一方、Samsungはorganic light-emitting diodes(OLEDs)製造新拠点に注目、中国・西安(Xi'an)の半導体工場に第2fabラインを加える可能性の旨。

◇サムスン、韓国の半導体工場に2兆円投資 (7月4日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が4日、韓国国内の半導体工場に約2兆円を投資すると発表、スマートフォンなどで画像や文書を記憶するNAND型フラッシュメモリの最新工場に2021年までに約1兆4千億円を投じ、別の韓国工場にも6千億円を投資する旨。有機ELパネル工場の新棟建設のため、約1千億円で敷地を確保する構想も明かした旨。

【M&A関連】

BroadcomによるBrocade Communications Systems社の$5.9 billion買収について、米国・Federal Trade Commission(FTC)が承認しているが、条件付きであり、Ciscoの敏感な情報へのアクセス制限実施を求めている。

◇FTC Clears Broadcom's Acquisition of Brocade (7月3日付け EE Times)
→Broadcom Ltd.が同社の顧客、Cisco Systems社のfibre channelスイッチについてのproprietary情報へのアクセスをBrocade Communications Systems社が行なえないよう"firewall"を設けることに同意、これを受けて米国・Federal Trade Commission(FTC)が、BroadcomによるBrocadeの$5.9 billion買収を承認の旨。FTCが月曜3日、Broadcomの提案を受け入れ、publicコメントに30日置くことを2-0で票決、該同意命令提案を最終的にするかどうか8月2日以後に決定する旨。

◇Broadcom wins U.S. antitrust consent to buy Brocade: FTC-FTC clears Broadcom's $5.5B purchase of Brocade (7月3日付け Reuters)

◇Broadcom agrees to restrictions on access to sensitive Cisco info in Brocade deal, says FTC (7月4日付け DIGITIMES)

【IoT関連の取り組み】

Cypress SemiconductorがArrow Electronicsと協働するIoT機器用開発プラットフォーム、Quicksilver kitである。

◇Cypress works with Arrow on IoT development platform-Cypress Semiconductor has collaborated with distributor Arrow Electronics on a development platform for IoT devices.-Cypress, Arrow team for IoT development platform (7月3日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Cypress Semiconductorが、internet of things(IoT)機器用開発プラットフォーム、Quicksilver kitについてArrow Electronicsと協働、該kitにはCypress製WICED(Wireless Internet Connectivity for Embedded Devices) embeddedワイヤレスプラットフォームが入っている旨。

ネット接続機能と音声操作のアシスタント機能を持つスマートスピーカーについて、先行するAmazonおよびGoogleに対抗して、中国のWeb大手、AlibabaおよびBaiduの半導体パートナーとのそれぞれ取り組みである。

◇China Makes Two IoT Calls-Baidu, Alibaba roll embedded voice services (7月6日付け EE Times)
→中国のWeb大手2社、AlibabaおよびBaiduが、Amazon AlexaおよびGoogle Homeに対抗、embedded音声ソフトウェア&サービスに向けて国内および米国の半導体パートナーを選出の旨。Alibabaは、Mediatek SoCを用いてAmazonのEchoに似たTmall Genieを発表、ライバルのBaiduは、MediatekおよびConexantの半導体を用いる同社DuerOSソフトウェアに向けたtwo-およびfour-mic far-field reference設計、並びにNvidiaのShield TV streamingデバイスに向けたサポートを発表の旨。

【DRAM生産一時中止の波紋】

非常に好調な現在の半導体市場を支える一角のDRAMということで、Micron Technologyの台湾fabでの生産一時中止が伝えられた途端の敏感な反応が以下の通りである。Micronは直ちに実質的な問題はないとするステートメントを出して、鎮静化を図っている。

◇Micron Fab Incident Disrupts DRAM Supply (7月5日付け EE Times)
→市場watcher発。Micron Technology(Boise, Idaho)がもつ台湾DRAM fabでの生産の一時中止が、すでに逼迫したグローバルDRAM供給状況を混乱させ、価格上昇につながる旨。正常に働かない窒素ガス分配システムから、Micron Technology TaiwanのFab 2(桃園市[Taoyuan City])の稼働が停止され、ウェーハおよび装置の汚染につながっている旨。

◇About half of wafers produced at Micron Taiwan fab scrapped, says report (7月5日付け DIGITIMES)
→台湾・TechNews発。Micron Technologyがもつ台湾のDRAMファウンドリー、以前のInotera Memoriesが、窒素の使用に関する問題から12-インチfabで作られたウェーハの半分を最近廃棄、ウェーハ生産損に加えて、窒素の該問題により該fabでの生産ラインを一時的に止めている旨。

◇Micron responds to report of scrapped wafers at Taiwan fab (7月5日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、Taoyuan(桃園市), Taiwanの製造拠点を巡る最近の報道に関するステートメントを発行、窒素漏れ事故も人員の避難もなかったと明らかにした旨。マイナーなfacility eventがあったが、operationsは素早く回復しており、ビジネスに実質的なインパクトはない旨。加えてMicronは、同社には大型製造ネットワークがあって、どの拠点での事故のインパクトにも素早く反応、軽減できる一方、全体としてのビジネスのフルoperationを確かにしている旨。

◇Micron says operations at Taiwan plant recovering after output hiccup (7月5日付け Reuters)

◇Micron denies production delays after incident at fab-Micron briefly suspends DRAM work at Taiwan fab (7月6日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Micron TechnologyのTaoyuan City(桃園市), TaiwanにあるFab 2が、先週DRAMsの生産を一時的に中止、肝要なメモリのsupply chainについて懸念を生じている旨。TrendForceは、該中止が処理中のウェーハを汚染する窒素ガス分配システムの異常によるとし、Micronはこれを打ち消して「実際にはマイナーなfacility eventがあったが、operationsは素早く回復しており、ビジネスに実質的なインパクトはない」と述べている旨。


≪グローバル雑学王−470≫

筆者独特の表現に成る妖怪軍団のこんどは欧州。数で勝負、揃い踏みの感があるその顔ぶれを、

『世界経済の「大激転」――混迷の時代をどう生き抜くか』
(浜 矩子 著:PHPビジネス新書 378) …2017年6月1日 第1版第1刷発行

より見ていく。この書が著わされて後、フランスでは史上最年少のEU支持派、マクロン大統領が就任する一方、イギリスではEU離脱に進むメイ首相が6月始めの総選挙で過半数割れとなり立て直しを図る状況と、「激転」となかなか一気にいかない推移となっている。東京都議会は「都民ファースト」が圧倒的な勝利を収めたが、欧州各国はEUへのスタンスのもとどう進んでいくか、冷静にそれぞれの動きを見つめる必要がある。


第1章−2 妖怪万華鏡時代 ――「激転」に向かって突き進む魔物軍団

3 数で勝負の欧州妖怪事情

●欧州妖怪軍団揃い踏み
・数で目立つことを狙っているよう、欧州妖怪軍団の顔ぶれ
 →以下◯で示していく通り、ちょっとした揃い踏み
・それぞれ妖怪度に多少の濃淡
 →妖怪度は、ざっくりいえば、右翼的、国家主義的、弾圧的、排外的という観点から

●イギリスの妖怪はトラ鬼さんがお好き
・彼らの多くがトランプ米国大統領の誕生を歓迎
 →同じ糠床で育った妖怪と考えて大過ない
◯ナイジェル・ファラージュ(Nigel Farage)…イギリス「英国独立党」前党首
 →トラ鬼さんと大の仲良し
 →11月の大統領選から1月の大統領就任式に至る間、ファラージュ氏は3度もトランプタワーを訪ねた模様
 →太平洋の向こう側で、妖怪アホノミクスがジェラシーに悶えていたかも

●トランプを彷彿とさせるルペンの父
◯マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)…フランス「国民戦線」党首
 →彼女のお父さん、ジャン=マリー・ルペンは、とてつもない舌禍事件が多かった人
 →その傍若無人振りには今のトランプ氏を彷彿とさせるもの
 →最終的には娘さんに国民戦線から事実上追い出される格好に

●娘ルペンの妖怪度は父より高し
・娘ルペンの方は、かなり筋金入りの激転志向を前面に
 →印象的な米大統領選におけるトランプ勝利への反応
 →明示的に「新世界の構築」を目指している
 →激転に焦点を当てている、トップクラスの妖怪度

●欧州妖怪図鑑のその他の面々
◯フラウケ・ペトリ―(Frauke Petry)…ドイツ「ドイツのための選択肢」党首
 →欧州への難民大量流入問題に乗じて頭角
 →2017年秋、連邦議会選が予定、議会入りするに充分な票数を獲得する可能性
◯ベッペ・グリッロ(Beppe Grillo)…イタリア「五つ星運動」党首
 →コメディアン兼政治活動家として、ここ数年来、混沌続きのイタリア政局の中で庶民人気
 →「イタリアのドナルド・トランプ」とも

●ユーロとEUの不条理性
◯ノルバート・ホーファー(Norbert Gerwald Hofer)…オーストリア「自由党」有力党員
 →旧ナチス関係者たちによって1950年代に結成された政党
 →2018年までに総選挙実施、「オーストリア・ファースト」を掲げる自由党がどのようなパフォーマンスを示すか
◯ヘルト・ウィルダース(Geert Wilders)…オランダ「自由党」党首
 →「オランダのイスラム化」を断固阻止すると主張
◯ヤロスワフ・カチンスキ(Jaros?aw Kaczy?ski)…ポーランド「法と正義」重鎮
 →双子の兄弟とともにポーランドの右翼政治を牛耳ってきた
 →ポーランド社会の右傾化を実現すべく、邁進
◯ビクトル・オルバン(Orban Viktor)…ハンガリー現首相
 →ヨーロッパでは泣く子も黙る右翼国粋主義者
◯クリストフ・ブロッハー…スイス「国民党」重鎮
 →大金持ちの実業家。長年にわたって「自由独立のスイス」を主張

●彼らは妖怪軍団の一員ではないのか?
・ここまでの話の中に出てきてもよさそうなのに、出てきていない人々が存在
 →イギリスのスコットランド国民党
  スペインでカタルーニャ州独立運動を展開する諸政党
  バスク地方の独立自決を掲げる民族主義者
  イタリアの北部同盟
・結論的にいって、ここで挙げた諸集団は、今日的な妖怪軍団とは基本的に別物と思う
 →かなりの過激派、偏見や差別を煽り立てたがる傾向が強い
 →激転妖怪たちに通じる要素はある

●民族主義と国家主義の違い
・彼らと妖怪軍団の間には、一つの大きな違い
 →端的にいえば、民族主義と国家主義の違い
  →この両者は、決して無縁ではない。政治社会運動の中では、しばしば、渾然一体となって出現

●カタルーニャ人とスペイン人
・「私は、自分がカタルーニャ人であることをしっかり認めてもらえればもらえるほど、自分はスペイン人だと感じられるようになる」
 …スペインを代表するテノール歌手、ホセ・カレーラス
  →カタルーニャの州都、バルセロナ生まれ、民族闘争の中心地

●「それぞれらしさ」の容認
・カタルーニャがカタルーニャらしくあることを、フランコ将軍は徹底的にもみ消し尽くそうとした
 →ホセさんのお父さんも、この弾圧に対する闘争に参加
・お互いにそれぞれの「それぞれらしさ」を容認し合う。それができれば、みんな仲良く生きていくことができる

●民族主義者の大半は反EU主義者にあらず
・こうしたホセさん型の民族主義者たちは、多くの場合に反EU主義者ではない
 →自分たちを「地域住民」としてしか扱わない国家という存在は、目の上のたん瘤
 →その力を殺いでくれる限りにおいて、EUは頼りになる存在

●良心的ブレグジターと癇癪持ち的ブレグジター
・「ブレグジット」…Britainとexitを接着した造語
・国粋主義者、人種差別主義者でもあるナイジェル・ファラージュの感性
 →よそ者は出ていけ。多様性なんぞクソくらえ
 →癇癪持ち的ブレグジター
・良識的なEU離脱論者たちの感性
 →EU的な画一性のお仕着せがイヤなだけ

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