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日立パワーデバイスのSiCに注目!!〜SDGs市場3000兆円のインパクト

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半導体の爆裂成長が続いている。2021年の世界半導体生産額は、今のところ20%増の60兆円は確実な情勢となっており、最終的にはこれを上回ってくる可能性も高い。2022年の予想は弱気派予想ではせいぜい2〜3%増と言っているが、強気派は10〜15%の二桁成長も可能ともいう。

ただ、設備投資がとんでもなく高いことは事実であり、半導体製造装置のマーケットは2021年になんと10兆円という信じがたい領域に入って来た。装置の過熱ブームに水をかける輩もいるが、今のところは問題なく投資は堅調であると言ってよいだろう。

半導体の好調ぶりは5G高速に伴うデータセンター投資、コロナ禍におけるテレワークをきっかけとしてのDX革命の推進、EV、HV、FCVなどエコカーの加速による半導体需要の進展、さらには自律分散制御のエッジコンピューティングなどが要因と言われている。

しかし重要なことは、新たに加わってくるとも言うべきSDGsの急速な高まりなのである。直近の期間で言えば、1000兆円の巨額がSDGs関連産業に投入されると言われており、ロングスパンで言えば、なんと3000兆円という巨大な金額がSDGs関連産業に投入されるとも言われている。様々な憶測が流れているが、どうあってもこの3000兆円という巨大な投資インパクトの影響は計り知れない。半導体産業については、毎年2〜3兆円の新たなSDGs絡みの生産金額が付加されてくることは間違いないだろう。

SDGsと言えば、常に言われることは再生可能新エネルギーである(編集室注1)。太陽光発電を筆頭に、風力発電、地熱発電、バイオマス発電など、様々な新エネルギーについての話題が事欠かない。エネルギー産業は、世界最大の産業分野であり、推定1200兆円はあると思われる。もちろん、現在の中心は何と言っても石炭、石油、シェールガスなどの化石燃料であり、そしてまた原発という存在である。

世界すべてがワーワー言っている再生可能エネルギーであるが、現状においては世界の全エネルギーの3割程度を置き換えているに過ぎない。太陽光や風力を加速するのだと言われてもう20年間も経つのに、まだこの程度なのである。ましてや世界人口は今後、爆発的に増え続け、20数億人が新たに加わり90億人にまで拡大するのは確実な情勢なのだ。それだけ人口が増えれば、黙っていてもエネルギー市場は拡大せざるを得ない。しかし、データセンターがいまや世界の全消費電力の3〜5%は消費してしまうという現状にあって、SDGs達成など夢のまた夢と指摘する厳しい評論家もいるのだ。

ただし、明るい話題もある。韓国が断行しようとしている水上太陽光発電の潜在力はすごい。韓国政府は、原発9基分に相当する9.4GWの水上太陽光発電を構築して見せる、とさえ言っている。一方で、水素エネルギー発電も話題になっているが、いかんせん水素価格は11000円程であり、コスト高であるからして、これを遠ざける向きは多い。

そこでニッポンの出番なのである。旭化成は世界最大級の水素製造装置の開発に成功し、25年の商用化を狙っている。なんとこの装置を使えば、水素価格を現状の3分の1に引き下げることが可能なのだ。2030年には1330円とさえ言われており、トヨタの燃料電池車、マツダなどが開発する水素エネルギーエンジン車などに朗報をもたらし、水素エネルギー発電所の急増にもつながるだろう。水素をやらせて日本の右に出るものはいない。北九州は世界一の水素エネルギー都市なのである。

そんなことを考えながら、正月の準備をしていたが、グッドニュースが飛び込んできた。それは、日立パワーデバイスが再生可能エネルギーの発電システム向けにフルSiCモジュールの開発に成功したというのだ。なんとスイッチング損失を従来比30%も低減できるという。定格電圧は1.7kV、定格電流600A以上の高耐圧、大電流に対応できるというのだから、これはただ事ではない。

日本のパワーデバイスメーカーと言えば、三菱電機、富士電機を筆頭に、ローム、東芝、ルネサス、新電元工業、サンケン電気などが挙げられるのであるが、日立製作所の中に唯一残っていた半導体部門である日立パワーデバイスがこの快挙を成し遂げたことを、筆者は万雷の拍手をもってほめたたえたいと思う次第である。

産業タイムズ社 代表取締役会長 泉谷 渉

編集室注
1. SDGsは環境だけではなく、ジェンダー平等、貧困の解消、きれいな水の確保など17項目に渡る、持続可能な社会に向けた開発目標。国連で決議した。

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