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韓国の有機ELへの巨大投資はリスキーではないのか!〜8K化・大型化は難しい

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液晶ディスプレイの世界はついに中国勢の制覇が目前に迫って来た。巨大投資を続行した中国勢は、ここ1年くらいの間に世界シェア80%を握ることは確実であり、韓国のSamsung、LGは白旗を揚げて液晶分野からの撤退を表明しはじめている。

そこで、韓国勢が考えたのは有機ELシェア取りで先行することであるが、はてさてここには難しい問題が横たわっている。TV用パネルは8K時代に突入していくが、有機ELの8K化は非常に難しいということなのだ。

周知のように、有機ELはボトムエミッション構造である。つまり、発光層の上に配線があるために開口率が高精細化を阻んでしまう。言ってみれば、プラズマと同じ問題が起きてくる。画面サイズが大きければ充分行けるのであるが、40〜50インチの汎用売れ筋の有機ELのTVは事実上作れないのだ。これ故に、8Kの汎用はすべて液晶が取ってしまうという状態が出てきた。そう、何を隠そう液晶は延命していくことになるのだ。

Samsungは有機ELをスマホに特化し、立ち上げてきて成功モデルを作ることができた。しかし、大画面TVの次世代版を取りに行くために、QD-OLEDという有機ELバージョンを生み出し、実に1兆3000億円の巨大投資を断行するという。ところがどっこい、決して安くは作れない。液晶がここまで、値下がりした段階でQD-OLEDの高価なTV用パネルはどこまで需要を拡大できるのかには疑問符が付く。だいたいが、一般消費者は高いものを買いたがらない。

LGは中国広州に8.5世代の有機EL大型工場を立ち上げ、コストダウンを狙っているが、業界筋によれば「やはりそんなに安くは作れない」という。LGもまた、1兆円を超えてくる巨大投資断行の構えであるが、このリスクは馬鹿にならないだろう。

TV需要の40%は中国とアメリカであるが、その大勢の望むところは「大サイズだけど、とても安価」であるわけだから、50インチ以上の巨大画面TVについても「液晶の勝ち」ということになる。さらに言えば、BOEをはじめとする中国勢は液晶の世界制覇に続いて、有機ELに対する巨大投資もぶち上げており、これまた韓国が先行するも、成熟期は中国が取るという図式が展開されようとしている。

こうした状況下では、韓国の有機ELに対する大型投資はまさに薄氷を踏む思いで行われることになる。懸念されることは、投資が仇花になることなのだ。そしてまた、この韓国投資を信じて、多くの基幹材料を提供し、多くの基幹装置を提供する日本企業にもリスキーな局面が来てしまうことがありうるのだ。有機EL周辺の半導体、実装基板、そして一般電子部品を提供する日本企業もまた再考の時を迎えていると思えてならないのである。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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