汎用AIチップの雄Nvidiaの陰でBroadcomはカスタムAIチップで業績ウナギ登り
ハイエンドの汎用画像処理半導体(GPU)を手がける米Nvidiaは、生成AIというメガトレンドに乗って急成長を続けており、あっという間に世界半導体企業売上高ランキング・トップの座を射止めただけではなく、2位以下を大きく引き離して独走している。
一方、米Broadcomは、顧客の用途に合わせたカスタムAI チップ(ASIC;特定用途向け半導体)に強みを持っている。同社は、AIアクセラレータおよびデータセンター向けカスタムASIC市場のリーダーであり、特にGoogleの「TPU」やMetaの自社専用のAI学習・推論用チップ「MTIA(Meta Training and Inference Accelerator)」の設計・開発を支援している。AIインフラの規模拡大を急ぐ「ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)」を中心にASICに対する需要は引き続き旺盛で、2024年から急上昇Broadcomの売り上げは、2026年以降さらに急上昇が予想されている(参考資料1)。
現在、Broadcomは、アメリカのグーグル、メタはじめ独自のAIチップを開発したいハイパースケーラーを顧客に持つ。ごく最近、同社は2nmプロセスを採用した3.5DカスタムAIチップの出荷を最初の顧客である富士通向けに開始した。この技術は、高密度なAI処理能力と低消費電力を実現するもので、富士通は本チップを活用し次世代の高性能コンピューティング基盤を構築する計画であるという。
ASICはカスタマイズによる最適化によって、生成AIの普及で需要が急増するAIの「推論」に適した省電力・高効率な計算を可能にし、クラウド各社がコストと電力消費の面で汎用GPUへの依存を下げられると期待されている。同社は、NvidiaのGPUに対抗する選択肢として、エネルギー効率に優れた専用ASICの需要が拡大すると見ている。

図1 Broadcomの過去21年間の年間売上高の推移 出典:Broadcom
直近四半期のAI半導体の売上は前期比倍増、2027年には1000億ドル規模予測
Broadcomの直近の2026年会計年度度第1四半期(2025年11月〜2026年1月)の決算を見てみよう。売上高は前年同期比29%増の193億ドル、純利益は同34%増の73.5億ドル。事業セグメント別で半導体事業の売上高を見ると、同65%増の125億ドルで全体の65%を占める規模となっている一方、インフラソフト事業は同1%増の68億ドルに留まった。
第1四半期のAI半導体売上高は、前年同期比106%増の84億ドルに達した。2026会計年度第2四半期(2026年2〜4月)の売上高についても、前年同期比47%増の約220億ドルとの予想を示しており、このうち、AI半導体の売り上げを107億ドルと見込んでいる。
ファブレスとしてはNvidiaに次いで2位
米Semiconductor Intelligence が去る2月末に発表した2025年第4四半期半導体企業売上高ランキング・トップ20社(表1参照)で、BroadcomはSamsung、SK hynix に次いで4位にランクインしている。ファブレスとしては、Nvidiaに次いで2位だ(参考資料2)。
Broadcomは、Nvidia同様に、四半期の区切りが他社より1か月ずれているため、集計時点までに2025年11月〜2026年1月期の決算結果が発表されなかったので、この表では、前四半期に発表されたガイダンスの値が便宜的に用いられた。3月4日に発表されたBroadcomの決算結果によれば、「(売上高)19.3億ドル、(増加率)7.2%、(次四半期ガイダンス)14%」と記入されるべきで、ガイダンスをやや上回る業績だった。
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表1 2025年第4四半期世界半導体企業売上高ランキング・トップ20社 赤い矢印は本稿著者による。 出典:Semiconductor Intelligence
2007年には売上高がほぼ垂直のうなぎのぼり
Broadcomのホック・タンCEOは、顧客のAI需要情報に基づき、「2027年の当社のAI半導体売上高は1000億ドル(15兆円超)に達する見込みである」と、今月開催された業績説明会の席で強気の発言をしているから、もしもこれが実現したら、図1に示した売上高の上昇カーブは更に急峻になるであろう。もっとも、NvidiaのファンCEOは、3月16日にサンノゼで開催されたGTC(GPU Technology Conference)で、「新型のAIチップ2026年に投入し、2027年までの受注残が1兆ドル(150兆円超)に達する見込みである」と発表し、ASSPがスーケルメリットの点でASICより市場規模がはるかに大きいことを見せつけた。同時にAI半導体の需要が今後さらに急激に拡大することを示唆している。NvidiaとBroadcomの両社は、ともに今後さらに急成長する勢いである。
参考資料
1. Broadcom Company Overview, December 2025.
2.
Semiconductor Intelligence Newsletter, February 2026.


