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マライヤ・キャリーに見る感謝の気持ち

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休日、久々にマライヤ・キャリーの「ヒーロー」を聞いた。「本当のヒーローはあなたの心の中にいる。もっと勇気を出して。あなたがヒーローなのよ」とささやく、この歌はアルバム「ミュージックボックス」に往年の名曲「ウィズアウトユー」とともに収められている。

10年ほど前、シンガポールへ出張した時に買ったマライヤのこのCDアルバムで感心したのは、彼女が感謝の気持ちを忘れない、ということだった。

アルバムの最後に自分自身の言葉で、そのアルバムを制作するにあたり、さまざまな人のお世話になった旨を書いている。30数名全員のそれも一人一人の名前を挙げて、感謝を伝え、最後にファンの皆様へとして、「絶対に皆様のおかげに感謝します。あなたがいなければこのアルバムを制作できませんでした。あなたのサポートに感謝します。ありがとうございました。」というメッセージも載せている。

8オクターブもの広い声の持ち主として恵まれた才能を持つマライヤが、自分に驕ることなく感謝の気持ちを忘れない、という姿勢にこのアルバムを買って感激した。この姿勢は、普段の生活はもちろん、ビジネスを進める上でもとても大切だと思う。

どのようなビジネスでも、どのように優秀な人間でも、誰かにどこかの会社に必ずお世話になっている。自分ひとりでできることなどこの社会では、山の中で一人で生活している人間でもない限り、まずあり得ない。ホームレスでさえ、都会のインフラを目いっぱい利用している。

半導体産業が今後の開発に欠かせないコラボレーションを推進する場合に、この気持ちがなければ絶対に失敗する。お互いがお互いの良いところを使って、より良いものを開発することがコラボレーションの目的だ。だから自分の利益だけを優先するとうまくいかない。一緒に開発する相手の良いところを認識し感謝する気持ちがプロジェクトをうまく運ぶコツだと思う。

これまで遭遇したいろいろな場面で、世の中で素晴らしい仕事をなしえた人ほどいろいろな人に感謝する気持ちを持っていることを痛感する。まさに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という句があるように、優良企業のトップの人間ほど腰が低く、威張っていない。ユーザーだけではなくサプライヤ、従業員、株主などの人たちのおかげでビジネスが回っていることをよく知っているからだ。ワンマン、独裁では企業は成り立たない。

コラボレーションは、自分の企業だけではなく、相手の企業に対しても感謝の気持ちを必要としているのである。ここがビジネス成功のカギとなる。


津田建二

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