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他山の石

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先日、エルピーダメモリの坂本社長を取材してお話を聞かせていただいたあと、樋口広報・IR担当ヴァイスプレジデントに聞いてみた。サムスンの停電事故のニュースが流れたときの坂本社長の対応についてである。真っ先に「ウチの体制はどうなっているか?」という問い合わせがすぐ来たという。

トップのこのような態度は、危機感を常にもってビジネスに臨んでいるという、よい意味での緊張感がみなぎっている。しかし、食品業界はどうもおかしい。石屋製菓の賞味期限改ざん問題が出てきたことはある意味でショックだった。北海道で、別の肉を不正混入したミートホープ事件が起き、その前に雪印食品の牛肉偽装事件、雪印乳業の集団食中毒事件など、北海道を舞台とした食品業界の不祥事が多発した。その後を次ぐように石屋製菓の賞味期限改ざん問題である。

北海道で食品の不祥事が相次いだのに、なぜ「ウチは大丈夫か?」と思わなかったのだろうか。他社の事故や災害が起きたときの自社の心構えを怠っているといつ自分の身に降りかかってくるかわからない。企業によっては、経営陣が不祥事に加担しているところもあり、話にならない。その経営陣が責任をとらないとなると、不祥事は何度でも起こりうる。飲酒運転で事故を起こした市役所もまったく同じ。体制を一新し二度と起こさない構造を作り上げなければ問題は繰り返される。このような組織のトップは問題外である。

よく言う、「他山の石とせよ」という言葉は、他社の事故や不祥事を自分のこととして受け止め、事故や不祥事を起こさないように対処するための指針である。もし不祥事が起きた場合には、へたをすると会社がつぶれるかもしれない。幸い、石屋製菓の社長は交替し、社外の第三者委員会に今後の対応を委ねることを了承したことでよい方向には向かう。

さて、サムスンの事故が起きた後、「ウチは大丈夫か、対策は万全か」という危機意識と、電力ラインやコジェネの確保など現実のソリューションを何社が用意できたか。この危機意識を持つことは、きわめて重要である。事故が起きたときの損失や定期検査で電力を止めるときの機会損失を算出することで、新規設備導入を判断できる。常にリスクとそれをヘッジする方法を意識しながらビジネスを進めなければ、会社が沈没することになりかねない。

幸いにもエレクトロニクス業界には、不祥事に加担するような経営陣はいないだろうが、多くの経営者はサムスンの事故を他山の石としたり、人の振りを見てわが身を直したりしていると信じる。


津田建二

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