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Intermolecular社のミニチャンバ適用事例をATMI社が発表

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米国の高機能材料メーカーであるATMI社は、米Intermolecular社の販売する、数十個のミニチャンバを備えたプロセス実験装置を購入、その事例について明らかにした。この装置は、1枚のウェーハ上で実験条件や材料を数十種類も同時に変更できる研究開発向けの超ミニチャンバを集積したもの。

7月27日のTechnologyフォーカスで紹介したように、最適なプロセス条件や材料仕様を短期間で絞り込むのに向いた装置であり、開発期間の短縮に威力を発揮する。

今回、ATMI社が明らかにした事例では、設計ノードが90nmから65nm、45nmへと微細化するにつれ、CMP(chemical mechanical polishing)処理後の銅配線表面に荒れの問題が顕著になってきたことに対するソリューションを提供した。これは、台湾の大手ファウンドリ企業がATMI社に依頼したもの。

ATMI社は銅配線表面の荒れを改善する新しい化学薬品を見つけるために、いろいろな実験条件を変えたり材料そのものを変えたりしたいため、Intermolecular社の装置を導入した。この銅表面の荒れを解決するのに当たって、プロセスの途中で数十時間放置することがあっても使えること、電気的特性が劣化しないこと、をチェック項目に入れた。

従来の薬品であるATMI784を基準として、その改良型薬品784xと全く新しい薬品UFAを使って処理した後、表面の荒れは67〜96%も減少した。しかも荒れの分布は狭い。薬品は新薬のUFAのほうがよい結果を示した。72時間放置した後でも荒れは増えていない。さらに、キャパシタンスとリーク電流、配線抵抗についても調べたが、薬品の有意差はみられなかった。

表面の荒れが減少したため、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションなどの信頼性試験はまだしていないというが、表面が荒れていない分だけ信頼性寿命は向上する方向ではある。

すべての実験が終了するまでに、3.5週間ですみ、実験の種類は1200種類、評価項目は3600項目に渡ったが、使った300mmウェーハはわずか16枚、使用した薬品のコストはわずか100ドルですんだと、ATMI社シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーのTod Higinbotham氏はいう。もしこの装置を使わなければ、300mmウェーハは1000枚、薬品代は10万ドルくらいかかっただろうと、続ける。


ATMI社シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーのTod Higinbotham氏

ATMI社シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーのTod Higinbotham氏


Intermolecular社の装置には、最初にプロセス条件や材料の種類をできるだけ多く得られるTempus-10, -20に加え、ある程度条件の絞込みを終えた後にプロセスインテグレーションの評価に使うTempus-30などの装置の提供だけではなく、求められたデータを解析するためのサーバーやストレージを含むインフォマティックスも充実している。今回の実験では従来10時間もかかっていた解析が10〜15分程度で済んだと、Intermolecular社CEOのDavid Lazovsky氏はいう。


Intermolecular社CEOのDavid Lazovsky氏

Intermolecular社CEOのDavid Lazovsky氏

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