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デュポン、10μm台の薄いポリイミド絶縁材料でLEDの放熱性を改善

最大90度まで折れ曲がった放熱板にも取り付けられる電気的絶縁材料として、デュポンがポリイミド材料CooLamシリーズを開発した。LEDの放熱基板向けに使う。曲げられる柔らかい材料なので丸い電球形状の基板に複数のLEDを張り付けることができる。この結果、白熱灯並みに広がりを持った光をLED電球で得ることができる(図1)。

図1 白熱灯並みに光を広げられる放熱基板向け材料

図1 白熱灯並みに光を広げられる放熱基板向け材料


自動車のテールランプやヘッドランプなど、曲面形状に合わせてLEDをマウントできる(図2)。図2の例では、階段状に直角に折れ曲がった放熱板にCooLamを形成、さらにLEDを設置している。実装設計の自由度が増す。


図2 自動車ランプの階段状の放熱板にも取り付けられる

図2 自動車ランプの階段状の放熱板にも取り付けられる


LEDやパワートランジスタを放熱板に取り付ける場合には電気的に絶縁しなければならないことが多い。これまではグリースを塗ったり、薄いエポキシ樹脂を絶縁材に用いたりすることが多かったが、いずれもCooLamほどは薄く形成することができない。グリースだと60μm程度まで、エポキシ樹脂では75μm程度までしか薄くできない(表1)。また、電気的には絶縁だが熱的には伝導性の高い材料はコストが極めて高い。厚い樹脂は、放熱効果が上がらない上に、半導体チップとCuやAlなどのメタル放熱板との熱膨張係数の差により半田クラックが入ることがあった。


表1 ポリイミドベースの放熱用樹脂材料CooLamの特性 出典:DuPont

表1 ポリイミドベースの放熱用樹脂材料CooLamの特性 出典:DuPont


表1からわかるように、ポリイミドは、10μm台と薄く形成することができるため、熱伝導率が放熱用のエポキシ樹脂よりも1/2〜1/3と小さいものの、全体としての熱抵抗を下げることができる。

LEDへの応用では、特に白熱灯との置き換えにおいては、LEDの光が白熱灯ほど広がらないことが、LED電球の欠点になっていた。光を広げるため、LEDチップをできるだけ多数個、周囲に実装する必要があった。このための放熱設計の自由度に制限があった。このポリイミド材料だと放熱板の形状に沿って形成できるため、自由度が上がるという訳だ。

参考資料
1. For longer lifetime and higher brightness LEDs, Choose DuPont CooLam

(2012/10/03)

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