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Cypress、クルマのメータクラスタ向けマイコンなどを展示

Cypress SemiconductorがSpansionと合併し、クルマ用マイコン+メモリの市場で世界3位の半導体サプライヤになったという。このほど、クルマ用マイコンTreveoの製品を追加、制御系の新しいインターフェースCAN-FDやCXPIをサポートする。特にクルマのメータクラスタのグラフィックス化を手頃な価格で推進できるとする。

図1 Cypress社自動車事業本部自動車事業部長の赤坂伸彦氏

図1 Cypress社自動車事業本部自動車事業部長の赤坂伸彦氏


Cypressはもともと高速SRAMやアナログ搭載のマイコンpSoCが得意だが、自動車向けには強い製品を持っていなかった。SpansionはNORフラッシュやシリアルNOR、NANDフラッシュなど不揮発性のメモリに、旧富士通セミコンダクターのマイコンとアナログのチームを加えたことで製品ポートフォリオが広がった。また、米国では富士通やSpansionよりも、T.J. Rogers会長兼CEOが率いるCypressの方が知名度は高い。このため、旧富士通セミコンダクターのチームで、Cypressの日本法人自動車事業本部自動車事業部長の赤坂伸彦氏(図1)は、「Cypressのチームになったことで、米国でマイコンを売りやすくなった」と述べる。Cypressにとって自動車市場は参入したかった分野であるから、日本法人への期待は高まっている。

今回、発表した新製品のマイコンTraveoファミリは、クラスタパネル制御向けのS6J3310シリーズ(図2)と、CAN-FDやCXPIなど新しい車載インターフェースを束ねるゲートウェイ用のマイコンS6J3350シリーズの2種類。さらにパワーマネジメントICなど周辺のICチップも車載向け新製品に加えた。


図2 クラスタパネル向けのマイコンS6J3310シリーズ 出典:Cypress Semiconductor

図2 クラスタパネル向けのマイコンS6J3310シリーズ 出典:Cypress Semiconductor


クラスタパネル用マイコンS6J3310シリーズは、CPUコアとしてARM Cortex-R5リアルタイムOSに対応するプロセッサを集積した。新しいインターフェースとして、CANのデータレートを変えるCAN-FD(Flexible Data)プロトコルをサポートし、これまでのLINの後継プロトコルとして規格化されたCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)もサポートする。新しいインターフェースにより、データレートを高速化し、従来のアーキテクチャを使える。CAN-FDはデータ長をCANの8ビットから64ビットへと拡張した。データレートは数Mbpsを達成できる。従来のCANは数百kbpsだった。さらにCXPIは、ワイパーやライトなどHMI(Human Machine Interface)に使うLINインターフェースによるワイヤーハーネス数を減らし軽量化するため、多重化できるCXPIを導入した。

S6J3310シリーズは、クルマのダッシュボード向けの液晶ディスプレイパネルでグラフィックス表示させるのが得意。手頃な価格を実現するため、フルカラーTFTだけではなく、8の字のセグメントや、モノクロのドットマトリクスもドライブする。メモリとのやり取りにはHyperBusを備え、NORフラッシュやRAMとも接続できる。他にもEthernet AVBやMediaLB、MOSTインターフェースも持つ。最大240MHzのクロックで動作し、最大512KBのRAM、4MBのフラッシュを内蔵する。これまでの55nmプロセスから一歩微細化し40nmプロセスで製造する。ファウンドリは共同開発していた台湾UMCが受け持つ。現在サンプル出荷中で、量産は7月から。サンプル価格は15ドル。


図3 車内ネットワークのゲートウェイ用マイコンS6J3350シリーズ 出典:Cypress Semiconductor

図3 車内ネットワークのゲートウェイ用マイコンS6J3350シリーズ 出典:Cypress Semiconductor


車内ネットワークを束ね、スイッチ機能を持つゲートウェイシステム用TrevoファミリS6J3350シリーズは、8チャンネルのCAN-FDインターフェースを備え、LIN、MediaLB、MOST、Ethernet AVB、CXPIのインターフェースをサポートする。ただし、3310シリーズと同様、CXPI変換トランシーバICのS6BT111Aを必要とする。内蔵するメモリ容量は3310シリーズと同じ。サンプル出荷は間もなくで第1四半期内を予定している。量産は3310と同様、7月以降。サンプル価格は5ドル。

内蔵する40nmプロセスのNORフラッシュは、生まれながらに2ビット/セル構造を持つMirrorBitアーキテクチャをベースにしている(図4)。これまで55nmなどで実績のあるeCT(embedded charge trap)技術を使う。高集積向きのNANDフラッシュと違い、高速のNORフラッシュはCPUからゼロウェイトで8nsと高速のランダムアクセスができるという。二つのマイコンは共に認証方式のeSHE(Enhanced Secure Hardware Extention)セキュリティ技術を採用している。


図4 eCTメモリの断面 生まれながらに2ビット/セルのMirrorBit技術をベースに微細化している 出典:Cypress Semiconductor

図4 eCTメモリの断面 生まれながらに2ビット/セルのMirrorBit技術をベースに微細化している 出典:Cypress Semiconductor


また、PMICも車載向けに開発した。クルマではアイドリングストップからエンジンを始動させる時に大量の電流を流すため電圧が大きく落ちて動作しなくなることがあるという。これを防ぐためにバックブースト回路を採用、低下を検出するとすぐに昇圧させることで誤動作を防いでいる。


図5 S6J3310シリーズマイコンの開発キットを搭載したクルマを第8回カーエレクトロニクス技術展で見せた

図5 S6J3310シリーズマイコンの開発キットを搭載したクルマを第8回カーエレクトロニクス技術展で見せた


Cypressは、1月13日から東京ビッグサイトで開催されている第8回カーエレクトロニクス技術展でこれらのマイコンを展示、搭載した開発キットをデモしている。

(2016/01/13)

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