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ノイズに強いSerDesメーカーValensが新興FPGAのEfinixと組む理由

電磁波ノイズに強いSerDesチップを売りにしているValensは、自動車メーカーへの売り込みに成功した後、産業向けにも進出してきた。産業向けは独自仕様が多く、1社だけではシステムを設計・製造できないため、エコシステムの構築に力を注ぎ、顧客に提案できるまでになった。低消費電力、高性能、低コストのFPGAメーカーEfinixも参照ボード設計に加わった。

Valensとパートナー(Imavix, CIS,MVTec, Efinix)との共同展示

図1 Valensがエコシステムを組みマシンビジョンを完成、デモ 2025国際画像機器展にて


医療機器やコンピュータビジョン、マシンビジョンなどの産業向けでは、カメラからの映像データをSerDes(シリアライザ/デシリアライザ:直並列変換とその逆)に変換してMIPIインターフェイスに載せてコンピュータボードにつなげる訳だが、そう簡単ではない。産業用PCなどではさまざまな独自規格が多い。CC-LinkやField Bus、EtherCATなど産業機器メーカーごとに規格が違う。このためSerDesチップがあるだけですぐ産業用に進出することはできない。

そこで、産業用のマシンビジョンのシステムを製造するためには、センサとカメラ、SerDesチップ、映像送信用の配線(ツイステッドペアや同軸ケーブルなど)、MIPI A(Automotive)-PHYからGigEへの変換ブリッジ、変換制御ボード、そしてEthernetケーブルを経てホストPCへとつながる。つまり、1社でこれら全てを揃えることは困難だ。それぞれ得意不得意があるからだ。

システムを完成させるためにはさまざまなパートナーと手を組む必要がある。カメラの映像データをSerDesでMIPI A-PHYインターフェイスに変換させることの得意なValensは、エコシステムにこの1年間注力してきた(参考資料1)。カメラメーカーCIS社、GigE Vision 3.0のIPベンダーであるImavix Engineering、FPGAメーカーであり開発ボードを作製したEfinix、マシンビジョン向けのソフトウエアベンダーMVTecなどと手を組み、多機能型のイメージ処理ボードを設計・製造した(図1)。

ValensのSerDesの最大の特長はノイズに強いことだが、そのための技術として、ノイズキャンセリングとエラー訂正、適応型のイコライザ、再送信可能という対策を施しているとバレンズジャパンの井口信太郎ジェネラルマネージャーは言う。SerDesチップに集積しているDSP(デジタル信号処理プロセッサ)がノイズキャンセリングなどの役割を果たしている(参考資料2)。

FPGAメーカーとしてAlteraでもXilinxでも、Latticeでもない、2012年創業のEfinixがこのエコシステムに参加していることも面白い。チップ面積が小さく、その分消費電力も小さい。もちろん性能も高い。チップ面積が小さくて済む理由は、XLR(eXchangeable Logic and Routing)技術を使っているからだ。

このセル技術は、ロジックエレメントと配線構成のラウティング回路を自由に変えることができる(図2)。従来のFPGAは、ロジックエレメントとラウティングの規模は固定であった。このため、新しい回路を作ろうとする場合に、ロジック回路規模とラウティング規模の見積もりを失敗して、別のFPGAで設計しなければならないことがあった。コスト的には無駄になる。


Quantum Fabric / Efinix

図2 ロジックエレメントでもラウティング回路でも自由に変えられるXLRセル 出典:Efinix


しかしXLRセルだとロジックを減らし、ラウティングを増やしたい、あるいはその逆でも自由に入れ替えることができる。まるで1でも0にでも自由自在に変えることのできる、重ね合わせ原理に基づいた量子コンピュータに似た考え方である。このためEfinixは、この技術を量子コンピューティングファブリックとも呼んでいる。FPGAでロジックを組み配線するプログラム工程で無駄が最小限に抑えられるため、コストが安い。しかも小さいチップで済むため価格も安い。先端でありながら成熟した16nmプロセスで製造している。

参考資料
1. 「STMicroelectronics、Valens、次世代クルマ向けシステムを展示」、セミコンポータル、(2025/02/05)
2. 「ノイズに強いSerDesチップの技術をValensが明らかに」、セミコンポータル、(2024/10/16)

(2025/12/08)
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