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ラピダス、2nmプロセスGAAトランジスタの動作を300mmウェーハで確認

ラピダスは先週末、北海道千歳市において潜在顧客やサプライヤーを招待し、GAA(Gate All Around)トランジスタを試作し動作を確認したと発表した。このニュースは国内外を通じ大きく報道された。また、Nvidiaの中国向けに再設計したGPU「H20」の輸出が許可された。TSMC、ASMLの2025年2Q(第2四半期)の決算が明らかになった。日本のパワー半導体向けファウンドリのJSファンダリが破産申請した。盛りだくさんのニュースだ。

図1 GAAトランジスタを形成した300mmウェーハ 出典:ラピダス

図1 GAAトランジスタを形成した300mmウェーハ 出典:ラピダス


ラピダスのGAAトランジスタ(図1)は2nmプロセスに対応したもので、ゲート下の空乏層を全て4方向から広がらないように抑え込んでしまおうという形のトランジスタで、リーク電流が絶対的に少ないのが特長。プレーナMOSFETはゲートが1方向からしか有効ではないが、プロセスは最も簡単で長い間使われてきた。MOSFETのバックゲートも使う、あるいはSOI(Silicon on Insulator)なら2方向、FinFETなら3方向から空乏層を包み込む。GAAはナノシート・トランジスタとも言われ、超微細化プロセスに向く。

これまでのラピダスの進捗では、2022年8月の会社設立、11月の正式発表のあと、翌23年9月に千歳市で工場の起工式を行い工場建設にまい進した。その後のスピードがすさまじい。24年12月にEUV装置を含む製造装置の搬入が始まり、わずか3カ月で約220台の製造装置を動かし、パイロットラインの利用が始まった(参考資料1)。さらに、EUVリソグラフィ装置を使ったテストパターンの描画に成功した。

そして今回、300mmウェーハの2nmプロセスを使ったGAAトランジスタの試作に成功、動作を確認した。IC動作の確認はまだしていないが、今年度中(26年1Q)までにPDK(Process Development Kit)を用意し先行顧客に配布する予定だ。予定通り27年に量産開始を目指す。


米国政府・商務省は25年4月から中国向けに輸出を規制していたNvidiaのGPU「H20」の輸出を再開する計画を発表した。H20はBlackwellの前身のHopper「H200」を中国向けに性能を削減したチップ。4月以前までH20の中国向け輸出を認めていたが、4月以降規制を強化していた。NvidiaのJensen Huang CEOはこれまでトランプ政権と何度も会談しており、中国の政府高官とも会っていた。25年2〜4月期の決算発表では、45億ドルの在庫引当金をコストとして計上していたが、輸出再開できることでこの分を販売済ませれば売り上げに計上できるようになる。


先週TSMCとASMLの25年2Q決算が発表された。TSMCの売上額は前年同期比(YoY)44.4%増の300.7億ドル、営業利益率は49.6%と絶好調を示した。ASMLの売上額はYoYで23%増の76.9億ドル、営業利益率は34.6%とこれも絶好調だ。TSMCの好調要因は、やはりAIデータセンターやHPC(高性能コンピューティング)向けのチップ製造請負であり、売上額の60%を占めている。ASMLは装置売り上げの約半分をEUVが占めるようになり、稼ぎ頭になったといえそうだ。


日本のファウンドリとして、ラピダスに続き設立されたJSファンダリが東京地裁に破産手続きを申請した。ここ1〜2年、中国における景気後退によりクルマ市場や産業機械が不調で、その分野に使われるパワー半導体が不調だった。Onsemiから新潟県小千谷市の工場(古くは三洋半導体所有)を買い取ったもののOnsemiからの受託生産が売り上げの大半を占めていたが24年に契約が終了した。負債総額は161億円。

参考資料
1.「パイロットラインの利用が始まったラピダス」、セミコンポータル、(2025/04/02)

(2025/07/22)
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