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東芝のファウンドリビジネスを成功させるカギは?

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半導体のニュースがめっきり少なくなった新聞紙上だが、東芝が4月1日に設立した半導体子会社ジャパンセミコンダクターがシリコンバレーと台北に営業拠点を設けると5月30日の日本経済新聞が報じた。また、台湾では半導体後工程(OSAT)世界トップのASEが3位のSPILと経営統合すると27日の日経が報じた。

東芝の100%子会社となるジャパンセミコンダクターの事業内容は、アナログICやASIC、システムLSIの製造およびファウンドリ(製造受託)である。この会社は、岩手東芝エレクトロニクスと東芝の大分工場のシステムLSI部門を統合したもの。本社の所在地は、岩手県の北上市。

ジャパンセミコンダクターの難しさは、ピュアファウンドリではない点だ。自社製品のシステムLSIの製造とファウンドリとのバランスをどうとるか、が問題になるだろう。これまでも国内半導体メーカーは「キャパが余っていれば作ってあげる」というスタンスでファウンドリビジネスを行ってきたが、この態度でうまくいった試しはない。顧客に対するさまざまな要求にどこまで、どのように答えられるかが問われている。

海外では、SamsungとIntelが自社製品の製造に加えて、ファウンドリビジネスを行っているが、SamsungはAppleのアプリケーションプロセッサ(APU)の生産を受け持ち、そのための大きな投資も行ってファウンドリビジネスを成功させてきた。IntelはファウンドリビジネスをFPGAベンチャーのTabulaに提供しているが、その詳細は不明だ。

ジャパンセミコンダクターが成功するためには、外部の顧客のさまざまな要求に答えなければならない。顧客によっては、設計のRTL(register transfer level)まで、ネットリストまで、GDS-IIまで、あるいは検証のみ依頼、などさまざまなレベルのさまざまな要求がある。全ての要求に答えるためには、TSMCやUMCのようにデザインハウス(LSIの設計作業だけを担当する会社)も同じグループあるいはアライアンスに揃えておく必要がある。今回、ジャパンセミは「今期中に、米国・台湾に営業拠点を設ける」(日経)とのことであるが、200mmや150mmのウェーハでの競合メーカー、イスラエルのファウンドリで米国にも工場のあるTower-Jazzと、どう差別化を図るか、何が売りなのか、明確にする必要があろう。単なるアナログやシステムLSIというあいまいな言葉での製品種類だと、製造サービスを売りにくいことは確かだ。もっと明確に定義する必要があろう。

もう一つのトピックである、台湾のOSAT(Out Source Assembly and Test)トップのASEがSPILと経営統合で合意したが、これまで紆余曲折を経てきた。昨年の8月にASEがSPILに対してTOB(株式公開買い付け)による買収を提案したが、事前連絡なく突然であったためSPILは敵対的買収とみなし抵抗した。これを見た中国のファンド、紫光集団がSPILに対して25%の出資を提案、SPILが受け入れることをいったん表明した。しかし、今年の4月に白紙に戻す、とSPILは発表していた。

中国のファンドに対しては、台湾の新総統に蔡英文氏が就任し政権交代したことで、中国との距離を置いた可能性はある。日経によると、SPILの林文伯董事長は26日の会見で、ASEとの経営統合を受け入れた理由を「競争が一段と激しくなり、人材と注文が流出するリスクが高まった」と述べた、としている。

両社の統合は、新型半導体パッケージである、ファンアウト・ウェーハレベルパッケージ(FO-WLP)のビジネスを獲得するチャンスでもある。FO-WLPや3D/2.5D-ICがウェーハプロセスと後工程との境界にあり、プロセスと後工程のどちらも手掛けられるからだ。プロセスはTSMCがFO-WLP(同社はInFOと呼ぶ)を進めているが、これはiPhone 7に使う予定と噂されている。両社の統合は、最終的には出荷先の国や地域にある公正取引委員会のような組織の承認を得る必要がある。

(2016/05/30)

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