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好調TSMCの2013年決算、売上額2兆円の大台に乗せる

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1月16日にTSMCが2013年度(12月期)の決算を発表したことを、日本経済新聞、日経産業新聞がそれぞれ翌日、報じた。TSMCの売り上げは、前年比18%増の5970億台湾元(2兆596億円)と過去最高額を達成した。純利益は前年比13%増の1881億台湾元(6580億円)とこれも最高額。利益率は31.5%となった。

TSMCの決算では、クアルコムからのアプリケーションプロセッサの製造受注の追い風が奏功した。2014年1月からは20nmプロセスの量産を開始、4〜6月期には大量出荷すると日経産業は報じた。

20nmバルクCMOSプロセスはプレーナMOSFETがおそらく最後になると見られ、次の14nmではFINFET導入が必須になる。このため、UMCは20nmの標準プロセスをスキップし、14nmFINFETプロセスの量産確立を急ぐ。加えて、ファウンドリビジネスを進めることを表明しているIntelは、22nmで比較的浅いエッチングですむFINFETプロセスを導入、量産化の実績がある。次の14nmFINFETプロセスでは、FINがより高くなり加工がいっそう難しくなる。FPGAメーカーのAlteraは、14nmFINFETプロセスではIntelを選び、独占契約を結んだ。14nmFINFETプロセスの完成度が最も高いと見たからだ。TSMCやGlobalFoundriesなどIntel以外のメーカーは、14nmプロセスに初めてFINFETプロセスを導入するため、実現のハードルが高い、とAlteraは考えたのである。

日経の記事では、20nmプロセスの主要顧客はAppleだというアナリストのコメントを掲載している。これが事実ならば、次世代のiPhoneやiPadの心臓部となるアプリケーションプロセッサの生産はSamsungからTSMCに移ることになる。Samsungは近年、メモリよりもむしろファウンドリビジネスに設備投資を注力してきており、AppleのA5〜A7のプロセッサ生産を受注してきた。Appleは、スマートフォン事業でSamsungを敵視しており、メモリやディスプレイなどの部品の依頼をSamsungから他のメーカーへ移してきた。しかしアプリケーションプロセッサは新たに設計をし直さなければならないため、ファウンドリを変えたくても数年は我慢して同じファウンドリ(Samsung)を使わざるを得なかった。いよいよ新しい設計がTSMCへ移るかもしれない。TSMCはデザインハウス Global Unichip社を子会社に持っており、RTL段階でもGDS-II段階でも、どの設計レベルの顧客にも対応できる。もしTSMCにAppleからの注文を取られるとなると、Samsungのファウンドリ部門、ひいては半導体部門は大打撃を被ることになる。

さらにTSMCは2014年に設備投資額を95〜100億米ドルと1兆円強にする見通しだとしている。2014年は2013年よりは成長する見通しが強いからだ。同社は2013年も97億ドルを投資してきた。今年の設備投資は、14nmFINFETプロセスに使われるに違いない。深くて均一な側面を実現するエッチング装置などが求められる。

Intelも米国時間16日に2013年度(12月期)の決算を報告している(参考資料1)。これによると、2013年の売り上げは527億ドル(約5兆4800億円)で前年比1%減となった。同社最大の売り上げを占めるパソコン部門が前年比4%減の330億ドル、サーバ部門は同7%増の112億ドル、その他のIntelアーキテクチャ部門は同7%減の41億ドルとなった。ただし、第4四半期はパソコンが前年同期比で横ばいだが、サーバ部門は同8%増、その他Intelアーキテクチャ部門が同9%増、となっており、回復基調にはある。それでもIntelは2014年末までに社員を5%削減すると18日の日経が報じた。レイオフではなく自然減などだとしている。

ルネサスエレクトロニクスは、先週東京ビッグサイトで開かれた「オートモーティブワールド」で2輪車向けのエレクトロニクス製品に力を入れることを訴求していたが、16日の日刊工業新聞は、インドの2輪車市場に注力することを報じている。インドには2輪車や4輪車、白物家電、携帯電話や液晶テレビなどの民生機器などの大手メーカーが多く、半導体にとっては一大市場である。ルネサスはここに目を付けた。同社には、ルネサス欧州からのマイコンの売り上げ実績もある(参考資料2)。

17日の日経は、パナソニックが東南アジアにある半導体組み立ての3工場をシンガポールのUTACに売却する方針を固めた、と報じた。シンガポールとインドネシア、マレーシアにある工場においてマイコンや画像センサーなどを組み立てているが、自社製品への供給減少で稼働率が低下していたという。しかし、パナソニックは同日、このニュースは同社から発表したものではないとのコメントをプレスリリースで出している(参考資料3)。


参考資料
1. Intel Reports Full-Year Revenue of $52.7 Billion, Net Income of $9.6 Billion Generates $21 Billion in Cash from Operations(インテルホームページ) (2014/01/16)
2. 経営者に聞く「日本の電機メーカーのデザインをサポートしたい」 (2013/05/15)
3. 本日の一部報道について(パナソニックホームページ) (2014/01/17)

(2014/01/20)

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