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中国半導体ICの生産個数が減少、世界不況と過剰な設計企業がIC産業を直撃

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中国半導体ICの生産個数が、2008年8月以降、下がり続けている。11月は35億4700万個となった。例年だと、第4四半期に増産による増加傾向が見られていたが、これまでの傾向とは全く違うことがアレグロ インフォメーションが毎月発行している「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」2008年12月号で明らかになった。世界経済の不況が中国のIC産業にも現れてきたとみている。

中国集積回路生産個数推移


上のグラフは、単月の数字であり、3か月の移動平均をとったものではない。8月の北京オリンピックを見据えて6~7月をピークに生産されたICは10月に少し盛り返したものの、減少傾向が続いている。個数が減少していることは売り上げでみるともっと減少していることが想像されるが、月別の金額のデータはない。

半導体ICの生産個数が減少し続けていることに関してこのレポートでは、IC設計(デザインハウス)産業が曲がり角に来ていることも指摘する。これまで中国のIC設計企業は、技術的にローエンドの製品設計を手掛けてきており、需要の大きなIC設計分野に現地のデザインハウスが殺到して進出してきたため、価格競争に陥り、単価が下がり、売上の成長率が鈍化し、利益が出ない状況になっている、と報告している。このような中国特有の問題と世界の金融危機による経済悪化により、今は厳しい状況になっているという。

現在、中国には約500社ものIC設計企業があり、そのうち約半数が誕生したばかりのインキュベーションの時期にまだすぎないとしている。メジャーなIC設計企業でも海外受注に依存するローエンド民生電子機器向けの設計を手掛けている中国IC設計企業は売り上げが大幅に低下しており、前年同期比で3割減とダメージの大きな設計会社もあるという。また、中国国内のスマートカード向けICの設計企業も利用者数の減少や販売価格の下落などで厳しい局面に来ていると報告している。

一方で、人民元の切り上げや労働賃金の上昇、原材料の高騰などの影響もある。2009年には大規模な産業再編が行われると見られている。このため、IC設計業界は、中国政府の効果的な新しい政策が必要だと政府に要請している。

セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2008年12月号からの一部抜粋です。

(2009/01/06 セミコンポータル編集室)

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