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2011年の中国GPS搭載携帯市場、現在の10倍以上見込む

国際メーカーの参入による価格低下が拍車かける

中国携帯メーカー各社は、全方位測定システム(GPS)搭載の携帯電話の開発にむけて積極的姿勢を示しているとの分析がアイサプライ社から発表された。GPS携帯の平均販売価格(ASP)が低下するにつれ、中国国内のGPS携帯の出荷は2011年に1,600万台と2007年の150万台の10倍以上になると同社は見ている。

China MobileとChina Unicomは、今年からナビゲーションサービスを開始。この2社はモバイル市場にGPSを導入するため、デジタルマッピング、ハンドセットおよびチップセットサプライヤと手を組んでいる。専用のパーソナルナビゲーションデバイス(PND)とは対照的に、GPS携帯はワイヤレスネットワークを通してマッピングデータを受信する。したがって、GPS携帯はマッピングデータをエンベッドする必要がない。単にフリーのGPSナビゲーションソフトウエアだけを必要とする。現在、モバイルナビゲーションサービスの典型的な月額料金は5Mバイトデータ処理能力付きで加入者あたり2.5米ドルである。

消費者はオプションとして、ナビサービス利用のための地図をGPS対応携帯に搭載できる。この場合、GPS対応携帯は軌道を回るGPS衛星から直接、軽度、緯度および高度に関する特定のデータを検索するだけで済むことになる。ユーザの目的地への最適ルートは地理情報システム(GIS)ソフトおよび搭載されたデジタル地図に表示される。地図の供給企業は現在3社が独占状態である。Lingtu Software Technology(北京)、Careland Information System(深セン)、Guantu Information Technology(北京)の3社である。

GPS携帯の中国市場は2007年時点で150万台とまだ初期段階にある。アイサプライ社では、今後5年間に大きく成長すると予想、2011年までに1600万台以上に増えると見込んでいる。

GPS携帯の中国市場

GPS携帯の市場拡大の大きなハードルは価格である。2006年まではGPS搭載の携帯電話の値段は700ドルもするハイエンドのスマート携帯であった。従来の大手サプライヤは台湾のMiTAC社、Dopod社であったが、中国の国内ハンドセットOEMメーカーが本市場に参入を図っている。Amoi社のモデルE860はGPSチップセットにIntelのアプリケーションプロセッサSiRFおよびLingtuのGPSソフトを使っており、OSはWindows Mobile 5.0である。このモデルの価格は450ドルとなっておりコスト競争力からベストセラーになっている。

アイサプライ社では、中国ではナビがモバイル業界のキラーアプリケーションになると見ている。GPS携帯が大量に出荷されれば、GPSチップセットおよびマルチメディアプロセッサ等関連のIC需要が増える。これが、ファブレス企業の更なる参入を促し、GSPチップセット価格の値下がりを促すことになるというわけである。

台湾、韓国、中国のマルチメディアチップサプライヤの競争激化により、GPS電話のコストは今後も引き続き下がると予想され、チップセットサプライヤが将来GPS機能を直接ベースバンドシリコンに一本化する可能性が高まるとアイサプライ社では見ている。

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