Gartnerの2016年世界半導体トップテンランキング
米市場調査会社のGartnerが発表した2016年の世界の半導体メーカートップテンでは、日本勢として東芝がNANDフラッシュの旺盛な需要に助けられて健闘し8位にとどまった。2016年はDRAMが供給過剰で低価格を強いられ、前半まで不調が続いたが、後半ようやく回復に転じている。それが順位によく反映されている。
表1 世界の半導体メーカー上位10社ランキング 売上額(Revenue)の単位は百万ドル 出典:Gartnerの数字をもとにセミコンポータルが編集
1位のIntelは、PC用のCPUが依然として製品ポートフォリオの中で大きいが、PC以外の市場、クラウドサーバーやIoTシステム、さらにはコイン型のPCボードなどへと広げている。通信技術やクルマ用途なども加え、パソコン台数が依然としてマイナス成長を続けているのにも関わらず、4.5%のプラス成長を成し遂げた。Intelは半導体市場のトップに25年間君臨し続けたことになる。
2位のSamsungはDRAM市場が軟調で前半に供給過剰を少しずつ解消し後半には供給不足気味になり、回復した。NANDフラッシュは年初、弱含みではあったが、ストレージやサーバーなどの新規需要が立ち上がり、HDDとの置き換えをSSDとして進めプラス成長を突っ走ってきた。アプリケーションプロセッサ(APU)のファウンドリビジネスは、TSMCに奪われたものの、新規にQualcommからのAPUファウンドリを受注し、6.1%成長を達成した。Samsungも15年間2位を維持している。
Qualcommは4.5%減となり、スマートフォン市場の鈍化というよりも中国市場でHiSiliconやStreadtrumなど現地企業の成長によって、APUの市場を奪われたことが大きい。それでも3位に上がったのは、DRAMのフォーカスしていたSK Hynixが12.9%減と大きく落ちたからだ。SKはDRAM市場が急速に回復してきているので、2017年はもう少し伸びるだろう。
NANDフラッシュに特化する東芝も、ラッキーなフラッシュ需要のおかげで8位にとどまることができた。ただ、2016年に12位にいたNXPがFreescaleを買収したことで大きく順位を上げ、東芝に迫ってきている。
トップ10社の中で最も大きく伸びたのはBroadcomである。光通信や化合物半導体に強かったAvagoがBroadcom Corp.を買収し、しかも存続会社の社名をBroadcom Ltd.に改名したことによる。Broadcomは通信技術の主要なところを握っておきたいと考えているものの、IoT端末の開発ツールキットWiced部門をCypressに売却した。
Gartnerのランキングにはファウンドリを含めておらず、各社の売り上げの合計がそのまま半導体市場の規模となる。2016年の世界の半導体は1.5%成長したと結論付けている。WSTSの11月の見通しでは0.1%減だったことと対照的である。