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パワー半導体、今年は一転、プラス8%成長の125億ドルに

2012年は8%減、2013年も6%減とマイナス成長が2年連続続いてきたパワートランジスタの販売額が2014年は一転して、8%成長とプラスに転じるもようだ。これはIC Insightsが発表したパワートランジスタの予測である。

図1 パワートランジスタの推移 販売額の単位は10億ドル 出典:IC Insights

図1 パワートランジスタの推移 販売額の単位は10億ドル 出典:IC Insights


パワートランジスタの回復を牽引する製品は、低電圧(耐圧最大40V)パワーMOSFETや高電圧(400V以上)のパワーMOSFET、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)など。これらが大電流を流す、自動車や照明器具、エアコン、モータ駆動、FA(ファクトリーオートメーション)、工業用ギア、溶接機などのパワー用途で使われる。

IC Insightsが発行する「新O-S-Dレポート」によると、2014年に低電圧パワーMOSFETの売上額は28億ドル、高電圧のパワーMOSFETが18億ドル、IGBTパワーモジュールが27億ドルになるとして、合計9%成長すると見ている。これまで50年以上、実績のあるバイポーラパワートランジスタは2013年に10%減のあと、6%増の8億8400万ドルになると見る。

6月18日の日本経済新聞は、自動車大手7社の研究開発投資は2.4兆円にも到達すると報じた。このうち最高額の9,600億円を投じるトヨタ自動車は、パワー半導体の生産工程確立や燃料電池車などに投資する。その他の企業も電気自動車やガソリン車の燃費向上などパワー半導体を使う目的に投資する。また、同日の日経で報じられたが、日本工作機械工業会が17日に発表した5月の受注額の確報値は1205億円で前年同月の24%増と伸びている。パワー半導体の市場が上向いていることは事実であろう。

IC Insightsは、2015年以降についても予測している。2013年〜2018年のICおよびパワートランジスタのCAGR(年平均成長率)は共に6%と見ている。これまでの1984年から2013年までのICの成長率9%に対してパワートランジスタの成長率は8%とわずかに低かった。今後、パワートランジスタの成長率がICのそれと同じになる理由として、バッテリ駆動の携帯機器、さまざまな電子機器・電気設備における省エネ、ソーラーや風力など再生可能エネルギーの拡充、などを挙げている。

(2014/06/19)
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