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寡占化する半導体の設備投資動向、トップ3社が全体の半分を占める

米国市場調査会社のICインサイツ(IC Insights)がインテルとサムスン、TSMCという設備投資額の大きな3社について投資動向を明らかにした。2012年の設備投資額はインテルが最も大きく125億ドル、次がサムスンの122億ドル、3番目はTSMCの60億ドルとなっている。

Top 3 Capex Spenders 2009-2012F


この3社の設備投資額は世界の半導体産業の設備投資額の半分に達するという。いかに巨額の投資か、3社に偏り過ぎているといえよう。しかも12年の3社の投資総額307億ドルは、2009年の3倍にも達する。

インテルの投資額は125億ドルで最大であるが、同社は売り上げが前年に比べ23%も増加している(参考資料1)。このため、投資額は売り上げに見合っていると述べている。同社は、アリゾナ州のチャンドラ、オレゴン州のヒルスボロ、そしてアイルランドに新規のラインを設けており、今回の設備投資はそれらの新規ラインへの設備の導入と生産立ち上げに使われる。チャンドラ工場では2013年に14nmプロセスラインを始める予定であり、ヒルスボロ工場では450mmウェーハによるプロセス開発を2013年に始める計画だとしている。また複数のファブラインで2012年の後半には22nmプロセスのx86系プロセッサの生産を始めるという。

加えて、同社はスマートフォンやタブレットに向けたプロセッサのプレゼンスを上げていく。ウルトラブックのプロジェクトも消費者の関心を喚起しており、12年後半にプロセッサの需要を拡大していくようだ。

サムスンは、ロジックICファウンドリビジネスに65億ドルも投資する。サムスンは、アップルのiPhoneとiPad、iPod touchに使われているA4とA5アプリケーションプロセッサを製造するためのファウンドリパートナーである。サムスンはこのビジネスを失いたくない。このために次世代のプロセッサを製造する場合に備えて、ラインを増強しているのである。加えて、自社のタブレットやスマホ向けのアプリケーションプロセッサの製造にも使うための需要も見込んでいる。サムスンの全投資額の残り57億ドルはメモリに使うが、かなりの部分をNANDフラッシュの生産能力を上げるために使うと見られている。

半導体製造はこの3社がさらにそれ以外のメーカーとの差を広げ、支配していくように見える。詳細はMcClean Report 2012年版に述べられているという。

参考資料
1. アイサプライの世界半導体トップ20社分析では企業買収が伸びを加速 (2011/12/05)

(2012/01/23)
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