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2010年9月の世界半導体売り上げは前月比15.8%増、過去最高記録を塗り替える

2010年9月における世界の半導体売り上げの数字がまとまった。WSTS(世界半導体市場統計)によると、9月における世界の半導体売り上げは、293億7210万ドルと今年6月に記録した過去最高の271億5311万ドルを8.2%上回った。対前月比では15.8%伸び、対前年同月比では20.8%成長した。

WSTSが発表した2010年9月の世界半導体売り上げは過去最高

図1 WSTSが発表した2010年9月の世界半導体売り上げは過去最高


ここ2〜3ヵ月、DRAM価格の低下に伴い、景気の先行きを不安視する声が業界内にあったが、この業界のアナリストや景気の先行きを見るマーケティング部門などの話を総合すると一時的な落ち込み、という意見が圧倒的だった。2番底はいまだに来ない。

SIA(米半導体工業会)は、WSTSの数字を3ヵ月の移動平均値で表し、9月の数字を264億6160万ドル、8月の257億2194万ドルよりも2.9%上昇した、と発表している。3ヵ月の移動平均は、過去から現在までを見るのに山谷をならしてスムーズな曲線として見やすくするのには適しているが、過去のデータを重視することによって未来の動向はつかみにくい。未来を見るには山谷が多少険しくても季節要因を分析しながら生データ(単月の数字)を見るべきである。

これまでの1〜9月の前年と比較すると、1〜9月の売り上げは2240億3171万ドルと、前年同期比40.9%増になっている。今年全体では最も直近のアイサプライの数字で32%増であるから、10〜12月の売り上げが上がるようではさらに上方修正しなくてはならなくなる。

1〜9月までの累計売り上げの対前年同期比を各地域別に求めると、米国が49.0%増、欧州は34.5%増、日本は26.3%増、アジア太平洋は44.6%増という結果になった。米国の回復が最も著しく、次がアジア、欧州、そして最も伸びが遅いのは日本ということになる。このマーケットコラムで何度も述べてきたが、未来を暗く見ることが逆に伸びをさらに鈍くしているということに気づくべきであろう。2番底が来るとか、今度は暗いとか悲観的な見方は、日本を必要以上に低落させている。というのは必要な時(すなわち沈んでいる時)に必要な開発投資をしなくなるからだ。もっと前向きに考え、明るい未来を明るくしていくという見方に変えていくべきである。これが世界で勝つための第一歩ではないか。

(2010/11/02)
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