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世界の半導体販売額、過去最高の246億ドルを記録する一方、懸念材料も現る

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2010年5月における世界の半導体は246億5245万ドルと過去最高額に達したと、米半導体工業会(SIA)が発表した。昨年の12月にこれまで最高の234億7714万ドルを記録した後、やや呼び戻しがあったが、230億ドルを得た3月から再び上昇傾向に載ってきた。4月に12月時を超える235億8279万ドルを記録し、この5月はさらにそれを上回った。

出典:WSTS、SIAのデータを元にセミコンポータルが作成

出典:WSTS、SIAのデータを元にセミコンポータルが作成


これらの数字はWSTSが3ヵ月の移動平均で表したもの。5月の数字は前年比では47.6%となる。SIA会長のジョージ・スカリーズ氏は、「5月の数字はまた一段と高いレベルを示し、この勢いはSIAが先日発表した2010年に前年比28.4%増の2905億ドルに達するという予測を実現できる」と述べている。さらにこういった半導体売り上げは、パソコン、携帯電話、企業のIT投資、産業機器やカーエレクトロニクスが支えていると見る。

スカリーズ氏は、「パソコンの販売台数は今年20%伸び、携帯電話の販売台数は10〜12%伸びる」と言うが、需要が旺盛だと考えるなら、半導体チップの平均単価はなぜ増えていかないのか、英国の市場調査会社フューチャーホライゾンのCEOである、マルコム・ペン氏は疑問を投げかけている。さらに同氏は、3月からの再び上昇傾向は、実需を表しているのではなく、ダブルブッキング、トリプルブッキングによって発注が実需よりも多く生まれていると、警戒する。すなわち、実需を超えて、在庫が少ないために半導体の発注を本来の2倍、3倍に行っているという訳だ。

スカリーズ氏は「これまでは、政府の負債や消費者の購買意欲の低下、財政出動へのプレッシャーなどの経済問題が世界の半導体販売に影響を及ぼさなかったように見えるが、半導体産業の成長がマクロ経済の状況に敏感に反応すると仮定するなら、2010年後半にこれらの問題が顕在化する恐れはある」と一応、手綱を絞める。

詳細は、来月発行の「セミコンポータル エグゼクティブサマリーレポート」で議論する。これは唯一の紙媒体で、その中で市場調査機関を取材・調査し、その結果を掲載する。問い合わせは、sales@semiconportal.comへ。

(2010/07/07)

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