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NXPによるシャープ米国法人の製品ライン買収の真相

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オランダNXP Semiconductors社の日本法人である、NXPセミコンダクターズは、7月9日にシャープからLCDコントローラ付きのマイクロコントローラ製品ラインを買収したことを発表していたが、このほどその詳細を明らかにした。

米国におけるNXP Semiconductors社Standard ICs Business LineのSenior Vice President & General ManagerであるPierre-Yves Lesaicherre氏によると、NXPが持つ275社の顧客の大半がLCDコントローラを集積したマイコンを望んでいたが、NXPにはその製品群を2品種しか持っていなかった。このため、LCDのアプリケーションやOSに強いシャープの米国法人、Sharp Microelectronics of the Americaの持つ、ARM7/ARM9コアを内蔵したマイコンシリーズ、BlueStreak製品ラインを丸ごと買収した。一方のシャープ米国法人はLCDパネルなどコアビジネスに集中できる。

NXP SemiconductorsのPierre-Yves Lesaicherre氏
NXP SemiconductorsのPierre-Yves Lesaicherre氏


これまでNXPが持っていたARM7ベースの製品には、LCDコントローラを内蔵したマイコンは2品種しかないが、シャープ米国法人の製品9品種を加えると、合計11品種になる。NXPとしてLCDコントローラを内蔵しないマイコンを含めると全部で50品種と、充実する。

NXPは製品ラインを買収しただけではなく、シャープ米国法人の中にいたBlueStreak製品チームのシステム、アプリケーション、ソフトウエアのエンジニアそのものもNXPに移籍させた。製品番号も変えず、米国内の代理店も変えない。ロゴだけがシャープからNXPに移っただけだと、Lesaicherre氏はいう。ただし、日本市場ではシャープの代理店とNXPの代理店が違うため、これまでどおりシャープの代理店にこのシリーズの製品を売ってもらう予定である。シャープの米国法人はファブレスで、製造は台湾のUMC社、組み立てはAmkor社を使ってきたが、これらのメーカーも変えないという。

NXPは、LCDパネルを搭載している携帯機器や医療機器、工業機器が今後も成長し続けることから、LCDコントローラを内蔵したマイコンがこれらの分野に欠かせないと判断した。米Apple社の新型携帯電話iPhoneに代表されるように、LCD画面のタッチスクリーン・インターフェースもこういった分野で増えてくると見ている。いずれも携帯機器が主力になるため、画面の大きさはせいぜいQVGAクラスだとして、これ以上の画素数は応用分野として考えていない。

サポートしているOSには、WindowsCE4.2/6.0、Linux、VxWorksなど10種類あるが、日本向けに今後はI-TRONもサポートしていくという。

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