セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

Infineon、ドイツ、日本、米国のマイコン製品ポートフォリオを拡大

|

パワー半導体に強いInfineon Technologiesがマイコン(マイクロコントローラ)の製品ポートフォリオを拡大し、現在から将来にわたり成長性が約束されているIoT分野を制覇しようという狙いが見えてきた。3年前Cypress semiconductorを買収、マイコン製品がハイエンドからローエンドまで揃い、これから先の狙いがIoTに定まった。独日米の三つの文化を強みに変えていく可能性も強まっている(参考資料1)。

マイクロコントローラー製品ポートフォリオ / Infineon Technologies

図1 Cypress買収でInfineonのマイコン製品が広がった 出典: Infineon Technologies


Infineonはもともと比較的ハイエンドな応用向けのマイコン製品を持っていたが、Cypressを買収することでローエンド、ミッドレンジのマイコンも手に入れた(図1)。さらにこれまで注力していた産業用、車載用から、IoTに限っては民生用までカバー範囲を広げられるようになった。旧Cypressの持っていたPSoC(ピーソックと発音:Programmable System on Chip)は、タッチセンサの制御を行うICとして初期のiPhoneに採用され、民生用コントローラとしての役割を果たしてきた。

PSoCはアナログIPを集積した8ビットマイコンとして出発したが、少しずつ機能を充実させ、タッチセンサだけではなく、ディスプレイコントローラ機能にも使われHMI(ヒューマン-マシン・インターフェイス)として幅広く使われるようになっていた。Cypressが当初はステートマシンをCPU代わりに使っていたが、その後Armアーキテクチャを採用している。旧富士通のマイコン、Infineonがもともと持っていたマイコンもArmアーキテクチャであったため、アーキテクチャは変更せず、製品ポートフォリオを揃えることができた。

Infineon、Cypress、旧富士通の各マイコンを揃え、さらにそれぞれを生かすことで、産業用から民生用までのIoTを制御することができるようになる。民生用IoTではスマートフォンやタブレット、パソコンなどのタッチセンサや、ウェアラブル機器のHMI、ビルやマンションなどの入退室認証管理などにも応用がある。産業用は昔からのロボット機器やモバイル機器、ディスプレイのHMIなどの応用がある。

それぞれの用途によって、PSoCではHMIや低消費電力応用、ワイヤレス接続(BluetoothやWi-Fi、BLEなど)機器、またミッドレンジからハイエンドの産業向けIoT応用では、モータードライブや電力変換、産業用通信インターフェイスなどのコントローラ用途などがある。

産業向けでは間もなく、旧富士通のマイコンとInfineonのそれとは統合され、旧FMマイコンはInfineonのXMCマイコンシリーズになる。図1の赤で囲まれた旧富士通の製品が今後XMCシリーズに統合される。右端の次の新製品を含めたマイコンシリーズを拡大したのが図2である。


32-bit Arm Cortex-Mx (next generation) / Infineon Technologies

図2 次にリリースされるマイコンのシリーズ 出典:Infineon Technologies


図2の点線で囲まれた部分がリリースされるべき次世代製品であり、一番下のXMC7000マイコンはArm Cortex-M7をCPUコアとしてシングルおよびデュアルのコアとして集積され、125°Cまで使える産業用製品となっている。点線で囲まれたXMC Next Evolution XXXとXMC Next XXXに旧富士通の製品群が統合される形になる。

また図2の上2つの製品はPSoCシリーズの最上位になる。マルチコアのArm Cortex-MシリーズのCPUコアを持ち、AI/ML(機械学習)readyという形のエッジAIのような機能を持つとみられる。これはInfineonがスウェーデンのエッジAI/ML向けの開発プラットフォームを提供するスタートアップをこの5月に買収して得たことによる。また、今後PSoCシリーズはハードウエアセキュリティの認証ICとしての応用もあるという。

これらの幅広いマイコン群を開発する総合的な開発環境IDEもInfineonは提供している。これがModusToolboxで、PSoCからXMCシリーズまでIoTで使えるマイコン全てに使えるようにライブラリを揃え、コンフィギュレーションやアプリケーション開発に必要なソフトウエアを揃えている。

米国と中国が積極的に進めている新しいCPUコアのRISC-Vアーキテクチャに関しては、今のところマイコンとしての製品化は予定がないという。

マイコンは全てTSMCなどのファウンドリで製造するのではない。PSoCのような数量が出そうな製品はドレスデンに設置する、第2の300mmウェーハのプロセスラインで製造する予定だとしている。

参考資料
1. 「Infineon、Cypress買収で旧富士通系も融合させた新マイコンを開発中」、セミコンポータル (2022/07/26)

(2023/07/19)

月別アーカイブ