セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

TSMCの7nmプロセス売り上げが急伸

|

ファウンドリ最大手TSMCの7nmプロセスの売上額が伸びている(図1)。2019年の第1四半期には15億6100万ドル、第2四半期16億2700万ドルだったが、後半は加速し、第3四半期22億8800万ドル、第4四半期には34億6700万ドルになりそうだ。こう予測するのは市場調査会社のIC Insightsだ。

TSMC's 10nm and 7nm Revenue Trend

図1 TSMCの売上額の内7nmプロセス製造が急伸 出典:IC Insights


TSMCは2019年の前半が終わった時点で、下半期の売上額を予想している。今年前半の売上額は、前年同期比9%減だったが、後半は同プラス成長の9.8%増と見込んでいる。2019年の後半は前半に対して32%も増えることになる(図2)。半導体IC業界全体では上半期に対して下半期はほぼ10%増だから、実にその3倍以上の伸びを示すことになる。TSMCのようなファウンドリは、チップ製造を受注してから、設計終了のテープアウト・製造・検査を経て代金を回収するまでの売上予測はある程度できる。このため、実際の売上額との差はそれほどずれないだろう。


TSMC's Expected Strong Second Half Comeback

図2 TSMCの売上額は2019年後半で急に伸びる 出典:IC Insights


この売り上げの中身は、特に7nm、10nmプロセスによるところが大きく、微細化すればするほど、投資負担に耐え切れず他社が脱落していき、TSMCの独り勝ちとなる。例えば、40nm未満のプロセスでのTSMCの2019年売り上げ見込みは229億ドルと、GlobalFoundriesとUMC、SMICの合計額32億ドルの7倍以上もある。TSMCのこの売上額はTSMC全売上額の66%も占めている。

しかもTSMCが微細化を進めるスピードは極めて速い。例えば、SMICは2015年第4四半期に28nmプロセスの製造を始めたが、TSMCの同プロセス開始時期よりも3年以上遅れていた。SMICは今年の第4四半期に14nm FinFETプロセスによる売上額を見込んでいるが、ここでもすでに3年遅れている。

TSMCのプロセスの中でも特に著しい売り上げを占めているのは7nmプロセスで、2019年の見通しは89億4300万ドルにも達する。これもTSMCの全売上額の26%にもなる。第4四半期だけだともっと顕著で、33%にも及ぶ。7nmプロセスで製造している製品は何と言ってもスマートフォンのアプリケーションプロセッサであり、それらはAppleやHuaweiのスマホの中に使われている。

IC Insightsが指摘するのは、微細化プロセスの量産開始時期の速さだ。40~45nmプロセスによる売上額が全体の20%に達するまで8四半期もかかったが、28nmプロセスでは5四半期、7nmプロセスとなるとわずか3四半期しかない。途中の20nm、14nm、10nmプロセスでもやはり3四半期で全売上額の20%に達していた。TSMCは、今5nmの立ち上げを急いでいるが、この売り上げが全売上の20%に達する期間は7nmの時よりももっと早まると見ている。実際5nmへの投資をすでに進めている。

表1 世界のファウンドリ上位10社ランキング 出典:TrendForceと各社の発表資料

Table: Projected Ranking of the Global Top 10 Foundries by Revenue, 3Q19 (in US$ Millions)


因みに、2019年第3四半期のファウンドリ市場で第1位のTSMCのシェアは50.5%にも達しており(表1)、TSMCの独占はさらに進むようだ。

(2019/09/27)

月別アーカイブ