東芝とWD、共同投資を巡る見解の食い違い
2017年8月3日に東芝はプレスリリースを出したが、東芝メモリ四日市工場で建設中の第6製造棟に導入する生産設備に関して、翌日のWestern Digitalのプレスリリースとは見解が違っている。東芝が共同ラインの生産設備を単独で投資すると発表したのに対して、WD側はこの合弁事業は共同で投資するというこれまでの約束を守る、と発表した。
東芝は3日にプレスリリースを発行し、「その後、生産設備に対する共同投資についてサンディスク社との協議を進めてまいりましたが、同社と合意に至りませんでした。一方、東芝メモリとしては2018年以降の需要拡大に対応する必要があることから、すでに公表のとおり、第1期分として予定している次世代の96層積層プロセスを用いた3次元フラッシュメモリ用クリーンルームへの生産設備導入については、東芝メモリ単独で実施することを本日決定いたしましたので、お知らせいたします」と述べた。
これに対してWDのプレスリリースは、「JVの成功に対するウエスタンデジタルのコミットメントは揺るぎないものです。当社は、JVで計画されている設備投資、とりわけ四日市にて現在建設中の新製造棟、第6製造棟で使用される生産設備への投資に関し、両者が許容できる条件について合意に至るべく数週間に渡って東芝と建設的な対話を行ってきました。本件に関する交渉は、現在も引き続き進められております」と述べている。
さらに続けて次のように述べている。「JVの運営は、両者が合意した契約に基づいて行われています。これらの契約では、第6製造棟のための設備投資をはじめとする、NAND生産能力に向けた両者によるあらゆる投資に関する基本的取決めが定められています。契約では、第6製造棟の生産設備に対してJVを通じた共同投資を優先するように定められており、正にそのような共同投資に参加することが当社が行なおうとしていることです。
ウエスタンデジタルの取締役会は、第6製造棟の初期分に関する当社持分の生産設備にかかわる投資を既に承認しております。メモリー技術の開発・製造面におけるイノベーションの世界的な中心拠点としてJVおよび四日市工場を維持するべく、継続的かつ大規模な投資を四日市および周辺コミュニティに行うという当社のコミットメントは、何ら変わっておりません」
筆者が東芝のプレスリリースを受け取ったのは8月3日の午後12時34分(米国東海岸時間2日23時34分)、WDからのプレスリリースを受け取ったのは4日の午前11時23分(発行日時は米国東海岸時間3日の11時37分)である。WDのプレスリリースには、東芝が単独で投資するという発表に対しては全く触れていない。東芝が共同投資で合意に至らなかったと言っているのに対して、WDは共同投資することには変わりはない、と述べている。つまり、一方的な投資は両社のこれまでの合意に基づけば、あり得ない、とWDはにおわせている。このようなことで両者の食い違いはなぜ生じるのであろうか。一刻も早く、両社がこれまでのように仲良く運営してもらうことを切に願う。