ASMLのEUV量産機、いよいよ始動へ
オランダASML社のEUV(Extreme Ultra-Violet)装置がいよいよ量産段階に入った。米国のある顧客に15台のEUV装置を納入すると発表した。加えて、2015年第1四半期決算報告において、EUVの短期的な計画について発表している。ASMLの決算報告書からEUV計画を読み取る。
図1 ASMLの新製品NXE:3350B機 出典:ASML
ASMLが納入するEUVは、これからのプロセスノードにおいて、多数のプロセス工程でEUVリソグラフィを使うことを意図している。米国の主要顧客名についてASMLは明らかにしていないが、Intelに間違いない。というのは、Intelは2012年にASMLに15%出資することを発表しており、EUVプロジェクトや450mmプロジェクトなどを通じて、ASMLとの関係が深いからだ(参考資料1)。Intel以外の米国半導体企業で出資しているところはない。現在もその顧客にEUV装置が複数台導入されているが、新製品NXE:3350Bが2台2015年末までに納入される予定である。
2015年第2四半期には1台のEUV装置が売り上げに計上される見通しであるが、その装置は既存のNXE:3300B機であろう。
今年のEUV装置の目標は1日当たり1000枚の処理量であり、その詳細は次の通り;
(1) ある顧客の工場で24時間に露光されたウェーハ枚数が1022枚(光源は80W)という実績
(2) 複数の顧客の工場で80Wの光源にアップグレード
(3) ASMLの工場で最大110W光源をデモする
可用性(アベイラビリティ)、実質的には稼働率といってよいが、その目標は70%;
(1) 現状は複数の顧客の工場で得られているのは既存のNXE:3300B機で55%
新製品NXE:3350Bの出荷目標は6台;
(1) ASMLで進められている複数のNXE:3350B機の機械的な統合
(2) 量産用に2台受注
(3) 複数の顧客で進んでいる受注交渉
NXE:3350B機の機械的な統合が今年完了し、中ごろに新型の駆動用ハイパワーレーザを備え、プロセス中のコレクタクリーニング機能を搭載する。このハイパワーレーザは、スズ(Sn)のドロプレットに照射するための駆動装置。
今年の出荷見込みは、NXE:3300B1台に加え、NXE:3300BからNXE:3350Bへのアップグレードが期待されるのが1〜3台、NXE:3350Bの納入が6台、を計画している。ただし、今年中に売り上げ計上されるかどうかは不明としている。また、光源のアップグレードは複数の顧客の工場で始まっているという。
ちなみに、EUV装置が納入された実績の数字から見積もった単価は、84億円になる(1ユーロ=129円)。これは、2014年第4四半期での売り上げ10億8500万ユーロの6%がEUVの売り上げであり、売り上げ計上した台数は1台というレポートに基づいている。
参考資料
1. ASML、EUV開発のリスク分散を狙いインテルらと共同開発プログラムを提案 (2012/07/11)