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東芝、GaN-on-Siの白色LEDを10月から200mmラインで量産開始

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東芝が、関連会社の加賀東芝エレクトロニクスにおいて10月から白色LEDの量産を始める、と発表した(参考資料1)。東芝はこの1月から、GaN-on-Siウェーハを使った白色LEDの米ベンチャーBridgelux社(参考資料2)と共同開発を進めてきた。

図1 Bridgeluxが生産しているLED製品群 出典:Bridgelux

図1 Bridgeluxが生産しているLED製品群 出典:Bridgelux


共同開発開始後、この5月には、8インチ(200mm)Siウェーハを使った白色LEDで光出力614mWと極めて高い性能を得たと発表している(参考資料3)。この時の測定条件は順電圧3.1V、順電流350mAであった。チップサイズは1.1mmと大きい。

非常に短い開発期間での成果であり、東芝はBridgelux社に株式投資を行うことも決めた。BridgeluxのCEOであるBill Watkins氏は「東芝の株式投資によって両社はもっと深い戦略的なパートナー関係を築くことができ、共通の目標であるLED照明の低価格化を促進するだろう」と5月のプレスリリース(参考資料3)で述べている。

LEDを照明や自動車のヘッドランプなど、光の出力を増加させたいという用途に使う場合には、パワートランジスタと同様、LEDチップ面積の拡大は必須である。しかし、チップ面積を増やすと1枚のウェーハから採れるチップ数が減るため、ウェーハの口径を拡大しそれをカバーする。このようにして大面積のLEDチップを大量に生産でき、コストを下げることができる。

結晶価格の高いGaNで200mmウェーハという大面積を得ることは技術的には難しくコストがかかってしまう。このため基板コストが安いシリコンを使い、格子定数の異なるGaNをエピタキシャル成長させるためにSi上にバッファ層を形成し、クラックが入らないようにする方法を使った。GaN-on-SiのLEDはこれまでのLEDよりも低価格にできる可能性が期待されている。Bridgelux社は、低価格LEDによって現在400億ドルの照明産業を1000億ドル市場に拡大していくことを目標に掲げている。

今回、東芝の動きは極めて早い。2012年1月に共同開発をはじめ、5月に試作品の成果を出し、7月に量産工場を発表した。10月には量産開始する。今後に期待したい。

参考資料:
1. 白色LED素子の量産開始について (2012/07/25)
2. 8インチSiウェーハ上に形成した白色LEDが160 lm/Wの輝度を達成 (2011/08/15)
3. Bridgelux and Toshiba Achieve World Class Performance for 8" GaN-on-Si LEDs (2012/05/10)

(2012/07/25)

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