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引き続くAIブームで急増、米中摩擦&規制で揺れた半導体市場:2025年

2025年も残りわずか、半導体関連の動きを振り返ってみる。AI関連需要が大きく引っ張って、2024年は後半に$50 billion台高水準の月間世界半導体販売高が続いて年間販売高が最高を更新したが、2025年は3月から販売高前月比増加が続くとともに、度を高めて10月には$70 billion台に達し、1-10月販売高累計がすでに2024年の年間販売高に並ぶ水準である。AIに非常に強く引っ張られる、従来とは大きく異なる様相を、2024年に続いて一層呈している市場模様である。NvidiaおよびTSMCが引っ張って、他のプレイヤーが追う構図も引き続いている。米国トランプ政権の関税、規制、中国の応酬など、地政学的リスク要因で揺れ動いたこの1年でもある。

≪2025年の動きを振り返る≫

2025年の半導体業界についてこの1年の本欄のタイトル、計51件を大きく分類する形で振り返って以下示しており、次の5つに分けて数字は項目数である。

【世界半導体販売高関連】 12件
【米中摩擦および地政学関連】 8件
【米国政権の動き関連】 14件
【AI牽引の市況関連】 8件
【各社の取り組み関連】 9件

1年前の2024年の締めでは、次の通り分類してあらわしている。

【世界半導体販売高関連】 12件
【半導体市況関連】 5件
【AI牽引の市場&技術関連】 9件
【米国の半導体製造強化および米中摩擦関連】 17件
【各社の戦略的取り組み】 9件

以下、分類ごとに内容を示している。

【世界半導体販売高関連】 12件

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高データ関連が、以下の通りである。

11月半導体販売高、またまた月次最高更新;CES 2025での半導体関連」 (1月14日号)
2024年の世界半導体販売高、19.1%増$627.6 Billion;DeepSeek余波」 (2月10日号)
1月の世界半導体販売高、1月過去最高;TSMCの米国$100B追加投資関連」 (3月10日号)
2月半導体販売高;トランプ政権半導体関連;インテル今後の取り組み」 (4月7日号)
1-3月四半期の世界半導体販売高、前年同期比18.8%増、先行き予測難」 (5月12日号)
4月の世界半導体販売高、前月比2.5%増;各社最先端の取り組みに注目」 (6月9日号)
5月の世界半導体販売高、月次最高の$59 billion;際立つAI濃淡模様」 (7月14日号)
6月世界半導体販売高、月次最高さらに更新;関税&摩擦、不安定性要因」 (8月12日号)
7月の半導体販売高、さらに増勢;米国対中規制強化、中国自立化台頭」 (9月8日号)
8月の世界半導体販売高、増勢続く;「50-50分担」、インテル現況」 (10月6日号)
またも大幅な月次最高更新、9月半導体販売高、熱いAI活況に潜む懸念」 (11月10日号)
世界半導体販売高、1-10月累計が最高の2024年並みに;AI地殻変動」 (12月8日号)

2021年、2022年と相次いで年間半導体販売高の最高を更新して、2023年は減少に転じたが、2024年はAI需要が牽引してまたも過去最高を更新するとともに、$600 Billionの大台に初めて載せた経緯となっている。
パソコン、スマホなど従来の主要応用分野の本格回復がいまだ道半ばという見方が優勢な中、AIが大きく引っ張る現下の市場がどう推移するか、今後に注目するところである。照らし合わせの意味合いで、2022年以降の以下の見方を続けることにする。
以下、米国・SIAの月初の発表時点の販売高、そして前年同月比および前月比が示されている。2024年11月に記録した単月販売高最高の$57.82 Billionから、2ヶ月連続若干落として、この2025年1月は$56.52 Billionとなっている。依然最高水準にあることは以下のデータよりわかるが、今後に向けては現下の市場特性の見極めを要するところである。
2月の販売高としては史上最高を記録しているが、以下に示す通り、前月比で3ヶ月連続減少しており、今後に注目するところである。
3月は若干持ち直して、前月比減に歯止めを施す見え方となっている。四半期の締めで集中駆け込みの可能性もあり、引き続き推移に注視を要する。4月も引き続き盛り返して、2024年11月の最高に迫る水準である。今後も増勢が維持されるかどうか、注目である。
5月は$58.98 Billionと、以下で分かる通り、昨年の11月を上回って、月次最高となり、たぶんに史上最高の月次水準になる覚えである。このAIが引っ張る増勢の今後に注目するところである。
そして、6月は$59.91 Billionで、またも月次最高、どこまでいくか、という見方&期待であり、$60 Billionの大台に迫っている。
7月は、またも最高更新、$62.07 billionと新たな大台に突入している。AI需要が引っ張る市場景観、特に増勢がこのままいつまで続くのかに注目である。
8月は$64.88 billionと、4ヶ月連続の月次最高更新である。AIの信頼&信用懸念が取り沙汰されているが、引き続く増勢である。
9月は$69.47 billionと、増勢をさらに高めて、5ヶ月連続の月次最高更新であり、2024年11月に記録したそれまでの単月販売高最高の$57.82 Billionと比べても、このところの一気駆け上がりの様相がうかがえるところである。
そして、10月は$72.71 billionと、新たな大台突破とともに6ヶ月連続の月次最高更新となる。アクセルを踏む一方の勢いの見え方であるが、ひたすら今後の推移に注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
2022年 1月 
$50.74 B
26.8 %
-0.2 %
2022年 2月 
$50.04 B
26.1 %
-1.4 %
2022年 3月 
$50.58 B
23.0 %
1.1 %
2022年 4月 
$50.92 B
21.1 %
0.7 %
2022年 5月 
$51.82 B
18.0 %
1.8 %
2022年 6月 
$50.82 B
13.3 %
-1.9 %
2022年 7月 
$49.01 B
7.3 %
-2.3 %
2022年 8月 
$47.36 B
0.1 %
-3.4 %
2022年 9月 
$47.00 B
-3.0 %
-0.5 %
2022年10月 
$46.86 B
-4.6 %
-0.3 %
2022年11月 
$45.48 B
-9.2 %
-2.9 %
2022年12月 
$43.40 B
-14.7 %
-4.4 %
$584.03 B
 
2023年 1月 
$41.33 B
-18.5 %
-5.2 %
2023年 2月 
$39.68 B
-20.7 %
-4.0 %
2023年 3月 
$39.83 B
-21.3 %
0.3 %
2023年 4月 
$39.95 B
-21.6 %
0.3 %
2023年 5月 
$40.74 B
-21.1 %
1.7 %
2023年 6月 
$41.51 B
-17.3 %
1.9 %
2023年 7月 
$43.22 B
-11.8 %
2.3 %
2023年 8月 
$44.04 B
-6.8 %
1.9 %
2023年 9月 
$44.89 B
-4.5 %
1.9 %
2023年10月 
$46.62 B
-0.7 %
3.9 %
2023年11月 
$47.98 B
5.3 %
2.9 %
2023年12月 
$48.66 B
11.6 %
1.4 %
$518.45 B
 
2024年 1月 
$47.63 B
15.2 %
-2.1 %
2024年 2月 
$46.17 B
16.3 %
-3.1 %
2024年 3月 
$45.91 B
15.2 %
-0.6 %
2024年 4月 
$46.43 B
15.8 %
1.1 %
2024年 5月 
$49.15 B
19.3 %
4.1 %
2024年 6月 
$49.98 B
18.3 %
1.7 %
2024年 7月 
$51.32 B
18.7 %
2.7 %
2024年 8月 
$53.12 B
20.6 %
3.5 %
2024年 9月 
$55.32 B
23.2 %
4.1 %
2024年10月 
$56.88 B
22.1 %
2.8 %
2024年11月 
$57.82 B
20.7 %
1.6 %
2024年12月 
$56.97 B
17.1 %
-1.2 %
$616.70 B
 
年間最高更新
 
2025年 1月 
$56.52 B
17.9 %
-1.7 %
2025年 2月 
$54.92 B
17.1 %
-2.9 %
2025年 3月 
$55.90 B
18.8 %
1.8 %
2025年 4月 
$56.96 B
22.7 %
2.5 %
2025年 5月 
$58.98 B
19.8 %
3.5 %
2025年 6月 
$59.91 B
19.6 %
1.5 %
2025年 7月 
$62.07 B
20.6 %
3.6 %
2025年 8月 
$64.88 B
21.7 %
4.4 %
2025年 9月 
$69.47 B
25.1 %
7.0 %
2025年10月 
$72.71 B
27.2 %
4.7 %
$612.32 B
 
(1-10月累計)


2025年1-10月販売高累計が、2024年の年間販売高とほぼ肩を並べて、2025年は年間最高を更新するとともに、どこまで伸ばすか、AI牽引の市場の今後に引き続き注目するところである。

【米中摩擦および地政学関連】 8件

トランプ政権の関税、規制と矢継ぎ早の動きは次項に分類しており、ここでは中国関連が主となっており、米国の攻勢を受ける中の自立化を図る動きに特に注目させられている。

新年2025年早々の視点から:米中摩擦、中国関連、TSMC、半導体市場」 (1月6日号)
またも米中摩擦:AIモデルを巡るDeepSeek台頭の衝撃、半導体開発でも」 (2月3日号)
米中摩擦関連更新:引き続く米政権の対中輸出規制、中国市場での現状」 (3月31日号)
情勢を受け入り混じる動き:中国の米国依存脱却、台湾の内外基地展開」 (5月7日号)
市場の重なる波乱要因:地政学・相互関税、AI圧倒、各国・地域自立化」 (6月16日号)
摩擦下模様:台湾対中規制、米国国内強化、中国自立化、欧州対米心理」 (6月23日号)
摩擦最前線各様:米国政府、台湾政府、Huawei、Nvidia、およびASML」 (6月30日号)
今度は中国の対米攻勢:Nvidiaの独占禁止法違反&AI半導体購入禁止」 (9月22日号)

【米国政権の動き関連】 14件

1月のトランプ大統領就任以降の目まぐるしい動きには、AIそして半導体関連も大きく揺さぶられて、以下の通り頻繁な取り上げとなっている。

米政権交代間近での波紋:AI半導体輸出規制、TSMCの最先端海外生産」 (1月20日号)
トランプ政権始動、半導体関連早々の動き:AI巨額投資、AI半導体規制」 (1月27日号)
トランプ政権関税対応およびAI活況への取り組みに揺れる半導体業界」 (2月17日号)
トランプ政権が迫る関税・規制、半導体関連の反応;米中Big Tech投資」 (3月3日号)
米国の相互関税発動を巡る各国応酬、半導体業界関連への波及する動き」 (4月14日号)
免除から一転、半導体関税検討、各国&各社でのインパクト&当面の対応」 (4月21日号)
関税インパクトの渦中、トランプ大統領中東訪問&AI半導体規制の関連」 (5月19日号)
米国半導体規制&流動的な半導体関税に対する米国内外の反応&影響関連」 (6月2日号)
米国政府、投資税控除および対中ソフト規制撤回;インテルの新基軸」 (7月7日号)
米政権関連|インテルCEO、大統領会談;Nvidia&AMD、15%対中輸出税」 (8月18日号)
インテルへの米国政府はじめ投資の動き;AI半導体、米中せめぎ合い」 (8月25日号)
米国政府の半導体メーカー投資、さまざまな反応;Nvidia発表関連注目」 (9月1日号)
米国政府の半導体関税の最新の要求;AIの熱い活況の一方の懸念材料」 (9月29日号)
米国政府のAI半導体対中輸出許可に対する波紋、中国の国産品推奨等」 (12月15日号)

【AI牽引の市況関連】 8件

昨年もAIの熱気がいつまで続くか、と締めているが、本年も同様で度合いを高めている。Nvidiaに対抗する巨大ITの構図が鮮明になって、今後の推移に目が離せない一方、懸念も依然付きまとっている。

AI牽引の市場に関税&規制インパクト、先行き不安定な情勢の市況模様」 (7月28日号)
熱いAI市況の渦中での、セミコン・台湾&インド、そしてiPhone 17発表」 (9月16日号)
なお続くAI連携、OpenAIとBroadcom、OracleとAMD、Googleとインド」 (10月20日号)
AIブームの一方、AIバブル懸念、分かれる市場空気、引き続くAI連携」 (10月27日号)
AIブーム、熱い活況&戦略的取り組み、Nvidia、SK Hynix、Qualcomm」 (11月4日号)
AI半導体を巡って続く超大型アプローチ、強気の読み、波紋の動き他」 (11月17日号)
AI半導体、Nvidia1強に分け入る巨大IT各社、とりわけTPUsの脅威」 (12月1日号)
AIブームの一方の様々な懸念の中で見られる市況インパクト、各社連携」 (12月22日号)

【各社の取り組み関連】 9件

半導体サプライヤランキングでの圧倒的首位のNvidia、最先端半導体製造をこれも大きくリードするTSMC、という構図が続いている。立て直しを図るインテルはじめ主要サプライヤそれぞれの取り組みに今後とも注目である。

インテルの分割取引の可能性を巡る波紋;中国半導体関連の盛り返し」 (2月25日号)
TSMC関連:$100B米投資波紋、インテル製造部門共同出資、業績、ほか」 (3月17日号)
GTC 2025:Nvidiaの新たなロードマップ、GM連携、サーバ市場押上げ」 (3月24日号)
摩擦&規制下、中国およびインテル、Nvidia、TSMCそれぞれの動き&対応」 (4月28日号)
Computexより2nm半導体レース、AI工場;米国半導体規制、また波乱?」 (5月26日号)
Nvidiaの米国政府説得奏功、対中国H20出荷再開許可の経緯及び関連」 (7月22日号)
TSMC対抗に向けたファウンドリー対応の進捗現況:インテル&Samsung」 (8月4日号)
Nvidia、OpenAI各々戦略的連携継続;第2のSilicon Valley、アリゾナ」 (10月14日号)
Nvidia四半期決算&予測、AI過熱警戒&懐疑残存、発表前後の動きから」 (11月25日号)

以上、所感寸描のタイトルを分類して示したが、こんどは、この1年の半導体市場関連の注目の動きを、月ごと取り出して数項目にまとめたものを、以下の通り示す。

2025年1月
*年始め恒例開催のCES、家電から電気自動車(EV)そしてAIに軸足が移っている状況
*バイデン政権最終週にAI向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案発表、関係各社&業界からの反発&失望
*同じく政権最終週、TSMCアリゾナ工場での4-nm生産が好調に開始、と米商務省が発表
*トランプ大統領が就任、早々にAI巨額投資、トランプ関税など矢継ぎ早の動き

2025年2月
*中国のスタートアップ、DeepSeek(深度求索)の低コスト大規模言語モデル(LLM)が各方面に衝撃を与え、余波が続く
*米国・SIA発表、2024年の世界半導体販売高が、19.1%増の$627.6 Billion、AI関連需要が大きく牽引
*前政権のCHIPS and Science Actによる助成に、トランプ政権が変更の可能性、今後のやりとりにかかる情勢
*経営立て直しを図るインテルへの運営参画、事業入札の動きが伝えられる
*中国でのHuaweiの三つ折りスマホ発表、メモリ事業の台頭など、盛り返す動き

2025年3月
*米国、中国ともに、それぞれ国内のハイテク強化に向けてBig Tech各社の巨大IT投資が出始め
*関税攻勢に先手、TSMCが、米国への$100 billionの追加投資をトランプ大統領とともに発表
*TSMCの1月および2月の業績発表、AI関連需要が引っ張って当月販売高最高更新が続く
*Nvidiaの年次開発者会議、GTC 2025にて、CEO、Jensen Huang氏、GPU製品ロードマップ更新
*Foxconn、AIサーバの売上げが2年以内にiPhoneを上回るとの読み

2025年4月
*就任2週間のインテルのCEO、Lip-Bu Tan氏、今後の基本方針をあらわす
*米国の相互関税発動を巡る各国応酬、半導体業界関連への波及する動き
*免除から一転半導体分野別関税、二転三転のトランプ政権に振り回される半導体関連業界
*Nvidiaの中国向け仕様のGPU製品に対しても、米国のAI半導体輸出規制適用の動き
*TSMCが、米国工場を立ち上げる中、インテルをさらにリードする1.4-nmノード対応「A14」を発表

2025年5月
*AI半導体、中国はすぐ後に迫っている、とNvidiaのCEO、Jensen Huang氏の危機感溢れるコメント
*TSMCが、最先端は台湾でのみ行い、海外は少なくとも1世代遅らせる方向を改めて表明
*3ヶ月連続で前月比減であった販売高が3月に持ち直す見え方、3月としては史上最高
*トランプ大統領が中東を訪問、サウジアラビア及びUAEとAI関連の巨額プロジェクト投資打ち上げ
*Computex Taipei、今年のテーマは「AI Next」、2nm半導体レース、AI工場、AIパソコンなどがキーワードの見出し

2025年6月
*米国政府からAI半導体に続いて電子設計自動化(EDA)ソフトウェアの中国に対する輸出規制の強化
*半導体自立化、米国では後工程、中国では米国規制の影響など、立ちはだかる遅れ&懸案
*台湾が、中国のHuaweiおよびSMICを貿易ブラックリストに追加、台湾企業からの半導体技術の取得を禁止
*米国で、CHIPS法対応が見直される一方、MicronおよびTIの新たな投資計画打ち上げ
*米国政府が、主要半導体メーカーに対しこれまで米国製技術を中国に輸出することを認めている免除措置の撤回を検討する動き

2025年7月
*米国政府が、先進製造投資税額控除の税率を25%から35%に引き上げ、最も重要な税制優遇措置推進
*米国政府が、中国企業への半導体設計ソフトウェアの提供に関するライセンス要件を撤廃
*インテルが、ファウンドリーの製造プロセス対応をより先進的な14Aノードに移す
*5月の世界半導体販売高が、月次最高を更新、AI需要牽引の市場の力強さ反映
*Nvidiaの中国向け仕様の製品「H20 GPU」の出荷再開を米国政府が許可

2025年8月
*6月の世界半導体販売高が、5月に続き月次最高を更新
*AI半導体の中国向け販売について、NVIDIAとAMDに対し輸出ライセンスと引き換えに売上げの15%を米国政府に支払うことで合意
*米国政府が、バイデン前政権にてCHIPS法に基づいてインテルに向けて決められていた割り当てと引き換えに同社の株式を取得すると発表、出資比率は9.9%
*AI半導体について、Nvidiaによる中国向け仕様品を中国側が拒絶する動き

2025年9月
*7月の世界半導体販売高が、5月および6月に続き月次最高を更新
*米国政府が、主要半導体メーカーの中国工場に対する半導体製造装置出荷の輸出優遇措置を撤回
*アップルの新製品、iPhone 17の発表、AI対応はじめいろいろな切り口からの見方&評価
*Nvidiaの5年前の買収が中国の独占禁止法に違反したと中国当局が発表
*Nvidia製のAI半導体の購入を禁止するよう、中国当局が同国のテック大手企業に命じたとの報道
*アジア現地生産と米国国内生産を1:1にもっていく「50-50分担」の義務付けを課し、その展望が示されなければ巨額の関税を課すという米国政府の動き

2025年10月
*8月の世界半導体販売高が、5月以降連続して月次最高を更新、高まる増勢
*NvidiaおよびOpenAIはじめ戦略的連携AIが引き続き、AI過熱に拍車、さらにはAIバブルといったあらわし方
*恒例のSEMICON Westが、半世紀を経てアリゾナ州での開催、新たなシリコンバレーの色合い
*AI関連の熱い活況、1990年代後半のドットコム時代のバブルを繰り返す可能性の懸念
*Nexperiaを巡るオランダと中国の対立から、欧州はじめ自動車メーカー向け半導体供給の緊急事態

2025年11月
*米国巨大IT企業、GAFAMが直近四半期に過去最高の設備投資、AI半導体について各社の戦略的取り組み
*世界半導体販売高、7-9月四半期が前四半期比15.8%増、4-6月四半期の同7.8%増に比べて増勢の高まり
*AI半導体巨額投資のアプローチ、OpenAIのインフラ契約、TeslaのAIロボット向け半導体
*AIの過熱の一方の懸念の波紋、メモリ半導体価格の高騰の可能性
*Nvidiaの直近四半期決算発表、過去最高を記録、次の四半期もさらに伸びる予測ながら、市場は慎重な反応

2025年12月
*MetaがデータセンターにGoogleのTPUs採用を検討との報道、Nvidia1強に分け入る気配
*10月の世界半導体販売高が$72.7 billionと新たな大台突破、1-10月販売高累計が過去最高の2024年年間にほぼ並ぶ
*トランプ大統領がNvidiaの最上位に続く性能のAI半導体、「H200」の中国への販売を許可、中国は国産品を推奨との反応
*メモリ半導体市場、AI向けに生産が集中してそれ以外の価格が高騰、パソコンやスマホの値上げにつながる動きが顕在化

来る新年、2026年はどうなっていくか、推移&展開に引き続き注目である。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□12月23日(火)

クリスマスの週、5日連続で上げて2週間ぶり最高値を更新、26日は下げて締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ3日続伸、227ドル高 主力ハイテク株が持ち直し (日経 電子版 06:13)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、終値は前週末比227ドル79セント(0.47%)高の4万8362ドル68セントだった。主力のハイテク株が持ち直し、投資家心理を支えた。もっとも高値警戒感もくすぶり、主力株の一角には利益確定目的の売りが出て上値を抑えた。

米国政府の中国に対する半導体関税への対応が次の通り、先送りされている。

◇U.S. pushes additional tariffs on Chinese chips to June 2027 (CNBC)
→1)*米国は2027年6月に中国製半導体輸入関税を引き上げるが、関税率は少なくとも1か月前に決定される。
  *米国は、中国が半導体業界において不公正な貿易慣行を行っていると判断した。
  *この通知は、バイデン政権時代に通商法301条に基づき開始された、旧型の半導体に焦点を当てたプロセスの次のステップである。
 2)米国は、18か月間の無関税期間の後、2027年6月23日に中国製半導体輸入関税を引き上げることを計画している。中国の不公正な貿易慣行を理由とするこの措置は、緊張を緩和するとともに、米国企業に将来のコストに関する明確な見通しを与えることを目的としている。

□12月24日(水)

◇トランプ政権、中国半導体への新関税「0%」 事実上先送りで配慮か (日経 電子版 05:55)
→トランプ米政権は23日、前政権時代に始めた中国の半導体政策に関する調査を終えたと明らかにした。中国への対抗策として新たな追加関税を即時発動したが税率は2027年6月まで「0%」とした。27年6月以降の税率は当面未定として発動を事実上先送りしており、対中関係に配慮したとみられる。

◇NYダウ続伸し79ドル高 ハイテクに買い、S&P500種は最高値 (日経 電子版 06:35)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、終値は前日比79ドル73セント(0.16%)高の4万8442ドル41セントだった。ハイテク株や景気敏感株の一角に買いが入り、指数を支えた。持ち高を積極的に一方向に傾ける市場参加者は少なく、小幅な値動きにとどまった。

米国国防総省からの中国軍の台湾に対する態勢の分析である。

◇米国防総省、中国軍は「2027年の台湾侵攻へ着実に前進」 分析公表 (日経 電子版 10:47)
→米国防総省は23日、中国の軍事力に関する2025年の年次報告書を公表した。米国側は、中国軍が27年までに台湾侵攻を可能にする態勢構築に向けて「着実に前進を続けている」と分析した。
 第2次トランプ政権発足後の初めての報告書となり、中国との国防当局の対話を重視する方針も強調した。

□12月25日(木)

◇NYダウ続伸で約2週間ぶり最高値 「サンタラリー」幕開け試す (日経 電子版 04:26)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸した。終値は前日比288ドル75セント(0.59%)高の4万8731ドル16セントと11日以来、約2週間ぶりに最高値を更新した。例年、年末は株価が上昇しやすい時期とされ、一部機関投資家から運用成績をよく見せるための「お化粧買い」が入ったとの見方もある。
 24日は13時までの短縮取引だった。市場参加者が少なく、相場を大きく動かす材料にも乏しいなか、ディフェンシブや景気敏感、消費関連などを中心に物色が入った。

□12月27日(土)

◇NYダウ6日ぶり反落20ドル安、利益確定売り ナスダックも下落 (日経 電子版 06:16)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに小幅反落し、終値は前営業日の24日に比べ20ドル19セント(0.04%)安の4万8710ドル97セントだった。24日に最高値を付けた後で、利益確定の売りが優勢だった。一方、ハイテク株の一部に買いが入り、相場を下支えした。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

年末の締めのタイミングに、NvidiaのM&Aが行われている。

◇Groq: Nvidia’s $20 Billion Bet on AI Inference (12月26日付け EE Times)
→*Nvidia が Groq の推論技術に$20 billionを支払ったことは、リアルタイム AI が今や真の戦場となっていることを明確に示している。
 *AIトレーニングの巨人であるNVIDIAは、クリスマスイブの直前に推論アクセラレータチップにおける最有力候補の1社を買収することで、推論分野における影響力を拡大すべく、制御から分解までを網羅する契約を締結した。
 CNBCの報道によると、NVIDIAは$60 billionの現金の3分の1にあたる$20 billionを、CEOのJonathan Ross氏、社長のSunny Madra氏、そしてGroqの中核エンジニアリングチームのメンバーを含む推論技術資産の買収に費やした。これらのメンバーはNVIDIAに加わり、ライセンス供与された技術の発展と拡大を支援する予定だ。


【インテル関連】

Nvidiaがインテルの18Aノードを採用するに至らなかった関連など以下の通りであるが、まずは社内地固めそしてbackend技術の展開に注目である。

◇Inside Intel’s new Arizona fab, where the chipmaker’s fate hangs in the balance (12月19日付け CNBC)
→1)*インテルの先端チップノード「18A」は現在、アリゾナ州の新工場で量産中だが、外部からの主要顧客はまだ見つかっていない。
  *この工場は、長年の失敗からTSMCに追いつくための拠点となることを目指しており、幹部らは「軌道修正した」と述べている。
  *米国政府からの$8.9 billionとNVIDIAからの$5 billionの支援が、インテルにとっての救いの手となっている。ただし、AIチップのリーディングカンパニーであるNVIDIAは、インテル・ファウンドリーでのチップ製造を確約していない。
 2)インテルは競争力の回復を確信し、18Aチップノードの量産を開始したが、歩留まりの課題とTSMCへの依存が根強いことから、外部顧客の獲得に苦戦している。今のところ、インテルは依然として自社を主要顧客としている。

◇Intel’s Arrow Lake “Refresh” CPU Lineup―Rumors: Intel set to release Arrow Lake Refresh―Here’s Everything We Know About Team Blue’s Next Desktop CPUs (12月21日付け Wccftech)
→噂によると、IntelはCES 2026でArrow Lake Refresh「Core Ultra 200S Plus」シリーズを発表し、デスクトップCPU市場でのプレゼンスを回復させる計画だ。当初のArrow Lake CPUsはAMDのRyzen 9000シリーズに比べて性能が劣っていた。このリフレッシュ版では、クロック速度の向上とEコア数の増加が特徴となるが、コア構成の変更は最小限にとどまると予想されている。

◇IFTLE 651: Intel and Amkor Join Forces for EMIB (12月22日付け 3DInCites)
→AmkorとIntelは提携して、韓国、ポルトガル、およびアリゾナでIntelのEMIBパッケージの大量生産を拡大し、AI主導の需要に対応し、米国のサプライ チェーンを強化し、TSMCの制限された高度なパッケージング能力に代わる選択肢を提供する。

◇NVIDIA Did Test Intel’s 18A Process, But Reportedly Stopped Moving Forward, Suggesting No Foundry Deal From the AI Giant for Now―Reports: Nvidia tested Intel's 18A chip (12月24日付け Wccftech)
→報道によると、NVIDIAは予備的な協議の一環としてIntelの18Aチップを評価したものの、自社のチップ製造にこのノードを採用することは決定しなかった。NVIDIAは18Aのサンプルをテストしたが、2ナノメートルの要件については既にTSMCと提携している。

◇インテル、株価一時4%安 NVIDIAが半導体製造技術の採用中止か (12月25日付け 日経 電子版 05:34)
→ロイター通信は24日、米インテルの先端半導体を生産する微細技術について、米エヌビディアが自社の半導体製造への採用を中止したと報じた。エヌビディアのAI半導体の生産を受託する期待が遠のき、インテルの株価は24日の米株式市場で一時前日比4%下落した。


【TSMC関連】

最先端の微細化および実装技術対応と、ともに生産能力を巡る動きの関連が以下の通りである。

◇[News] TSMC’s Bold Pivot: Kumamoto Fab 2 Reportedly Leaps from 6nm to 2nm amid JASM Losses (12月22日付け TrendForce)
→TSMCは、熊本工場の第2ファブを、赤字続きの6nm計画から大胆な2nm計画へと転換し、NVIDIAやAMDといったAI関連顧客をターゲットとする可能性がある。アリゾナ州の4nmファブは黒字を計上している一方、日本は赤字に陥っており、TSMCは補助金や政策リスクを懸念しつつ、先端ノードの追求を迫られている。

◇TSMC's CoPoS equipment set for mid-2026; overseas suppliers shake up Taiwan firms―TSMC expects CoPoS equipment boost for 2026 amid demand surge (12月22日付け DigiTimes)
→AI向けGPUおよびASICの需要急増を受け、TSMCと非TSMC両陣営は2026年のCoWoS生産能力計画を引き上げた。特に、CoWoSの供給不足とNvidiaの要求により、TSMCのファウンドリ発注は徐々にOSATに波及している。

◇TSMC's N-2 restrictions hand Samsung US advanced chip opening―TSMC's N-2 policy gives Samsung edge in US chip market (12月24日付け DigiTimes)
→台湾のN-2政策によりTSMCの先端プロセスへの移管が制限され、AppleとNVIDIAがその生産能力を確保しているため、サムスン電子は米国の需要を捉える態勢が整っている。同社はAMDと共同で第2世代2nmプロセスのテストを進めている。


【Samsung関連】

新型スマホ用プロセッサ、自動運転技術のM&A、米国での先端ファウンドリー対応、そしてiPhone向けDRAM供給について、以下示している。

◇Samsung Electronics unveils details of new Exynos chipset for Galaxy S26 (12月19日付け Yonhap News Agency)
→サムスン電子は、現在量産中の新型2ナノメートル・アプリケーションプロセッサ「Exynos 2600」を発表した。このチップはCPU性能を39%、生成AI性能を113%向上させ、ゲームやAIタスクの性能向上に貢献し、近日発売予定のGalaxy S26にも搭載される。

◇Samsung Unit to Buy ZF’s Driver Assistance Arm for $1.8B―Samsung to buy ZF's ADAS unit for $1.8B―Sale to Harman Gives ZF Some Financial Breathing Room (12月23日付け Transport Topics/Bloomberg)
→サムスン電子は、ZF Friedrichshafenの自動運転技術部門を$1.8 billionで買収することで合意した。これにより、同部門はHarmanのオーディオ事業と統合され、次世代の車載プラットフォームを構築する。この買収により、サムスンは車載カメラやコントローラーを含む先進運転支援システム(ADAS)技術を獲得し、メモリチップやスマートフォンにとどまらない事業多角化を実現する。

◇Samsung Electronics unit Harman to acquire ZF Group's ADAS business for $1.8 billion (12月23日付け Yahoo/Reuters)
→サムスン電子は火曜23日、ドイツのZFフリードリヒスハーフェンの自動運転技術部門を$1.8 billionで買収し、オーディオ事業と統合して次世代の車載プラットフォームを提供すると発表した。

◇[News] Samsung Set to Benefit from TSMC’s ‘N-2’ Rule as AMD, Google Eye U.S. 2nm Production (12月23日付け TrendForce)
→サムスンはTSMCの海外2nmプロセスとのギャップを捉えようとしており、大手テクノロジー企業がサムスンのほぼ完成間近のテイラー工場に殺到している。テスラ、AMD、およびグーグルが生産契約を模索する中、需要の高まりとTSMCの生産能力限界の中で、サムスンは主要サプライヤーとしての地位を確立している。

◇Samsung reportedly secures over 60% of iPhone 17 DRAM supply, extends lead to iPhone 18 ―Reports: Samsung secures majority of iPhone 17 DRAM supply (12月23日付け DigiTimes)
→サムスン電子は、AppleのiPhone 17向けモバイルDRAMの最大のサプライヤーになったと報じられており、この傾向は次期iPhone 18でも続くと予想されている。


【DRAM価格の高騰】

このところ取り上げられているDRAM価格の高騰、生産調整およびAI需要へ生産対応の影響とされるが、年明けのパソコン・スマホの値上げが取り沙汰されている。

◇Samsung, SK hynix accelerate memory output amid AI boom (12月21日付け Yonhap News Agency)
→1)韓国の半導体メーカーは、AIサーバーの需要急増を捉えるため、メモリ生産を加速させている。サムスンとSKハイニックスは、世界のDRAM市場が$170 billion規模に迫る中、規模とスピードが競争力確保につながると確信し、DRAM、NAND、およびHBMの生産能力を拡大している。
 2)韓国の半導体メーカーは、急増するAIサーバーの需要を満たすためにメモリ生産を増強しており、アナリストは世界のDRAM市場が2026年までに$170 billionに達すると予測する中、サムスンとSKハイニックスはDRAM、NANDおよびHBMの生産能力を拡大し、新しい工場に投資している。

◇DRAM値段つかぬ異例の事態 10月大口取引、大手生産縮小でモノ不足 (12月22日付け 日経 電子版 16:27)
→DRAMの10月の大口取引価格の交渉が値段がつかない異例の事態となった。DRAM大手メーカーが指標品であるDDR4型の生産を縮小する動きなどを受け、供給が急激に減った。「交渉が成立しないのは初めて」(エレクトロニクス商社)という。DRAMの価格高騰を受け、一部のパソコンメーカーは値上げを発表した。今後もパソコン価格はさらに上昇しそうだ。

◇DRAM Cannot Keep Up With AI Demand (12月23日付け EE Times)
→DRAMの需要は、AIと供給不足の影響で2026年にかけて急増し、価格と利益率を押し上げている。NANDはAIストレージのニーズから恩恵を受ける一方、MRAM、ReRAM、FRAM、およびPCMといった新興メモリは、規模と生産量の制約があるニッチ市場をターゲットとしている。

◇メモリー高騰がPC値上げ呼ぶ マウスC26年から、シャープ系も検討 (12月26日付け 日経 電子版 05:00)
→DRAMなど半導体メモリーの価格が大幅に上昇し、一部の国内パソコンメーカー(マウスコンピューター)が転嫁値上げに動き始めた。メモリーメーカーは高採算のAIサーバー向けなどに生産をシフトし、消費者向け製品への供給が細る。DRAMのスポット(随時契約)価格は昨年末のおよそ10倍になるなど、逼迫感が強まっている。


【中国半導体関連】

海外依存への脱却に向けて国内自立化に取り組む中国の動きが、活発の度合いを高めているこのところの見え方である。以下、いずれも今後注目のキーワード&フレーズとともに示している。

[EUVリソ装置の開発]

◇China eyes mastery of EUV lithography, bolstering AI chip ambitions, analysts say (12月19日付け South China Morning Post)
→1)「半導体の夢が国家安全保障上の問題となっている今、中国の野心を過小評価すべきではない」とNatixisのアナリスト、Gary Ng氏は述べている。
 2)中国は、ASMLのシステムをリバースエンジニアリングしたEUVリソグラフィー装置の試作機を開発したと報じられている。この装置は、高度なAIやHPCチップをターゲットとしている。アナリストたちは、EUV装置が実用化されれば、チップの自給自足を加速させ、米国に対する地政学的影響力を増すだろうと指摘している。

◇China EUV Breakthrough and the Rise of the ‘Silicon Curtain’―China's EUV breakthrough could reshape the chip landscape (12月23日付け EE Times)
→1)*中国製EUVプロトタイプの稼働開始は、シリコンのグローバル化の終焉を告げるものであり、台湾を守る「シリコンシールド」を根本的に弱体化させるものである。
  *中央科学技術委員会が管理する厳重な施設内で、中国のエンジニアたちは極端紫外線(EUV)リソグラフィー装置を稼働させた。これは米
   国が長年にわたり阻止しようと試みてきた技術である。ロイターの最近の調査により、EUVプロトタイプが深センで稼働していることが確認された。この開発は単なる技術的な節目ではない。これは、事実上、統一された世界半導体市場の終焉を告げ、深刻な技術分断の時代を告げる、構造的な大変革である。
 2)中国のエンジニアたちは、深センで極端紫外線リソグラフィー装置を稼働させた。これは中国の半導体能力における画期的な進歩である。この装置は、ファーウェイをシステムインテグレーターとして参加させ、国営研究グループの支援を受けた「国家ぐるみ」のアプローチで開発され、商業戦略から国家安全保障主導の取り組みへの転換を示している。

[「GPUレンタル」]

◇China’s Tencent Gains Access to the “Banned” NVIDIA’s Blackwell B200 AI Chips by Leveraging the Rental Loophole in U.S. Export Controls―Reports: Tencent uses rental loophole to access Nvidia's Blackwell chips (12月21日付け Wccftech)
→*アナリストによると、中国のAI大手はHopperチップの入手よりも「GPUレンタル」モデルに傾倒しているという。
 *ブラックウェルは中国への輸出が禁止されているものの、国内のAI大手はNVIDIAの最新技術にアクセスするための回避策を見つけているようだ。中国のAI大手はコンピューティングパワーを切実に必要としている。中国が国産AIチッププロバイダーの設立に尽力する一方で、Tencentのような企業はニーズを満たすための代替手段を模索している。有力な選択肢の一つがレンタルコンピューティングサービスの利用だ。米国の輸出管理では、このような事業に「厳格な」制限が設けられていないためだ。そのため、フィナンシャル・タイムズ紙は、テンセントが日本のneocloud Datasectionを通じてNVIDIAのB200 AIチップにアクセスできるようになったと報じている。同社はテンセントからだけでも$1.2 billion以上のレンタル契約を結んでいると報じられている。

[Moore ThreadsのAI半導体]

◇Moore Threads unveils new AI chips to challenge Nvidia (12月21日付け South China Morning Post)
→1)上海証券取引所に上場するチップメーカーであるMoore Threadsは、AI向けチップ「Huashan」とゲーム向けチップ「Lushan」を発表し、両チップで優れた性能を約束した。
 2)中国のチップ設計会社であるMoore Threadsは、AI向けチップ「Huashan」とグラフィックチップ「Lushan」を発表し、NVIDIAの「Hopper」に匹敵し、Blackwellに迫る性能を謳っている。上海証券取引所でのIPOを大々的に発表したばかりの同社は、中国が半導体開発を加速する中、海外のライバル企業を追い抜くことを目指している。
 3)中国のチップメーカー、ムーア・スレッド・テクノロジーは、AIに特化した新型チップ「Huashan」と高性能「Lushan」を発表し、NVIDIAの「Hopper」シリーズを凌駕する性能を謳った。この発表は、AIおよびゲーム市場における世界のライバル企業への挑戦をムーア・スレッドが目指す姿勢を示している。

◇[News] China’s Moore Threads Unveils Huashan AI Chip, Reportedly Takes Aim at NVIDIA’s Hopper (12月22日付け TrendForce)
→中国のMoore Threadsは、NVIDIAのHopperおよびBlackwellチップをターゲットとしたAIトレーニングおよび推論用GPU「Huashan」を発表した。2026年生産予定のこのデュアルチップレット設計は、大容量HBMメモリ、より高い演算能力、そしてGPUsとSoCsの幅広い展開を特徴としている。

◇Moore Threads challenges Nvidia as S5000 targets Hopper-class LLM training―Moore Threads' S5000 GPU targets rival Nvidia Hopper (12月24日付け DigiTimes)
→中国に拠点を置くAIチップメーカー、ムーア・スレッドは上場からわずか15日後、迅速に自信を示した。

[NvidiaのH200出荷]

◇Nvidia aims to begin H200 chip shipments to China by mid-February, sources say―Sources: Nvidia plans to ship H200 chips to China in Feb. (12月22日付け CNBC/Reuters)
→関係筋によると、NVIDIAは2月にH200 AIチップの中国への出荷を開始し、最初の注文を既存の在庫から処理する予定だ。この計画は中国政府の承認を条件としており、中国政府はH200の購入に国産チップとのバンドルを義務付ける提案を検討している。

◇Nvidia aims to begin H200 shipments to China by mid-February, sources say (12月24日付け Taipei Times)
→Nvidiaは、H200 AIチップの中国への出荷を春節(旧正月)前に開始し、初期受注の4万〜8万台を調達する予定である。出荷は政府の承認を条件としており、新たな生産能力は来年第2四半期に稼働開始予定である。

[Huaweiのスマホ]

◇ファーウェイ、スマホ部品6割を中国製に 半導体の国内供給網に厚み (12月24日付け 日経 電子版 18:00)
→中国の半導体の供給網に厚みが増している。米国の対中輸出規制を契機にCPUやメモリーなどの国産化が進み、華ァーウェイは新型スマートフォンで中国製部品の比率を約6割(金額ベース)に高めた。スマホで培った半導体回路の微細化技術を応用し、最先端のAI半導体でも存在感を高めつつある。

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