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AIブームの一方の様々な懸念の中で見られる市況インパクト、各社連携

AI(人工知能)ブームに乗って巨額の投資が打ち上げられる一方、先々の利益回収を巡ってAIデータセンターの一部の完成が遅れるとの観測が伝えられると市場が敏感に反応するといった懸念含みの動きがあらわれている。AIの熱い活況に覆われて、いまとなっては伝統的なパソコン、スマホをはじめとする半導体市場も戻りが鈍く、メモリ半導体市場もAI向けに生産が集中してそれ以外の価格が高騰して、パソコンやスマホの値上げにつながる動きが顕在化している。AIの今後の進展に向けた半導体関連各社の連携も見られてきている。本年、2025年を締め括るタイミングとなるが、3月以降に上げ足をだんだん早めている半導体販売高は、AIブームの今後にかかる現時点である。

≪揺れ動く展開シナリオ≫

AIブームの中、先行きの見通しに関わる動きに揺れる動き関連が、以下の通りである。

◇オラクル、データセンター完成遅れ オープンAI向け (12月13日付け 日本経済新聞 夕刊)
→米ブルームバーグ通信は12日、米オラクルが米オープンAIに提供するAIデータセンターについて、一部施設の完成時期を2027年から28年に延期すると報じた。人手と資材の不足で建設が遅れるという。
 オラクルはソフトバンクグループ(SBG)やオープンAIが主導する米国のデータセンター計画「スターゲート」に参画する。オープンAIと3000億ドル(約46兆7000億円)の大型契約を結び、米南部テキサス州など3カ所以上にデータセンターを設ける計画だ。

◇AI infrastructure selloff continues on Wall Street as Broadcom, Oracle shares slide (12月15日付け CNBC)
→1)*ブロードコム、CoreWeaveおよびオラクルの株価は月曜15日に軒並み下落し、先週の下落幅を拡大した。
  *AIブームは衰える兆しを見せていないものの、投資家は資金調達のあり方について懸念を強めている。
  *オラクルの株価は9月の高値からほぼ半減している。
 2)ブロードコム、オラクル、およびコアウィーブの株価が好決算後に急落したことで、投資家はAIインフラへの投資に慎重になっている。AI需要の急増にもかかわらず、巨額の投資、負債の増加、そして低い利益率により、巨額投資に見合うリターンが得られるのかという懸念が生じている。

OpenAIの人材登用である。

◇OpenAI poaches Google executive to lead corporate development (12月15日付け CNBC)
→1)*OpenAIは、GoogleのAlbert Lee氏をコーポレート開発責任者に採用した。この人工知能スタートアップ企業の広報担当者がCNBCの取材に対し明らかにした。
  *リー氏は以前、Google CloudとGoogle DeepMindのコーポレート開発を率い、3月に$32 billionで買収したWizを含む複数の買収に携わった。
  *リー氏の採用は、OpenAIがGoogleやAnthropicといった競合他社に対する優位性を獲得できるターゲットを引き続き模索していくことを示唆している。
 2)OpenAIは、Googleのアルバート・リー氏をコーポレート開発責任者に採用した。これは、戦略的投資と買収への積極的な取り組みを示唆している。リー氏はGoogleとの主要取引で経験を積んでおり、OpenAIのAIポートフォリオの拡大と競合他社への優位性確保に貢献できるであろう。
 3)OpenAIは、Googleのアルバート・リー氏をコーポレート開発の責任者に採用し、積極的なM&A戦略を示唆した。Googleの主要買収を指揮したリー氏は、OpenAIがリーダーシップを拡大し、GoogleやAnthropicといったライバル企業を凌駕する成長を目指す中で、戦略的投資を主導することになる。

◇Hyperscaler AI spending could slow down if Oracle shows ‘discipline’ (12月16日付け CNBC)
→1)*CNBCのJim Cramer氏は火曜16日、テクノロジー株に打撃を与えている巨額のAI投資について見解を述べた。
  *クレイマー氏は、オラクルの行動が他のハイパースケーラーの投資を鈍化させる可能性があると指摘し、OpenAIのパートナーである同社は「規律」を示すべきだと述べた。
  *「オラクルはすでに巨額の負債を抱えており、バランスシートもそれほど良好ではない。いずれ債券市場の警告に耳を傾け、投資を減速させるだろう」とクレイマー氏は述べた。
 2)CNBCのジム・クレイマー氏は、オラクルの巨額の負債は同社にAI投資の抑制を迫る可能性があり、Amazon、Microsoft、Google、MetaおよびOpenAIといったライバル企業の成長を鈍化させる可能性があると警告した。また、無謀なデータセンター投資は企業価値を圧迫しており、規律ある抑制によってAI競争が再編される可能性があると述べた。

AIブームと懸念が、対のキーワードの見え方である。

◇AI-Boom Drives Semiconductor Industry Confidence to Near-Record High, But Supply Chain and Infrastructure Concerns Intensify (12月16日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→半導体企業の幹部らは、今後の一年についてこれまでにないほど自信を持っているが、この記録的な楽観論は、サプライチェーンの安定性、エネルギー安全保障および人材不足に対する高まる懸念に直接的に影響を及ぼしていると、米国の監査、税務、アドバイザリー会社、KPMG LLPとGlobal Semiconductor Alliance(GSA)が共同で発表した第21回年次世界半導体展望で述べられている。

◇AIデータセンター、50万人分の水がぶ飲み 米国で建設急増が招く枯渇 (12月17日付け 日経 電子版 03:49)
→AIの開発や運用に使うデータセンターの建設が米国で急増し、サーバーの冷却に使う水の大量消費への懸念が広がっている。米データセンターの年間水使用量は日本で50万人分の生活水に相当する660億リットルと9年で3倍となり、増え続けている。建設地では住民が地下水枯渇と干ばつにおびえている。

◇Amazon、OpenAIに1兆5000億円投資へ協議 米報道 (12月17日付け 日経 電子版 14:36)
→米アマゾン・ドット・コムが米オープンAIに$10 billion(約1兆5500億円)を投資する方向で協議していることが16日、わかった。米ネットメディアのジ・インフォメーションなど複数の米欧メディアが報じた。オープンAIはアマゾンが手がけるAI向け半導体の導入も検討する。

◇AI entering challenging phase: PwC (12月18日付け Taipei Times)
→1)バブル?急速な売上げ成長と企業価値の上昇を実現している企業はごくわずかで、AIのトレンドを変革と呼ぶには不十分だと、あるアナリストは指摘する。
 2)PwC Taiwanは、AIが2026年には成果重視の段階に入り、企業は散発的なパイロットから集中型の高インパクト戦略へと移行する必要があると警告している。企業は、測定可能な価値と変革を実現するために、エージェント型AI、オーケストレーション、そして多分野にわたる人材に注力していく。

◇米オラクル、AIデータセンター出資者が交渉撤退 株価高値から半減 (12月18日付け 日経 電子版 06:12)
→米ソフト大手オラクルの$10 billion(約1兆5500億円)規模のAIデータセンター計画への出資協議から、有力な米投資会社が撤退したことが17日明らかになった。AI投資の資金調達が難しくなると懸念され、オラクル株は一時前日比6%下落し、株価は9月の直近高値からほぼ半減した。

それぞれ推移に目が離せない状況が並行しているが、AIブームへの市況インパクト関連を、以下取り出している。

◇台湾IT19社、20%増収 11月、クアンタなど過去最高 (12月13日付け 日経)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカー主要19社の11月の売上高合計は前年同月比で20%増だった。サーバー生産の広達電脳(クアンタ)や、半導体メモリーの南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)は売上高が単月として過去最高だった。
 電子機器の受託製造サービス(EMS)はAI向けのサーバー生産の好調が続いた。

◇[News] MediaTek Reportedly Secures Google v7e, v8e TPU Orders, Requests 7-Fold CoWoS Increase from TSMC (12月15日付け TrendForce)
→MediaTekはGoogleのv7eおよびv8e TPUsの予想外の大量注文を確保したと報じられており、TSMCは2027年までにCoWoSの生産能力を7倍以上に拡大する計画を立てている。MediaTekがTSMCと共同で3nmおよび高度なパッケージングを拡大する中、v7eは来四半期にリスク生産に入る。

◇TSMC, Broadcom AI outlook signals strong growth for Samsung, SK Hynix in 2026―Analysts expect SK Hynix, Samsung growth to follow positive AI outlook (12月15日付け DigiTimes)
→アナリストたちは、TSMCとブロードコムの2026年の業績見通しが、韓国の2大半導体メーカーであるサムスン電子とSKハイニックスの予想業績を垣間見せてくれると考えている。

AIブームによる特にパソコンおよびスマホ用メモリ半導体価格の上昇である。

◇The AI-fueled chip shortage could raise smartphone prices - new research spells out by how much (12月16日付け CNBC)
→1)*Counterpoint Researchによると、2026年のスマートフォンの平均販売価格は6.9%上昇すると予想されている。
  *これは、スマートフォンの価格を押し上げているメモリチップ価格の上昇に起因している。
  *メモリは、需要が急増しているAIデータセンターの主要部品に使用されている。
 2)カウンターポイント・リサーチは、AI関連のメモリチップ不足により、2026年のスマートフォン価格は6.9%上昇する一方で、出荷台数は2.1%減少する可能性があると警告している。DRAM価格の上昇は特に低価格帯および中価格帯のデバイスに影響を与え、AppleやSamsungよりも小規模メーカーにとって大きな打撃となる。

◇[News] Acer and ASUS Reportedly to Pass Surging Memory Costs to PCs in 1Q26, Hot on Dell’s Heels (12月16日付け TrendForce)
→メモリ価格の高騰を受け、Dellは12月17日からPC価格を10〜30%引き上げる予定で、業界の転換を示唆している。AcerとASUSはコスト転嫁の必要性で合意しており、DDR5とSSDの価格高騰により2026年のメーカー希望小売価格が上昇すると、需要が圧迫され、2026年初頭には売上が減少するリスクがある。

◇AI’s Booming Demand Meets a Semiconductor Reality Check (12月17日付け EE Times)
→ジェネレーティブAIは前例のない半導体需要を牽引し、2025年上半期の世界売上高は18.9%増の$364 billionに達すると予測している。アナリストは市場規模が$975 billionに達する可能性があると予測しているが、業界の景気循環の中で、成長は依然として高付加価値AIチップに集中している。

◇Memory price surge expected to continue into 2026―TrendForce: Memory prices projected to climb steadily into 2026 (12月17日付け New Electronics (UK))
→市場調査会社、TrendForceの新しい調査によると、世界のメモリ価格は2026年第1四半期に急騰し、デバイスメーカーにすでに大きなコスト圧力をかけている傾向がさらに続くと予想されている。

◇Chip crunch to drive up costs, curb cellphone output next year: researcher (12月17日付け Taipei Times)
→Counterpoint Researchは、メモリチップ不足によるコスト上昇により、2026年の世界のスマートフォン出荷台数が2.1%減少する可能性があると警告している。端末の平均価格は6.9%上昇する可能性があり、利益率の低い中国メーカーが最も大きな打撃を受ける一方、AppleとSamsungは比較的保護された状況が続くとみられる。

AIの波に乗るMicronの業績見通しである。

◇Micron stock pops 10% as AI memory demand soars: ‘We are more than sold out’ (12月18日付け CNBC)
→1)*マイクロン・テクノロジーは、AIメモリの需要が供給を上回ったことを受け、第1四半期決算でウォール街の予想を上回り、大幅なガイダンスを発表した。
  *同社は、高帯域幅メモリ(HBM)の市場規模が2028年までに$100 billionに達し、年平均成長率40%で成長すると予想している。
 2)マイクロン・テクノロジーの株価は、AIを背景としたメモリチップの堅調な需要により、第1四半期決算が予想を上回り、10%急伸した。同社はガイダンスを引き上げ、高帯域幅メモリ市場が2028年までに$100 billionに達すると予測し、設備投資額を$20 billionに増額した。

◇Micron gives rosy sales forecast as AI spurs demand (12月19日付け Taipei Times)
→マイクロン・テクノロジーは、第2四半期の売上高を$18.3〜$19.1 billionと予測した。これはアナリスト予想を大幅に上回り、AI需要の急増とメモリ不足により価格が引き上げられたことが要因である。株価は好調な売上高と$20 billionの積極的な投資計画を反映して10%上昇した。

AIが引っ張る今後を見据えた半導体各社間の様々な連携が、以下の通り続いている。

◇Siemens and GlobalFoundries partner to advance AI-driven semiconductor manufacturing―Siemens, GlobalFoundries team to integrate AI in chipmaking (12月15日付け New Electronics)
→シーメンスとGlobalFoundriesは、半導体製造プロセスにAIを統合し、先進産業全体の効率、セキュリティおよび信頼性を向上させることを目的とした戦略的提携を発表した。

◇Samsung nears 2nm foundry deal with AMD as it closes gap with TSMC―Reports: Samsung, AMD in talks for 2nm chip production (12月15日付け New Electronics (UK))
→1)サムスン電子は、AMDの次世代2nmプロセス技術を用いたチップ生産について、AMDと協議を進めていると報じられている。これは、主要ファウンドリ競合のTSMCとの差を縮める取り組みを加速させる狙いがある。
 2)サムスン電子は、TSMCとの差を縮めるため、AMDの2nmプロセス技術を用いたチップ生産について、AMDと協議を進めていると報じられている。アナリストによると、サムスンがAMDの基準を満たせば、AMDはデュアルファウンドリ戦略を採用する可能性があるという。

◇[News] Samsung Reportedly Nears 2nm Foundry Deal With AMD, Decision Possible Around Early 2026 (12月15日付け TrendForce)
→サムスンは、AMD設計のチップを自社の2nm SF2Pプロセスで製造する契約締結に近づき、ファウンドリ事業の勢いを増している。協議にはEPYC VeniceのMPW(Multi Project Wafer)試験が含まれており、TSMCの生産能力が逼迫する中でAMDがデュアルファウンドリ戦略を採用する可能性が高まっているほか、AIとHBMとの連携も深まっている。

◇SK hynix, Nvidia Jointly Developing SDDs For AI Inference: Report―Reports: Nvidia, SK Hynix collaborating on AI-focused SSD (12月16日付け CRN (US))
→1)NVIDIA Rubin CPX GPUs搭載のAI推論ワークロード向けに1億IOPSの性能を約束する新型SSDsの概念実証(PoC)が現在開発中で、プロトタイプは2026年後半に提供開始予定である。
 2)SK HynixはNVIDIAと提携し、AIに特化した次世代SSDを開発しているとの報道がある。AI-NPプロジェクトとStorage Nextプロジェクトが推進するこのSSDは、現行モデルを凌駕する毎秒1億回の入出力処理能力を実現すると予想されている。

非常に有用な一方、いろいろ手綱さばきを要するとされるAIであるが、確かなベストのさばき方を見定める問題意識の中の年越しとなりそうである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□12月16日(火)

最高値圏にあるなか、労働市場の減速警戒などから前半は下げたが、後半はハイテク買戻しなどで上げて締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウは続落、ハイテク株に売り 雇用統計の発表前に持ち高調整も (日経 電子版 06:13)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、終値は前週末比41ドル49セント(0.08%)安の4万8416ドル56セントだった。最高値圏にあるなか、ハイテク株の一角に売りが出た。16日に11月の米雇用統計の発表を控え、持ち高調整の売りも出やすかった。
 ダウ平均は11日に最高値を更新していた。高値警戒感や株式相場の過熱感が意識され、主力株の一角に持ち高調整の売りが出た。

中国の経済成長率、向こう5年の減速の見通しである。

◇中国成長率、26〜30年は平均4.1%に減速 日経センター予測 (日経 電子版 14:00)
→日本経済研究センターは16日、2040年までの経済見通しを発表した。中国は26〜30年の5年間で年平均4.1%の経済成長率となり、21〜25年の同5.4%から減速する見込みだ。米国の対中追加関税は下がったものの、内需不足やデフレ圧力が下押し要因となる。

□12月17日(水)

中国を意識してか、エンジン車禁止をEUが撤回している。

◇EU、エンジン車禁止を撤回へ 2035年以降も条件付き販売容認 (日経 電子版 02:20)
→欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は16日、2035年にエンジン車の新車販売を原則禁じる目標を撤回する案を発表した。一定の条件を満たせば35年以降もエンジン車の販売を容認する。電気自動車(EV)を推進する方針は維持するものの、急速なシフトに欧州の自動車メーカーやドイツ政府が反発しており、より現実的な目標に見直す。

◇NYダウ続落、302ドル安 労働市場の減速を警戒 (日経 電子版 06:15)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、終値は前日比302ドル30セント(0.62%)安の4万8114ドル26セントだった。同日発表の米経済指標は強弱が入り交じる内容となり、先行きの雇用や金融政策を巡る不透明感が重荷となった。ダウ平均の下げ幅は470ドルほどに達する場面があった。

□12月18日(木)

◇NYダウ、4日続落し228ドル安 AI関連銘柄が軒並み下落 (日経 電子版 06:19)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、終値は前日比228ドル29セント(0.47%)安の4万7885ドル97セントだった。AI関連の巨額投資に対する先行き不透明感が高まり、ハイテク株への売りが膨らんで投資家心理が悪化した。ダウ平均の構成銘柄ではないが、オラクルが5%安と大幅に下げた。

□12月19日(金)

◇NYダウ小幅反発で65ドル高、テック見直し買い 物価データに警戒も (日経 電子版 06:18)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、終値は前日比65ドル88セント(0.13%)高の4万7951ドル85セントで推移している。同日発表の11月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回った。人工知能(AI)関連株に見直し買いが入っていることも相場を支えた。

□12月20日(土)

◇NYダウ、続伸し183ドル高 ハイテク株に買い直し (日経 電子版 06:30)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、終値は前日比183ドル04セント(0.38%)高の4万8134ドル89セントだった。ハイテク株を中心に買い直す動きが続き、株式相場を支えた。
 エヌビディアが3.9%上昇した。AI半導体「H200」について、トランプ米政権が対中輸出の審査を始めたとロイター通信が18日に報道した。米政府が承認すれば、エヌビディアの収益の拡大につながるとの期待から買いが入っている。


≪市場実態PickUp≫

【セミコン・ジャパン関連】

12月17日から19日まで東京ビッグサイトにて開催の恒例のセミコン・ジャパンについて、注目はラピダス関連の動き&内容であり、AI需要が引っ張る革新および当面の市場見通しが示されている。

◇Global Semiconductor Equipment Sales Projected to Reach a Record of $156 Billion in 2027, SEMI Reports―Growth Supported by Leading-edge Logic, Memory and Advanced Packaging Applications from 2025 through 2027 (12月16日付け SEMI)
→SEMIは、世界の半導体装置の売上高が2025年に過去最高の$133B(13.7%増)に達し、2027年までに$156Bに増加すると予測している。最先端ロジック、メモリ、HBMおよび高度パッケージングにおけるAI主導の設備投資は、世界中でフロントエンドとバックエンドの力強い成長を促進する。

◇Semi manufacturing equipment sales to grow 9% this year and 7.3% next―SEMI: Chipmaking equipment sales to reach $135B by 2027 (12月17日付け Electronics Weekly (UK))
→1)SEMIによると、半導体製造装置の売上高は2026年に約9%増加して$126 billion、2027年にはさらに7.3%増加して$135 billionに達する見込み。
 2)SEMIによると、半導体製造装置の世界売上高は、来年9%増加して$126 billion、2027年にはさらに7.3%増加して$135 billionに達すると予想されている。中国、台湾および韓国は引き続き主要市場であり、中国が総投資額でトップを占め、台湾と韓国は先端プロセス装置に注力すると予想されている。

◇ラピダス、AI半導体向け基板の生産効率10倍に TSMC対抗へ試作成功 (12月17日付け 日経 電子版 02:00)
→最先端半導体の量産を目指すラピダスはAI半導体生産の低コスト化につながる技術を開発した。複数の半導体チップを実装するための基板で、世界で初めて大型ガラス製の試作に成功した。従来手法と比べ基板の生産効率を10倍高められる。2028年から量産を開始する。先行するTSMCに組み立て工程の工夫で対抗する。

◇赤沢経産相「半導体、他国に依存しない」 セミコン・ジャパン開幕 (12月17日付け 日経 電子版 11:05)
→半導体の国際業界団体SEMIが主催する展示会「セミコン・ジャパン2025」が17日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した。AI需要にともなう半導体市場の急拡大を背景に、先端半導体の実現につながる多様な技術が集結する。
 基調講演では、赤沢亮正経済産業相がビデオメッセージを寄せ「半導体は他国に依存するのではなく自ら生産することで安定供給を果たし成長産業とし、世界にも貢献することが重要だ」と述べた。最先端半導体の量産を目指すラピダスについては「国益のために必ず成功させなければならない」と強調した。

◇AI普及でカギ握る半導体組み立て 富士フイルムやレゾナックが新素材―ビジネスTODAY (12月17日付け 日経 電子版 17:30)
→半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2025」が17日、開幕した。半導体を組み立てる「後工程」の技術革新が進み、富士フイルムやレゾナックなどの素材メーカーやディスコなど半導体製造装置メーカーの新技術発表が相次いだ。微細化が限界に近づくなか、AI半導体の進化を後押しする技術として後工程をめぐる競争が熱を帯びている。

◇半導体、組み立て工程競う 微細化限界 AI需要で技術革新 (12月18日付け 日経)
→半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2025」が17日、開幕した。半導体を組み立てる「後工程」の技術革新が進み、富士フイルムやレゾナックなどの素材メーカーやディスコなど半導体製造装置メーカーの新技術発表が相次いだ。微細化が限界に近づくなか、AI半導体の進化を後押しする技術として後工程をめぐる競争が熱を帯びている。会場で最も人だかりができたのは、最先端半導体の国産化をめざすラピダスのブースだ。ラピダスは後工程の技術を初披露した。

◇Rapidus launches design tools―Rapidus launches AI design suite for 2nm process (12月18日付け Electronics Weekly (UK))
→1)Rapidus社は、Rapid and Unified Manufacturing Service(RUMS)コンセプトの実現を支援する重要な取り組みであるRapidus AI-Assisted Design Solution(Raads)をサポートするAI設計ツールスイートを発表した。
 2)Rapidus社は、Rapid and Unified Manufacturing ServiceコンセプトをサポートするAI設計ツールのラインアップを発表しました。Rapidus AI支援設計ソリューションスイートには、半導体仕様をRapidus社の2ナノメートル製造プロセスに最適化されたレジスタ転送レベル(RTL)の設計データに変換するRaads Generatorと、消費電力、性能および面積(PPA)を予測するRaads Predictorが含まれている。

◇SEMIジャパン浜島代表「半導体市場、右肩上がり続く」―セミコン・ジャパン×Leader's Voice (12月18日付け 日経 電子版 05:00)
→半導体の国際業界団体SEMIが主催する展示会「セミコン・ジャパン2025」が17日、開幕した。SEMIジャパン(東京・千代田)の浜島雅彦代表は、半導体業界の動向について「アップダウンはありつつも、AI活用の広がりで右肩上がりが続く」と見通しを示した。

◇ラピダス、AIで半導体設計支援 期間50%短縮 (12月18日付け 日刊工業)
→ラピダス(東京都千代田区、小池淳義社長)は17日、AIを活用した半導体設計支援ツールを2026年度から順次提供すると発表した。同社が製造時に得たデータをAIに学習させ、先端半導体を短期間で設計できるようにする。製造と設計の両方で、競合よりも顧客への提供期間を短縮する。
 主軸となるEDA(電子回路の設計自動化)ツール「ラーズ(Raads:Rapidus AI-Agentic Design Solution)・ジェネレーター」は、ラピダスが回路線幅2ナノメートル世代の最先端半導体の27年度量産を目指す中で得た設計・製造に関するデータをAIが学習している。顧客は自然言語で記述した仕様から、ラピダスの半導体に即した設計データを出力できる。

◇ラピダス民間融資を保証 政府、債務の最大8割 (12月19日付け 日経)
→経済産業省は最先端半導体の量産をめざすラピダスへの民間融資について政府が最大8割を債務保証する方針だと明らかにした。詳細は金融機関からの申請を踏まえて検討する。2027年度後半の量産開始に向けて必要な資金調達を後押しする。
 経産省幹部が18日、都内で開かれた半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2025」で示した。

◇セミコン・ジャパン 九州パビリオンに44組織 台湾製の搬送ロボで実演/ゲームに非接触センサー(新生シリコンアイランド) (12月19日付け 日本経済新聞 地方経済面 九州)
→国際的な半導体展示会「セミコン・ジャパン」が東京で開幕し、九州の企業や団体が集うパビリオンに44組織が出展している。半導体商社のスズキ(大分市)は台湾製の先端自動搬送ロボットを日本で初披露したほか、半導体を使ったゲームを展示する企業もみられた。世界の業界関係者が集まる場で独自商品や技術をアピールする。

◇AI Drives CapEx Chip Equipment to Record $156B in 2027 (12月19日付け EE Times)
→世界の半導体業界は、AIを支えるコンピューティングスタックの構造的再構築を背景に、前例のない規模の設備投資に着手している。
 業界団体SEMIが発表した新たな予測によると、半導体製造装置の世界の売上高は3年連続で増加し、2027年には過去最高の$156 billionに達すると予想されている。


【インテル関連】

7四半期ぶり黒字転換した直近業績のインテルであるが、以下関連する動き&内容である。ASMLの第2世代High-NA EUVリソシステムの受け入れを完了している。

◇Intel tests tools from sanctioned China-linked firm (12月13日付け Taipei Times)
→1)国家安全保障:元当局者は、米国政府の管理下にあるにもかかわらずインテルがACMのツールをテストしていることは、「米国の技術保護政策における重大な欠陥を浮き彫りにしている」と述べた。
 2)インテルは、14Aプロセスにおいて、ACMリサーチ社の高度な半導体製造ツールをテストした。これには、中国との関係を理由に制裁対象となった部門も含まれていた。ACMは米国での事業は隔離され、安全であると主張しているものの、この動きは米国の国家安全保障上の懸念を引き起こしている。

◇[News] Intel Completes First 2nd-Gen High-NA EUV Acceptance Testing; ASML Eyes 2027-28 Mass Production (12月16日付け TrendForce)
→インテルは、第2世代高開口数EUV EXE:5200Bの受入試験を完了し、ASMLとのファウンドリーにおけるマイルストーンを達成した。量産向けに開発されたこの装置は、スループットを175枚/時、オーバーレイを0.7nmに向上させ、ASMLは2027〜28年のHVM(大量生産)を目標としている。

◇世界の主要半導体11社、7〜9月の純利益最高 AI好調・車載苦戦 (12月16日付け 日経 電子版 05:00)
→世界の主要半導体11社の2025年第3四半期決算が出そろい、四半期として純利益が過去最高を更新した。経営不振の米インテルは黒字化し、米エヌビディアは前年同期比65%増益だった。AI半導体を扱う企業の好調さが目立った。一方、車載向けは苦戦し、一部では投資コストの負担増が重荷になった。

◇Sk hynix’s 256 GB DDR5 RDIMMs Is Industry’s First 32Gb Memory Certified For Intel’s Xeon 6 Server CPUs―SK Hynix achieves Xeon 6 certification for DDR5 RDIMM (12月17日付け Wccftech)
→SK Hynixは、256GB DDR5 RDIMMメモリがIntel Xeon 6サーバーCPUsの認定を取得した最初の企業となり、大容量メモリソリューションの業界ベンチマークを確立した。このメモリは、第5世代10ナノメートルクラスのDRAMをベースとしている。

◇Intel completes testing of next-generation high-NA EUV system―Intel tests next-gen high-NA EUV lithography system (12月17日付け New Electronics)
→1)インテルは、第2世代の高開口数(High-NA)極端紫外線(EUV)リソグラフィーシステム(初号機)の受入試験を無事に完了した。これは、同社の先進的な半導体製造計画における重要な一歩となる。
 2)インテルは、ASML製の第2世代高開口数EUVリソグラフィーシステムの受入試験を完了した。このシステムは大量生産向けに設計されており、1時間あたり175枚のウェーハ処理能力と0.7ナノメートルのオーバーレイ精度を誇る。

◇Samsung Foundry reportedly wins Intel 8nm order after Nvidia―Samsung secures Intel order for 8nm chips, reports say (12月17日付け DigiTimes)
→サムスン電子のファウンドリー部門は、インテルから8nmプロセスの製造受注を獲得したと報じられており、NVIDIAに次ぐ、成熟した先端ノードポートフォリオに新たな優良顧客が加わった。アナリストらは、この受注獲得がサムスンファウンドリーの受注の勢いを加速させると見ている。


【Texas Instruments関連】

$40 billion規模の投資となっているTIのテキサス州にある最新鋭300mm半導体工場がオープン、生産が開始されている。

◇Texas Instruments Starts Production at New Semiconductor ‘Fab’ in North Texas (12月17日付け Dallas Innovates)
→1)TIがシャーマンに建設する新半導体工場「SM1」には、最大$40 billionの投資が投じられている。最終的には、スマートフォン、車載システム、および救命医療機器から産業用ロボット、スマート家電、およびデータセンターに至るまで、「ほぼあらゆる電子機器に搭載されるチップを毎日数千万個生産」する予定である。
 2)テキサス・インスツルメンツは、シャーマンに最新鋭の300mm半導体工場「SM1」を正式にオープンし、Abbott知事と地元関係者が出席した。この工場では、スマートフォン、医療機器、AIシステム、およびデータセンターに搭載されるチップを毎日数千万個生産する予定である。

◇Texas Instruments Begins Production at New 300mm Semiconductor Manufacturing Facility (12月17日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→テキサス・インスツルメンツは本日、テキサス州シャーマンにある最新鋭の半導体工場の稼働開始を発表した。着工からわずか3年半後のことである。TIの幹部陣は、地元および州の選出議員らと共に、北テキサスにおけるこの最先端300mm半導体工場の開設を祝った。
 SM1と呼ばれるこの新工場は、顧客の需要に応じて生産能力を増強し、最終的にはスマートフォン、自動車システム、および救命医療機器から、産業用ロボット、スマート家電、およびデータセンターまで、ほぼあらゆる電子機器に搭載される数千万個のチップを毎日生産する予定である。

◇New Texas Instruments fab will pump out tens of millions of chips per day - first 300mm fab starts production after $60 billion investment―TI begins production at 300mm wafer fab in Texas―The Sherman mega-site started production three and a half years after breaking ground. (12月18日付け Tom's Hardware)
→TIは、テキサス州シャーマンの工場で300mmウエハーの生産を開始した。これは、米国の半導体製造における画期的な出来事となる。計画されている4つの工場のうち最初のSM1工場は、高度なコンピューティングではなく、電力システム向けのチップを生産し、1日あたり数千万個のチップ供給を目標としている。この工場は、TIが今年初めに発表した米国におけるチップ製造への$60 billionの投資の一環である。


【Nvidia関連】

AI半導体「H200」の中国への輸出の許可に向けて、米国政府がこの週末に動き始めているが、中国は国産品使用の一点張りのスタンスとなっている。
Googleの「TPU」台頭も相まって、Nvidia一強の様相の今後の推移にも注目である。

◇China to push state-owned AI data centers to use domestic chips (12月12日付け Nikkei Asia)
→1)米国がNVIDIA製品の輸出を解禁する中、中国政府は自給自足のサプライチェーン構築を追求
 2)中国は、米国産NVIDIA製チップの輸出が制限される中、国営AIデータセンターに国産半導体を優先的に使用させるよう働きかけ、自給自足の体制を強化する計画だ。Huawei、Moore Threads、そして中国製CPUsが市場を席巻すると予想され、中国政府は2027年までにチップ自給率を70%以上に引き上げることを目指している。

◇エヌビディア、AI半導体「H200」増産か 中国需要強まり (12月13日付け 日本経済新聞 夕刊)
→米エヌビディアがAI半導体「H200」の生産能力増強を検討していることが12日、わかった。ロイター通信が複数の関係者の話として報じた。H200を巡ってはトランプ米大統領が8日に中国への輸出を許可したばかり。中国からの受注が生産能力を上回ったという。ロイターによると、アリババ集団や字節跳動(バイトダンス)など中国の大手企業数社がH200の購入のために今週に入りエヌビディアに接触し、大規模な注文の意向を伝えた。エヌビディアは中国勢の需要が強いため、顧客企業に増産を検討中だと伝えたという。

◇Nvidia launches open models for building agentic AI―Nvidia debuts open models for agentic AI development (12月15日付け Electronics Weekly (UK))
→1)NVIDIAは、エージェントAI構築のためのオープンモデルを提供するNemotron 3オープンモデルファミリーを発表した。
 2)NVIDIAは、エージェントAI構築のためのオープンモデルであるNemotron 3シリーズを発表した。このファミリーは、300億パラメータのNemotron 3 Nano、1000億パラメータの推論モデルであるNemotron 3 Super、そして5000億パラメータの推論エンジンであるNemotron 3 Ultraで構成されている。

◇NVIDIA、高性能AIモデル群を無償公開 半導体の需要を喚起 (12月15日付け 日経 電子版 23:00)
→米半導体大手エヌビディアは15日、AIのモデル群「Nemotron(二モトロン)3」を開発したと発表した。モデル活用に必要な開発ツールと合わせ、オープン型として技術を外部に無償で公開する。
 企業のAI導入を促してデータ処理に必要な半導体の需要を喚起する。

◇NVIDIA対Google、AI半導体競争で笑うのはTSMCか―台湾テックを探る(3) (12月17日付け 日経 電子版 04:30)
→米グーグルのAI向け半導体「TPU」がにわかに脚光を浴びている。TPUを使って開発した同社の新たな生成AIモデルの評価が高まるなか、米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)の一強とみられていたAI向け半導体は、競争激化の局面を迎えつつある。ただ、どちらが勝とうが最後に笑うのは、半導体産業の黒子を担う製造受託大手のTSMCなど台湾勢になるのか...

◇US launches review that could open door to Nvidia AI chip exports to China ―US begins review of Nvidia's H200 chip shipments to China (12月19日付け MSN)
→米国政府は、NVIDIAのH200チップの中国への輸出を許可する可能性のある正式な審査プロセスを開始した。米国商務省は、販売許可申請を国務省、エネルギー省および国防総省に送付し、輸出管理規則に基づく30日間の審査プロセスを開始した。

◇US launches review of Nvidia’s H200 chip sales to China: sources (12月19日付け South China Morning Post (Hong Kong)/Reuters)
→*省庁間ライセンス審査には、米国商務省、国務省、エネルギー省および国防総省が関与している。
 *ドナルド・トランプ米大統領率いる政権は、NVIDIAのH200チップの中国への初出荷につながる可能性のある審査を開始したと、5人の情報筋が明らかにした。これは、物議を醸しているこのチップの販売を許可するというトランプ大統領の公約を実行するものだ。
  トランプ大統領は今月、NVIDIAのH200チップの中国への販売を米国政府が25%の手数料を徴収することで許可すると述べ、この販売によって中国製チップの需要が抑制され、米国企業の競争力維持につながると期待している。


【中国半導体関連】

最先端技術へのアプローチ、AI半導体新興の上場など、米国政府の規制の中でのNvidia「H200」販売許可と、揺れる情勢のもとでの以下それぞれに注目するところである。

◇Huawei’s Kirin 9030 Chip Is Testing The Limits Of DUV-Based Multi-Patterning Lithography―Huawei's Kirin 9030 showcases SMIC's lithography skills (12月15日付け Wccftech)
→TechInsightsの分解調査によると、Mate 80とMate X7スマートフォンに搭載されているHuaweiのKirin 9030チップは、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が深紫外線(DUV)ベースのマルチパターニングリソグラフィと設計技術の協調最適化を活用し、7ナノメートルプロセスと5ナノメートルプロセスのギャップを埋めていることを示す好例である。SMICのN+3プロセスをベースにしたKirin 9030は、リソグラフィプロセスの微細化から設計規律の強化への移行を実証している。

◇The AI Chip Arms Race: How China Built Its Own “Manhattan Project” (12月17日付け Modern Diplomacy)
→1)中国・深センの厳重なセキュリティを備えた研究所で、科学者たちはAIや軍事用途といった技術に不可欠な先進的な半導体チップを製造できる試作機を開発した。これは米国が長年阻止しようとしてきた目標である。
 2)深センの中国科学者たちは、ASMLの装置と回収された部品をリバースエンジニアリングすることで、EUVリソグラフィー装置の試作機を製作した。まだチップの製造はできないが、このプロジェクトは中国の半導体自給自足への取り組みを加速させ、米国と西側諸国の開発スケジュールにプレッシャーをかけるものとなる。

◇Chinese AI euphoria masks long-term technological challenges (12月17日付け Taipei Times)
→中国のAIチップセクターは、Moore ThreadsのIPOで株価が425%急騰したことで急伸し、投資家の熱意を物語っている。Huawei, CambriconおよびMetaXは国内のイノベーションを加速させているものの、技術面のボトルネックと米国の輸出規制により、世界的にエヌビディアに対抗する株価上昇は依然として抑制されている。

◇中国半導体「MetaX」上場、時価総額6兆円超 AMD出身者が創業 (12月17日付け 日経 電子版 11:42)
→中国新興半導体の沐曦集成電路(MetaX)は17日、上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場「科創板」に新規株式公開(IPO)した。同社は米半導体大手のAMD出身者を中心に創業した。成長期待が高まり、株式時価総額は一時2800億元(約6兆1500億円)となった。

◇「中国版エヌビディア」に逆風 半導体とスパコン、大型合併破談 米の輸出緩和、影響の見方 (12月17日付け 日経)
→米エヌビディアのAI向け半導体を巡り米中でせめぎ合いが続く。トランプ米大統領が8日に先端製品「H200」の対中輸出を承認するとしたが、中国側はその使用を規制すると伝わった。その裏で9日、「中国版エヌビディア」候補の一つとして進められた半導体大手とスーパーコンピューター会社の大型合併計画が破談になった。
 「市場環境の変化は予測不可能な要素があった。参加企業が多岐にわたり、各社の視点の違いが成功を阻んだ」。ロジック半導体の海光信息技術(Hygon Information Technology Co., Ltd.)の幹部は10日に開いた投資家説明会で合併計画の破談についてこう説明した。もう一方の当事者、スパコンやサーバーを手掛ける曙光信息産業(中科曙光)の代表者の説明も同様だったという。

◇MetaX and Moore Threads’ IPOs underscore Chinese chipmakers’ growing challenge to Nvidia (12月17日付け CNBC)
→1)*中国投資家は、NVIDIAの最先端プロセッサに代わる国産チップの開発を推進する中で、国内のAIチップ開発企業に資金を注ぎ込んでいる。
  *米国は中国への輸出規制を一部緩和したものの、NVIDIAの最先端チップの購入は依然として禁止されている。
  *近年、MetaXやMoore Threadsといった新規参入企業が、この分野で多くの大手テクノロジー企業に加わっている。
 2)MetaXとMoore ThreadsのIPOが上場直後から急騰する中、中国のAIチップIPOsは投資家の熱狂を巻き起こしている。中国政府の半導体自給自足への取り組みを背景に、NVIDIAへの輸出規制は国内GPU開発を加速させ、市場の長期的な楽観論を後押ししている。

◇Chinese chipmaker MetaX surges 693% (12月18日付け Taipei Times)
→1)半導体競争:MetaXは、同社の新型C588世代チップが、NVIDIAのH100 AI GPUプロセッサとの性能差を大幅に縮めたと発表した。
 2)AIに特化したGPUメーカーであるMetaX Integrated Circuitsは、上海でのIPOで株価が693%急上昇し、$585.8 millionを調達、時価総額は$47.13 billionに達した。売上高は急成長しているものの、NVIDIAや国内のライバル企業との競争の中で、多額の研究開発費とサプライチェーンリスクにより収益性は不透明となっている。

◇China's 'Corner Overtaking' Strategy Targets South Korea with AI Chips―Expert Warns Semiconductor Lead Could Repeat LCD Industry's Fall to China (12月18日付け The Chosun)
→中国は半導体産業を急速に発展させており、AIチップを画期的な技術として捉えつつ、生産、設計エコシステム、そして自立性を拡大している。
 サムスン元副社長のLee氏は、中国の戦略的圧力と米中対立の中、韓国は半導体の優位性を失うリスクがあると警告している。


【自前AI半導体】

Nvidiaが席巻するAI半導体について、Googleの「TPU」が台頭しようとしている現時点の受け止めであるが、以下Appleはじめ自前AI半導体の取り組みを示す。

◇Rivian ditches Nvidia car chip for in-house design (12月13日付け Taipei Times)
→Rivian Automotiveは、自動運転機能を強化するため、NVIDIAの技術に代わる独自のAIチップ「RAP1」を開発した。TSMCが製造する新型Autonomy Compute Module 3に搭載される2つのチップは、性能を4倍に向上させ、コストを削減し、そして今後発売予定のR2 SUVsの動力源となる。

◇Google’s Tensor G6 Is Borrowing Ideas From MediaTek’s Dimensity 9500―Tensor G6 adopts key design lessons from Dimensity 9500 (12月14日付け Wccftech)
→GoogleのTensor G6チップは、MediaTekのDimensity 9500から2つの重要なアイデアを取り入れると予想されている。具体的には、CPUコアレイアウトの変更によるパフォーマンス向上と、より新しいArmコアの採用である。Tensor G6は、TSMCの2ナノメートルプロセスを採用し、来年後半に発売される予定である。8コアCPU、3コアのIMG CXT GPU、そして強化されたAI機能を搭載する。

◇[News] Apple Reportedly Pushes In-House AI Chip, Eyes 2027 Server Deployment; Foxconn to Gain (12月17日付け TrendForce)
→Appleは自社製AIチップの開発に注力しており、Broadcomと提携して初のサーバーチップ「Baltra」を開発した。TSMC 3nmプロセスで2027年に発売予定のこの推論チップは、Apple Intelligenceの強化、クラウド容量の拡大、そしてAIサーバーサプライヤーとしてのFoxconnの役割強化に貢献する。

◇Rivian Replaces Nvidia with Own AI Chip―Rivian develops AI chip, drops Nvidia for autonomy (12月18日付け EE Times)
→1)*RivianはNVIDIA製チップを自社製AIチップ、RAP1に切り替え、レベル4自動運転とVWとの提携を目指す。
  *EVメーカーのリビアンは先週、NVIDIA製チップを自社製AIチップに置き換えると発表した。EE Timesの取材に応じたアナリストによると、このチップはVWなどの他の自動車メーカーも採用する可能性があるという。
 2)EVメーカーのRivianは、レベル4の自動運転を実現するNVIDIA製チップに代わる、自社開発のRivian Autonomyプロセッサ(RAP1)を発表しました。TSMCの5nmプロセスノードで製造されるRAP1は、効率性を向上させ、LiDARを統合しており、$5.8B規模の合弁事業を通じてフォルクスワーゲンへの展開も検討されている。

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