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世界半導体40兆円の内、アジアが市場の60%〜生産シェアは米国勢が圧倒

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「世界の半導体はデジタル家電全体の伸び悩みや、一大アプリであるパソコンの後退もあって、2015年は微減の約40兆円市場にとどまっている。しかしながら、IoT時代の到来を考えれば再上昇し、2025年ごろには50兆円は楽々超えていくだろう。ただし、今や世界半導体の市場別シェアでいけば、ダントツのシェア60%を占有するのは、中国を筆頭格とするアジア諸国だ。時代はすさまじい勢いで回転している」。

こう語るのは、筆者が世界でもナンバー1半導体アナリストと目する南川明氏である。南川氏は米国のモトローラ半導体に入社し、その後データクエストなどを経て、現在は世界最大の調査カンパニーであるIHSグローバルの、日本法人におけるリサーチディレクターの任にある。

南川氏の指摘は人々を驚かせるに足る。あれだけ爆買いする中国人観光客を見れば、いかに彼らの消費意欲が凄いかがわかるからだ。中国だけでない。韓国、台湾、シンガポール、マレーシアなどアジアの勢いはすさまじいものがある。

ここで世界半導体販売のエリア別ランキングをみると、日本の存在感がいかに少ないかということがよくわかる。なにしろ、日本の半導体生産額は約3兆円、半導体販売額についても3.3兆円程度しかなく、エリア別で最低にランクされている。ちなみに、アジアに次ぐ第2位は米国であり、全体の20%を占めている。欧州は第3位となり、同15%強となっている。IT産業における日本の地位低落と半導体産業の後退がこうした事態を招いたのだ。

半導体の製品構成という点で見てみれば、世界約40兆円のうち、50%弱がマイクロとロジック系で占めている。そのうち、約30%がスマホに使われる中核半導体のアプリケーションプロセッサを中心とするロジック分野である。次いで、記憶系回路であるメモリが約25%となっており、ここにはパソコン/サーバのメーンメモリであるDRAM、携帯電話やスマホのストレージとなるフラッシュメモリなどが含まれている。3番目はアナログ系で全体の13%くらいであり、残りはLEDやCMOSセンサなどのオプト系やセンサ、ディスクリートが占めている。

2000年代前半のパソコン全盛期にあっては、メモリが全半導体の40%を占めたこともある。しかし、今やIT時代の主役はスマホであり、一方クラウドの拡大もあって、サーバ系ロジックも増えている。

こうした状況から、半導体の中心に座るデバイスはロジック系が占めており、つまり半導体の生産では米国勢が圧倒的に強い。パソコン向けCPUトップのインテル(世界半導体ランキング1位)、スマホ向けプロセッサトップのクアルコム(同4位)、Wi-Fiやブルートゥースなど無線通信トップのアバゴ(旧社名はブロードコム、同8位)などが牛耳っており、カスタム系ロジックにおいても、米国ザイリンクスが世界トップなのだ。

メモリ分野についていえば、DRAM、およびフラッシュメモリの世界チャンピオンは韓国サムスンであり、世界半導体売り上げランキングにおいても、インテルに次ぐ堂々の2位の座を長く守っている。そしてまた、サムスンを追撃する韓国SKハイニックスもメモリが強いことで定評があり、こちらも世界ランク第3位となっている。

こうした状況下にあって、日本の半導体は、市場別シェア、生産シェアとも低下し続け、それぞれ、9%、8%にまで凋落しているのだ。1990年前後には、世界での販売シェア53%を持ち、半導体王国ニッポンといわれた姿はもうどこにもない。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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