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中国のM&A戦略、215兆円投入の噂〜半導体世界3位を目指し札束攻勢

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太陽電池やLED照明の分野を圧倒的な札束攻勢で制覇した中国ではあるが、市場は混乱し、その後それらの中国企業の多くが大赤字であるというのだから話にならない。しかし液晶分野にも3兆円投入し、2018年までの世界チャンピオン奪取はほぼ確実になってきた。

そしてついに、中国は本丸ともいうべき半導体に攻め込んでくる姿勢を明らかにしている。中国政府が主導する形で立ち上げた半導体ファンドは、かつて2兆円程度といわれていたが、現状では4兆円以上が集まっているとみられる。そしてまた、中国紫光集団の趙薫事長は2015年末に次のような驚くべき発言をしているのだ。

「とにもかくにも5.6兆円の金を集める。それだけの金がないと買収のチャンスを逃がしてしまう。当面の目標は、世界各地の半導体企業の買収で中国は世界シェア3位を目指す」。紫光集団は昨年7月に米国のメモリー大手のマイクロンに230億ドルの買収提案をしたと言われている。しかし米政府の承認が得られず、逆にマイクロンはイノテラの株式を取得し、事業体制を固めにかかった。

東芝とフラッシュメモリーで共闘関係を続けているサンディスクは、昨年末に米国ウエスタンデジタルに買収されることになった。このニュースを第一報で聞いた時には、サンディスクの買収価格が下がってきたため、HDDで強いウエスタンデジタルがサンディスクのフラッシュメモリーも手に入れて、ストーレージの分野で地歩を固めるのだろうとシンプルに考えた。ところがこの裏には中国の紫光集団が動いていたのだ。何のことはない。ウエスタンデジタルの筆頭株主である紫光集団が、電光石火の早業で日本の半導体工場に近づき、東芝とサンディスクが死に物狂いで立ち上げてきた最先端の四日市工場を中国の貪欲な手でつかみにかかってきたということだ。

水面下ではアジア企業の買収案件も進んでいると言われる。マレーシアのファンドリメーカーのシルテラを手に入れようとする動きがある一方、先ごろはついに韓国企業狩りに成功し、韓国の済州半導体を42億円で買収した。

最近の噂によれば、中国半導体産業は今後10年で最大12兆元(215兆円)を海外企業の買収や資本参加に投入を決めたという。話題性としては面白いが、穏やかではない。

ただ冷静に言わせてもらえば、世界の現状における半導体のマーケットは約40兆円であり、しかもIT成熟化のあおりを受けてせいぜい微増状態だ。マーケット状況も正確に見ずにただひたすら資金を投入するというやり方は、業界秩序を乱すばかりだ。額面どおり受け止めれば、中国半導体は毎年20兆円を買収、資本参加、工場立ち上げに使うということであり、こんなことが実行されれば、世界の半導体市場は激震し、産業の根幹を揺るがし兼ねない。

米国のシリコンバレーも、こうした中国のなりふり構わぬM&A戦略に眉をひそめる向きは多い。半導体製造装置メーカーのマトソンテクノロジーも、中国資本の傘下に下ってしまった。そしてまた名門の半導体メーカー、フェアチャイルドセミコンダクターもすさまじい勢いで買収攻勢をかけられている。世界を巻き込む中国半導体のM&A戦略は、当面のところとどまる気配がない。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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